BMWの新型EV『iX』、最終ウインターテストを北極圏で開始…2021年発売へ

新開発車台をベースにした最初のモデル

アルミスペースフレームとカーボンによる軽量設計

「BMWカーブド・ディスプレイ」

ステアリングホイールは六角形

ツインモーターは最大出力500ps以上

氷点下の環境でEVパワートレインなどの性能を確認

BMW iX のプロトタイプ
BMW iX のプロトタイプ全 20 枚

BMWグループは12月9日、2021年に発売予定の新型EV、BMW『iX』(BMW iX)の最終ウインターテストを北極圏で開始した、と発表した。

BMWグループは2018年秋、米国で開催されたロサンゼルスモーターショー2018において、EVコンセプトカーのBMW『ヴィジョンiNEXT』を発表した。その市販版がiXとなり、2021年後半からドイツ・ディンゴルフィンク工場で生産を行う予定だ。iXは現在、量産開発段階にあり、市場導入は2021年内を予定している。

新開発車台をベースにした最初のモデル

iXは、クロスオーバーEVで、BMWグループの新開発プラットフォームをベースにした最初のモデルとなる。BMW iXは、成功を収めている「スポーツ・アクティビティ・ビークル(SAV)」コンセプトを、サステイナビリティやインテリアの広さなどに焦点を当てて、再定義した。全長と全幅はBMW 『X5』と同等で、全高はBMW 『X6』と同等、ホイールサイズはBMW 『X7』と同じとし、パワフルなプロポーションを構築した。

iXの外装は、キャラクターラインを減らし、ゆったりとした形状の表面によって、迫力のあるボディデザインを構成した。サイドウインドウはフレームレス。テールゲートには分割ジョイントがなく、リアの幅一杯に広がっている。

フロントには、垂直でほぼ全面的に囲い込まれたキドニーグリルを装着した。このグリル内には、センサー、カメラ、レーダーテクノロジーが組み込まれており、インテリジェンスパネルの役割を果たす。

アルミスペースフレームとカーボンによる軽量設計

ヘッドライトは、BMWグループの歴代モデルで最もスリムで、フルLEDが標準となる。ハイビーム用マトリクス機能付きの「BMWレーザーライト」がオプションで選択できる。LEDテールライトもスリムなデザインとした。BMW iのブルーのアクセントが、アクセントとして配される。

アルミスペースフレーム構造とカーボンケージによるインテリジェントな軽量設計と、最適化されたエアロダイナミクスが、効率を高め航続を延ばすことを可能にした。前後とアンダーフロア、ホイールにターゲットを絞ったエアロダイナミクス対策により、前面空気抵抗を示すCd値は0.25を達成する。オプションで21インチまたは22インチの「エア・パフォーマンス・ホイール」が用意されている。

「BMWカーブド・ディスプレイ」

インテリアは、5名の乗員のための高級感を備え、ラウンジのようにリラックスできる、ゆったりとした空間が追求された。高品質素材にスリムなダッシュボード、ヘッドレストが一体化された新開発のシートを採用する。センターコンソールは、高品質家具のようなフォルムを目指した。センタートンネルを廃止して、レッグルームとストレージコンパートメント用のスペースを確保している。

「BMWカーブド・ディスプレイ」は、12.3インチのインフォメーションディスプレイと、1ピースでフレームレスガラス仕上げの14.9インチのコントロールディスプレイによって、フルデジタルスクリーンを構成する。標準装備の「2.5ゾーン・オートエアコン」は、デザインを新設計し、直感的に操作できるようにした。ダッシュボードの表面には、「BMWヘッドアップディスプレイ」のプロジェクターが組み込まれる。

センターコンソールは、ギア選択のためのロッカースイッチ、タッチコントローラー、フィーラーバーで分割された。車両機能を制御するアクティブ・ハプティック入力を備えた「イルミネーテッド・ガラス・エフェクト・コントロール・サーフェス」を導入する。

ステアリングホイールは六角形

iXは新技術ツールキットによって、自動運転やデジタルサービスの分野でのさらなる進歩を可能にした。データ処理のための高いレベルの演算能力や、非常にパワフルなセンサー、5G対応が最適化された自動運転や駐車機能のベースとなっている。

iXは、BMWグループで六角形のステアリングホイールを装備した初の量産車となる。サーキットにインスピレーションを受けた輪郭によって、アクセスのしやすさが向上し、インフォメーションディスプレイの視認性も引き上げられた。新設計のマルチファンクションボタンも採用されている。

ツインモーターは最大出力500ps以上

iXには、第5世代の「BMW eDrive」テクノロジーが搭載される。2基のモーターは、最大出力500ps以上を引き出す。0~100km/h加速は5秒以下。複合電力消費は、21kWh/100km未満(WLTP試験サイクル)とした。

高電圧バッテリーは、蓄電容量が100kWh以上と大容量で、1回の充電で600km以上の航続(WLTP試験サイクル)を可能にする。

高圧および最先端の充電テクノロジーにより、性能が長距離走行に最適化された。出力200kWまでのDC急速充電によって、バッテリー容量の最大80%を40分で充電できる。10分の急速充電で、航続を120km延ばすことも可能だ。

氷点下の環境でEVパワートレインなどの性能を確認

BMWグループは、このiXの最終ウインターテストを北極圏で開始した。テストでは、EVパワートレインやサスペンションシステムを微調整。さらに、電気モーター、4WDシステム、充電技術、高電圧バッテリー、熱管理に関して、氷点下の環境で厳しいテストが行われている。

エンジニアは、摩擦係数の低い路面において、EVパワートレインとサスペンションシステムの相互作用を評価する。試乗のために特別に準備された北極圏の氷上コースは、モーター制御技術や縦方向と横方向の車両ダイナミクス、電動4WD、サスペンション制御システムを正確に調整するために、理想的な条件を提供するという。

テスト中、BMW eDriveテクノロジーのコンポーネントは、厳しい条件に直面する。高電圧バッテリーと充電技術は、冬季の日常使用を想定して、非常に低い温度下でフィールドテストを受ける。同様に、充電レベル、航続、EVパワートレインの作動状態を示すディスプレイ、モーターや高電圧バッテリーの最適な動作温度を常に維持する熱管理システムも、氷点下の環境下で耐久性が確認される、としている。

《森脇稔》

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