マヌルネコと目があったらお尻を向けられてしまった[リアニマル]

埼玉県こども動物自然公園のマヌルネコ
埼玉県こども動物自然公園のマヌルネコ全 18 枚

精悍なイメージがあるネコ科の動物の中で独自路線を貫くのが「マヌルネコ」だ。ずんぐりした体型と毛並みは猫っぽくないが、ファンも多い。国内では上野動物園や東山動物園などで見ることができるが、今回は埼玉県こども動物自然公園を訪れた。

慎重なオリーヴァと好奇心が旺盛なロータス

埼玉県こども動物自然公園は2011年からマヌルネコを飼育している。繁殖にも成功しており、現在3頭のマヌルネコがいる。取材日に展示室にいたのは「ロータス(オス)」と「オリーヴァ(メス)」の兄妹(姉弟)だ。

2頭の展示室は仕切りで区切られている。ロータスは向かって右側の展示室で、太いチューブの中で毛づくろいをしていた。チューブの切り口がこちらを向いていたので、カメラを向けたところレンズに気が付いたのか、しばらくこちらを凝視して、その後向きを変えられてしまった。

慎重なタイプのオリーヴァの方は、木の上に設置されたトンネルの中(このチューブは横向きなので中が見えない)にいて頭だけ少し見える状態だ。

しばらく展示室の前で様子をうかがっていたところ、先に動いたのはオリーヴァだ。顔をこちらに向けてトンネルから出てきた。飼育係の掃除の時間だったようで、バックヤードの気配で動き出した。

飼育係の動きはロータスも察知した。ロータスは好奇心が旺盛とのことで、バックヤードに物音や動きがあると、金網窓のところで外を見たり、展示室の中を歩き回って様子をうかがっていた。

寒冷な生息地に合わせたずんぐりむっくりな体型

マヌルネコの特徴は太く短い手足としっぽが長めの毛でおおわれていることと、目の間隔が若干広く耳も頭の横方向に小さく出ていること。目の下から頬にかけてラインがあり、どちらかというと、猫というより狸を彷彿とさせる独特な表情に見える。だが、ファンには、モフモフな毛並みと耳を下げて困ったような表情が人気なのだ。

生息地は中央アジア、モンゴルのステップ地帯。カザフスタンやイランにも生息域が確認されているが、多くの生息地は標高が高く冬が酷寒のため分厚い毛並みが役に立つ。寒冷地の動物は鼻や耳など体の出っぱりが小さくなる傾向がある。耳が小さく、ずんぐりむっくりな体型はそのためだ。体の表面積が大きくなるとそれだけ体温が奪われる。また、ステップ地帯は草原や低い岩場のため隠れるところが少ない。手足が短く耳が横むきなのは、姿勢を低く保つことができ、獲物を狩るときと外敵から身を守るのに有利だ。雪原でも身を低く保つためおなかの毛も分厚くなっている。

マヌルネコは海外でも人気で、Pinterestなど写真SNSでもたくさんの画像がアップされている。サイズもイエネコと同じくらいで、ロシアなどではペットとして飼う人もいるようだが、レッドデータブックでは準絶滅危惧種(NT)に分類されている。世代をまたいで繁殖・管理ができない一般家庭は、安易にペットにすべきではない動物だ。

マヌルネコと目があったらお尻を向けられてしまった…埼玉県こども動物自然公園

《中尾真二》

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