【ホンダ PCX160 試乗】プラス10ccが走りに余裕をもたらす…青木タカオ

ホンダ PCX160
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『PCX』シリーズがフルモデルチェンジし、第4世代へと移行した。高速道路も走れる軽二輪モデルは2012年に『PCX150』が登場したが、ついに160ccとなった。

ボア×ストロークから見直された完全新作の「eSP+」エンジンは4バルブ化され、最高出力15.8ps/8500rpmを発揮。車名では150→160だが、実際の排気量は149→156ccで7cc増し。僅かなように思えるが、このクラスでの7ccは走りに違いが出てくる。ちなみに車両重量は131→132kgで、1kg増しに過ぎない。

フロアステップが広がり足もと広々

ホンダ PCX160ホンダ PCX160
新型もすぐにPCXとわかるVの字型にレンズを配したフロントマスク、そして流麗なスタイル。従来型よりエッジが効いていて、複雑な形状のエクステリアにボリュームを感じるが、ワンクラス上の上質さを直感できる伸びやかなプロポーションがより強調されている。

シートにまたがると、フットスペースが広がっていることに気づく。フロアステップが車体前方と外方向へ、それぞれ30mm拡大。前方に投げ出したりヒザを曲げ気味にして踏ん張ったり、中間でリラックスしたりと、いろいろな足の置き方ができる。

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シート高は764mmで、両足をおろしても身長175cmの筆者だとカカトまでベッタリ地面に届く。優れる足つき性はそのままに、ライディングポジションの自由度が向上しているのだ。

スマートキーシステムを継続採用し、キーフォブを携帯していればメインスイッチノブを回すだけでイグニッションスイッチが入る。シートやフューエルリッドの開錠操作も集約し、利便性が高いのは従来型と変わらない。

4バルブ化し中高回転がイキイキ!

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動弁機構を4バルブ化したエンジンは排気量拡大もあいまって、低中域の力強さを増しつつ、高回転域も伸びのある元気ハツラツとした心臓部となった。スクエア気味だったのをショートストローク化(57.3×57.9mm→60×55.5mm)した恩恵もあるだろう、中間加速が鋭くなり、最高出力15.8psを発揮する8500rpmまでスムーズかつパワフルに回る。首都高速もキビキビ走ってくれたのだ。

排気量アップに伴いスロットルボディ径を26→28mmに拡大し、アクセルを開け始めたところから力強いドライバビリティを実現するため、新たな整流板を採用。エアクリーナーからインレットパイプまでの経路を拡大し、吸気効率を向上している点も見逃せない。

車体の剛性も上がり、ハイスピードレンジでの走りはより安定感のあるものになっている。2年前にフレームをアンダーボーンからダブルクレードル式に刷新したばかりだが、今回またしても完全新設計としたから驚く。グローバルモデルとして、PCXシリーズのセールスがいかに好調かうかがい知れる。

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新作フレームは剛性バランスを保ちながらも、ボディ単体で760gの軽量化を実現。リアグラブレールも形状と肉厚を最適化し、310gも重量を減らしている。重心から遠い部位の軽量化はマスの集中に寄与し、軽快なハンドリングや取り回しやすさに直結するので、完成車となったときにこういう減量がかなり効いてくるのだ。

また、ラバーマウント構造のハンドルホルダーを採用し、不快な振動を軽減。エンジン懸架方式も見直され、乗り心地の良さが新型は際立つ。リヤサスペンションはアクスルストロークを10mm増やし、95mmに。タイヤサイズはフロント100/80-14→110/70-14、リア120/70-14→130/70-13にワイド化され、リニアなハンドリング性能をそのままに衝撃吸収性を向上している。

40万円超えながらも買い得感ある

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これまでブレーキはフロントのみディスク式で、リヤはドラムだったが、ついに前後ディスクとなった。フロントのみが作動する1チャンネルABSを採用し、さらにHonda セレクタブル トルク コントロール(HSTC)も搭載。スリップしやすい路面での安心感は絶大で、橋の繋ぎ目なども不安なくアクセルを開けていける。雨天時は恩恵をさらに強く感じるだろう。また、石畳の多い欧州ではトラコン装備が大いに歓迎されるはず。スピードメーターのマルチファンクションスイッチでON/OFFの選択が可能だ。

視認性の高い大型液晶ディスプレイを中央に配置したメーターも新作で、豊富な情報量を分かりやすく表示。バッテリー電圧低下警告灯を新たに加えている。先進的で機能性が高いところに高級感もプラスされたメーターパネルだ。

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シート下のラゲッジボックスは容量を28L→30Lに拡大し、積載力を向上。フロント左側インナーボックスも収納容量を増やし、新たにUSB Type-Cソケットを標準装備した。ハンドルマウントしたスマホなどを充電することを想定している。

フレームとエンジンを全面刷新し、トラクションコントロールの搭載など装備も充実しながら車体価格は40万7000円(税込み)に抑えた。従来型(PCX150<ABS>39万5280円)より、わずかに1万円強の価格アップに抑えたのはお見事。アイドリングストップ機構ももちろん継続採用し、ライバルの追従を許さないという姿勢だ。

ホンダ PCX160 と モーターサイクルジャーナリスト 青木タカオホンダ PCX160 と モーターサイクルジャーナリスト 青木タカオ氏

■5つ星評価
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
コンフォート:★★★★★
足着き:★★★★
オススメ度:★★★★★

青木タカオ|モーターサイクルジャーナリスト
バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。

《青木タカオ》

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