メルセデスマイバッハ Sクラス 新型、48Vマイルドハイブリッド搭載…広州モーターショー2020

最大15kWのブースト電力がエンジンをアシスト

ホイールベースの290mm延長で後席の快適性を向上

最新世代の「MBUX」

メルセデス マイバッハ Sクラス 新型(広州モーターショー2020)
メルセデス マイバッハ Sクラス 新型(広州モーターショー2020)全 25 枚

メルセデスベンツは11月20日、中国で開幕した広州モーターショー2020において、新型メルセデスマイバッハ『Sクラス』(Mercedes-Maybach S-Class)の実車をワールドプレミアした。

同車は、欧州で発表された新型メルセデスベンツSクラスをベースに、よりラグジュアリー性を高めた「メルセデスマイバッハ」ブランドのモデルだ。新型は、メルセデスマイバッハSクラスとしては、2世代目となる。従来型は、中国が最量販市場となっており、これに配慮して新型は、広州モーターショー2020で実車をワールドプレミアしている。

最大15kWのブースト電力がエンジンをアシスト

新型のパワートレインには、第2世代の統合スタータージェネレーターの「ISG」を、一部グレードに搭載する。ISGはエンジンとトランスミッションの間に配置された電気モーターで、オルタネーターとスターターの機能も兼ねている。

メルセデス マイバッハ Sクラス 新型(広州モーターショー2020)メルセデス マイバッハ Sクラス 新型(広州モーターショー2020)

この電気モーターと48Vの電気システムにより、従来のハイブリッド車のような回生ブレーキによる発電を行い、リチウムイオンバッテリーに蓄電する。エンジンが低回転時には、最大15 kWのブースト電力を利用して動力補助を行うことで、高い効率性と力強い加速を実現した。48Vまで高められた電気システムにより、動力補助に充分な出力を得ることができるという。

また、高速道路などでの低負荷走行時には、エンジンを休止させて、惰性走行して燃費を稼ぐ。エンジンのスタート/ストップ機能も、さらに快適になった。新型は、全モデルに4WDが標準となる。

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トランスミッションは9速の「9G-TRONIC」を、ISGと一体設計した。これにより、電気モーター、パワーエレクトロニクス、トランスミッションクーラーが、トランスミッションと統合されている。 ISGと組み合わせて、電気冷媒コンプレッサーを使用した。このため、エンジンが停止している時でも、空調を最適にコントロールできるという。

ホイールベースの290mm延長で後席の快適性を向上

メルセデス マイバッハ Sクラス 新型メルセデス マイバッハ Sクラス 新型

新型のフロントには、クロームメッキのフィンを備えたメルセデス マイバッハ専用デザインのボンネットとラジエーターグリルが装備される。MAYBACHのマークは、グリルのクロームサラウンドにエレガントに表現された。後部ドアは新型Sクラスよりも大きく、乗降性に配慮。Cピラーには固定式のクォーターライトを採用し、マイバッハブランドのロゴが配される。電動コンフォートリアドアがオプションで選択できる。

手作業で施されるツートン塗装仕上げは、マイバッハらしいオプション装備だ。このツートン塗装の完成には、最大で1週間を要する。オプションの「DIGITAL LIGHT」は、前方の道路にガイドラインや各種警告サインを投影する。

メルセデス マイバッハ Sクラス 新型メルセデス マイバッハ Sクラス 新型

新型メルセデスマイバッハSクラスのボディサイズは、全長5469mm、全幅1921mm、全高1510mm、ホイールベース3396mm。ベース車両の新型Sクラスのショートホイールベース車に対して、全長とホイールベースは290mm延長されている。

ホイールベースの延長により、後席乗員の快適性を引き上げる。標準の「エグゼクティブシート」によって、後席の居住スペースは、移動オフィスや隠れ家になるという。エグゼクティブシートは、座面と背もたれを個別に調整できる。前席後方のフットレストと電動式のレッグレストを採用することで、快適なリクライニングを実現し、快適な睡眠姿勢を可能にする。レッグレストの調整幅が、従来型比で50mm拡大された。ふくらはぎ部分のマッサージ機能や、首や肩のヒーターなどが装備される。

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「AIRMATIC」エアサスペンションを標準装備

連続調整可能な「ダンピングADS +」を備えた「AIRMATIC」エアサスペンションが標準装備されている。「ダイナミックセレクト」を使用すると、ドライバーはパワートレイン、ESP、サスペンション、ステアリングの特性を個別に変更できる。切り替えは、センターディスプレイの下のコントロールスイッチで行う。ダイナミックセレクトには、乗り心地を重視した専用の「マイバッハモード」がある。

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新型は、NVH(騒音、振動、ハーシュネス)性能をさらに引き上げた。吸収性フォーム材をリアのホイールアーチに取り付けた。後席には、より厚い合わせガラスを使う。オプションで、ノイズをさらに抑えたタイヤを装着できる。アクティブロードノイズ補正は、逆位相の音波を使用して、不要な低周波ノイズを低減している。

最新世代の「MBUX」

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新型には、最新世代の「MBUX」が搭載される。MBUXは、「メルセデスベンツ・ユーザー・エクスペリエンス」を意味し、新世代のインフォテインメントシステムだ。特長は、人工知能(AI)によって、学習することにある。

MBUXはカスタマイズ可能で、ユーザーに適応する。無線通信での更新も可能だ。タッチスパネルで操作する高解像度のワイドスクリーンコックピット、拡張現実(AR)技術を備えたナビゲーションディスプレイ、「ハイ、メルセデス」で音声アシストが起動するインテリジェントな音声コントロールが含まれている。

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新型のMBUXは第2世代となる。ハードウェアとソフトウェアが大きな進歩を遂げており、さらにデジタルでインテリジェントになった。OLEDテクノロジーを備えた12.8インチの大型インフォテインメントディスプレイをはじめ、最大5つの大画面ディスプレイにより、快適機能などを簡単にコントロールできるようにした。

12.8インチの大型インフォテインメントディスプレイは、操作スイッチの数が大幅に削減された。従来型よりも、スイッチの数は27少ない。ディスプレイの最も下の位置には、空調操作パネルが配される。

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このディプレイには、「OLED」テクノロジーを導入する。OLED(有機発光ダイオード)は、LEDなどの点光源とは異なり、平面光源となる。その光は、新しいレベルの均質性を可能にする。プラスチック基板にいくつかの有機層を組み合わせたOLEDユニットは、効率的で軽量に仕上げられる。

新型では、OLEDユニットをガラスパネルの向こうに配置し、その背後のアクチュエーターと圧力センサーを組み合わせて、優れたコントロール性とディスプレイ表示を可能にした。OLEDパネルは、外部の背景照明を必要とせず、点灯している場所でのみ電力が消費される。OLEDテクノロジーは液晶よりも、最大30%エネルギー消費を抑えられるという。

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「MBUXインテリアアシスト」は、乗員の意図を理解する。乗員の視線、ジェスチャー、ボディランゲージを認識する。 新型は、ルーフライナーに組み込まれた3Dレーザーカメラを使用して、後席の乗員の動きやジェスチャーを認識する。

たとえば、後席乗員がシートベルトに手を伸ばそうとしていることをMBUXインテリアアシストが認識すると、ベルトエクステンダーが作動し、自動的にシートベルトを装着してくれる。ドアを開けた際、後方から接近してくる車両などとの衝突を防ぐ出口警告機能も強化されている。

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《森脇稔》

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