メルセデスAMGの電動ハイパーカー、開発テストはバーチャルで…最新シミュレーター導入[動画]

F1マシン譲りの1.6リットルV6ターボ+モーターで1000hp超

最長25kmをゼロエミッション走行

2つの高解像度10インチディスプレイ

実車のコックピットを再現した「AMGドライビングシミュレーター」

メルセデスAMG プロジェクトワン の最新プロトタイプ
メルセデスAMG プロジェクトワン の最新プロトタイプ全 15 枚

メルセデスベンツの高性能車部門のメルセデスAMGは11月30日、新型ハイパーカーのメルセデスAMG『プロジェクトワン』(Mercedes-AMG Project ONE)の開発の様子を紹介した映像を公開した。

メルセデスAMGプロジェクトワンは、メルセデスAMGの創業50周年を記念し、F1技術を搭載した公道走行可能なハイパーカーとして、市販を目指しているモデルだ。

F1マシン譲りの1.6リットルV6ターボ+モーターで1000hp超

メルセデスAMGプロジェクト ワンのパワートレインでは、F1マシン譲りの1.6リットルV型6気筒ガソリンターボエンジンをミッドシップに搭載する。ピストンやクランクシャフト、電装システムが専用設計となり、エンジンは1万1000rpmと非常に高回転まで回るのが特長だ。最大出力は680hp以上を発生する。

この1.6リットルV型6気筒ターボエンジンに、フロント2個(163hp×2個)、ターボチャージャーとエンジンにそれぞれ1個の合計4個のモーターを組み合わせたプラグインハイブリッド(PHV)とし、加速時などにエンジンのパワーをアシストする。PHVシステム全体では、1000hp以上のパワーを獲得する。

トランスミッションは8速の「AMGスピードシフト8」で、駆動方式は4WDだ。メルセデスAMGプロジェクトワンは、0~200km/h加速6秒以下、最高速350km/h以上の優れたパフォーマンスを可能にする。

最長25kmをゼロエミッション走行

二次電池はリチウムイオンバッテリーで、F1のテクノロジーを導入する。バッテリーセルとその配置、冷却システムは、メルセデスAMGペトロナスのF1マシンと同じものを使用する。リチウムイオンバッテリー、12 Vの車載電気システム向けのDC/DCコンバーターは、フロントアクスル後方の車両フロアにコンパクトに搭載される。

高電圧の「EQ Power +」プラグインハイブリッド(PHV)システムは、通常の400ボルトではなく800ボルトで作動する。電圧レベルが高いため、ケーブルの太さを細くでき、それに応じてスペースと重量を節約した。

走行モードは、EVモードからラップタイムを追求するダイナミックモードまで、複数のモードを用意する。EVモードでは最初、フロントの電気モーターだけで駆動し、加速をサポートする。ドライバーがアクセルをより深く踏み込むと、V6エンジンが始動する。レーススタート機能を使用すると、さらに加速性能が引き上げられる。EVモードでは、最長で25kmのゼロエミッション走行が可能だ。

2つの高解像度10インチディスプレイ

サスペンションは前後マルチリンクで、サーキットの特性に合わせて調整可能とした。ABSは標準装備で、ESPは3段階で調整できる。 ESPの「SPORT」はハンドリングモードで、システムが介入する前に、より大きなヨーアングルを可能にする。

専用のセンターロック付き10本スポーク鍛造アルミホイールは、カーボンファイバー製のセミカバーが付き、ホイール周辺の空気の流れを最適化する。スポーク部分には3つの換気スロットがあり、ブレーキの熱を放出する。セラミックブレーキシステムも装備している。

インテリアには、2つの高解像度10インチディスプレイを採用した。F1スタイルのステアリングホイールは、上部と下部がフラットなデザインだ。走行モードやサスペンションの設定、LEDシフトディスプレイなどの調整機能が付く。ルームミラーは、カメラの「ミラーカム」からのリアルタイム映像を表示するスクリーンに置き換えられている。

実車のコックピットを再現した「AMGドライビングシミュレーター」

メルセデスAMGプロジェクト ワンの開発は新しい段階に入り、量産化が近づいている。複数のプロトタイプが、テストコースとテクノロジーセンターにおいて、高速走行などに取り組んでいる。

プロトタイプ車両で行われている幅広いダイナミックテストと並行して、付随する開発作業も継続されている。ドイツ・アファルターバッハのメルセデスAMGの拠点では、さまざまな車両システムが、エンジンベンチやシミュレーターでテストされている。

今回の映像では、このシミュレーターの「AMGドライビングシミュレーター」を紹介している。メルセデスAMGプロジェクト ワンと同じコックピットを再現したシミュレーターでは、さまざまな仮想テストが行える。

映像では、メルセデスAMGのファクトリードライバーのマロ・エンゲル選手が、AMGドライビングシミュレーターに乗り込み、ドイツ・ニュルブルクリンク北コースをバーチャルでテスト走行する様子が見て取れる。

メルセデスAMGは、ドライビングシミュレーターによってメルセデスAMGプロジェクトワンの多くの機能を、早い段階でデジタルシミュレーションすることができる、としている。

《森脇稔》

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