ジープ ラングラー 初のPHV、生産開始…2021年初頭米国発売

エンジンとモーターを合わせたパワーは375hp

EVモードは最大40km

走行モードは3種類

非電動車のラングラーと同じ組み立てラインで生産

FCAの米国オハイオ州トレド工場で生産が開始されたジープ・ラングラー のPHV「4xe」
FCAの米国オハイオ州トレド工場で生産が開始されたジープ・ラングラー のPHV「4xe」全 27 枚

FCA(フィアット・クライスラー・オートモビルス)のジープブランドは12月11日、『ラングラー』(Jeep Wrangler)初のプラグインハイブリッド車(PHV)の「4xe」(フォーバイイー)の生産を、FCAの米国オハイオ州トレド工場で開始した、と発表した

4xeは、ジープブランドのPHVに付される名称だ。すでに、『レネゲード』初のPHVの『レネゲード4xe』と、コンパス初のPHVの『コンパス4xe』が用意されている。

ジープは、レネゲードとコンパスに続いて、ラングラーにもPHVの4xeを拡大展開する。ジープブランドは、2022年までの中期経営計画において、電動化の推進を重視している。ジープブランドの電動化の推進は、PHVを主役に位置付ける。2022年までにPHVを10車種、市場に投入。さらに、EVも4車種をリリースしていく。

エンジンとモーターを合わせたパワーは375hp

FCAの米国オハイオ州トレド工場で生産が開始されたジープ・ラングラー のPHV「4xe」FCAの米国オハイオ州トレド工場で生産が開始されたジープ・ラングラー のPHV「4xe」

ジープが発表した『ラングラー4xe』は、『ラングラー』の4ドアをベースにしている。専用のボンネットを採用し、スキッドプレートと前後の牽引フックも装備する。オフロードホイールと大径タイヤを標準装備した。最低地上高は274mmで、最大760mmの渡河性能を持つ。アプローチアングルは44度、ブレークオーバーアングルは22.5度、デパーチャーアングルは35.6度と、ラングラーならではの優れたオフロード性能と、環境性能の両立を狙う。

PHVパワートレインは、エンジンが直噴2.0リットル直列4気筒ガソリンターボで、最大出力270hp/5250rpm、最大トルク40.8kgm/3000rpmを発生する。このエンジンは、5800rpmまで許容する。シリンダーヘッドに直接取り付けられたツインスクロールの低慣性ターボチャージャーによって、優れたレスポンスとパフォーマンス、燃費を追求している。

FCAの米国オハイオ州トレド工場で生産が開始されたジープ・ラングラー のPHV「4xe」FCAの米国オハイオ州トレド工場で生産が開始されたジープ・ラングラー のPHV「4xe」

従来のオルタネーターに代えて、「eトルク」と呼ばれるベルト・スタート・ジェネレーターを採用する。モーターは、8速ATと一体設計された。このモーターは、最大出力134hp、最大トルク25kgmを引き出す。エンジンとモーターを合わせたPHVシステム全体で、375hpのパワーと65kgmのトルクを獲得する。

EVモードは最大40km

FCAの米国オハイオ州トレド工場で生産が開始されたジープ・ラングラー のPHV「4xe」FCAの米国オハイオ州トレド工場で生産が開始されたジープ・ラングラー のPHV「4xe」

バッテリーは、蓄電容量17.3kWhのリチウムイオンだ。EVモードでは最大40kmをゼロエミッション走行できる。米国EPA(環境保護局)の予想燃費は、50 MPGe。バッテリーは、2列目シートの下に配置された。このため、2列目シートが専用設計され、クッションを前に倒してバッテリーのメンテナンスを行う。

充電ポートは、左フロントフェンダーに設けられた。充電状態を示すLEDインジケータが備わる。インストルメントパネル上部にLEDバッテリー残量モニターを装備し、充電中の電池残量を確認できるようにした。

FCAの米国オハイオ州トレド工場で生産が開始されたジープ・ラングラー のPHV「4xe」FCAの米国オハイオ州トレド工場で生産が開始されたジープ・ラングラー のPHV「4xe」

ラングラー4xeには、回生ブレーキを搭載する。ドライバーがブレーキペダルを踏むと、パワートレインコントロールが電気モーターから最大0.25 gの回生ブレーキを作動させ、車両を減速させる。これにより、ブレーキパッドの寿命が延びるという。

走行モードは3種類

FCAの米国オハイオ州トレド工場で生産が開始されたジープ・ラングラー のPHV「4xe」FCAの米国オハイオ州トレド工場で生産が開始されたジープ・ラングラー のPHV「4xe」

ラングラー4xeには、「E Selec」と呼ばれる3種類の走行モードがある。ドライバーは、ステアリングホイール左側のボタンを操作して、パワートレインモードを選択する。選択したモードに関係なく、バッテリー残量が少なくなると、自動的に「ハイブリッド」モードに切り替わる。

ハイブリッドモードは基本モードで、2.0リットルエンジンと電気モーターのトルクを最適にバランスする。このモードでは、パワートレインは最初にバッテリーの電力を使用し、バッテリー残量が少なくなると、エンジンからの駆動力を追加する。

FCAの米国オハイオ州トレド工場で生産が開始されたジープ・ラングラー のPHV「4xe」FCAの米国オハイオ州トレド工場で生産が開始されたジープ・ラングラー のPHV「4xe」

「エレクトリック」モードでは、パワートレインは、バッテリー残量が少なくなるまで、ゼロエミッションで走行する。「eセーブ」モードでは、2.0リッターエンジンからの駆動力を優先し、バッテリーの電力を節約する。ドライバーは、「Uconnect」モニターを介して、eセーブモード中に、バッテリーセーブとバッテリー充電のどちらかを選択することもできる。

非電動車のラングラーと同じ組み立てラインで生産

ジープ・ラングラー 4xeジープ・ラングラー 4xe

このラングラー4xeの生産が、FCAの米国オハイオ州トレド工場で開始された。オハイオ州のトレド北工場では、非電動車のラングラーと同じ組み立てラインで、ラングラー4xeを生産する。同工場では、3200人以上の従業員が、2シフト体制でラングラー4xeを組み立てている。

なお、ラングラー4xeは、2021年初頭に、全米のジープディーラーのショールームに到着する予定だ。2021年前半には、欧州や中国などでも発売される、としている。

ジープ・ラングラー 4xeジープ・ラングラー 4xe

《森脇稔》

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