パナソニック、「クルマを第2の家にする」新たなアプローチを提案…CES 2021

パナソニック(CES 2021)
パナソニック(CES 2021)全 14 枚

パナソニックは1月11日、「CES 2021」でプレスカンファレンスをオンラインで実施。ここでは、その中から米国内における同社のオートモーティブ事業について説明した。なお、オンライン展示では暮らしをアップデートしていく姿を6つのカテゴリーに分けて紹介している。

車両用電池としてエネルギー密度世界一の新製品も登場予定

まず、パナソニック・ノースアメリカのマイケル・モスコウィッツCEOが登壇し、自動車向けバッテリー事業について言及した。モスコウィッツCEOは、「パナソニックは世界最大の電池メーカーかつ最大のリチウムイオン電池のサプライヤーで、昨年8月時点で30億個を超える電池を出荷。テスラ用のEV用電池の需要に応えるため、ネバダ州のギガファクトリーに14番目の生産ラインを追加して生産能力は10%増となる。これは多くの雇用を増やすことにもつながる」と述べた。また、「テスラ向けに開発した電池4680のような新たな電池に加え、発表時には車両用としてエネルギー密度で世界一となる新製品も開発していく」とも語った。

一方、モスコウィッツCEOは自社の電池事業を振り返り、「パナソニックは40年以上にわたって電池分野で牽引役を担ってきた。だからこそ今後も成長し続けられる。この成長の一部を担うのがエネルギー企業Equinorと産業グループであるHydroとの戦略的パートナーシップだ。この連携の下、欧州市場において共同で持続可能かつコスト競争力のあるバッテリービジネスの可能性を模索していく」と語った。さらに「電池に使用するコバルト含有量を現在の5%からゼロにする目標を立てている」ことも明らかにした。

クルマが“第2の家”となるよう様々な形で力を注いでいく

続いて、パナソニック・オートモーティブシステムズ・アメリカのスコット・キルヒナー社長が登壇。そこでまず言及したのは、世界中に感染が広がった新型コロナウィルスとの関わり合いについてだった。「パンデミックによって生活は大きな影響を受けた。しかし、パナソニックはイノベーションへの情熱があり続け、だからこそトップサプライヤーの1社であり続けられている」とし、「2020年は一夜にして自動車のミッションが変わり、“第2の家”として安全な安息の場所の一つとなった。映画を鑑賞できるドライブインシアターが復活し、美術展や政治集会もクルマの中から参加できるようになった。だからこそパナソニックはここに力を注いでいる」と述べた。

その中核となるテクノロジーが「SPYDRプラットフォーム」だ。キルヒナー社長は、「すでにパナソニックはこの技術を使い、コックピット用コントローラーとしてヘッドアップディスプレイなど車内の様々なディスプレイを進化させてきた。特に注目すべきなのがプラットフォームにAndroid11を採用したことで、OpenSynergyのハイパーバイザーを統合。最大11台のディスプレイを個別に稼働させ、シートごとに音楽や映像を楽しめるのはもちろん、車内全体で同じ体験も可能としている」と述べた。

さらに、オーディオのトップブランドであるELS STUDIOやFender、Klipschによるサウンドソリューションを提供。その上で新たに「KlipschとDolbyの協力の下、KlipschのプレミアムオーディオシステムとSPYDRプラットフォームに、Dolby Atmos Musicを追加。これによって車内での音楽体験が没入感のあるサウンドが楽しめるようになる」とした。

今後のADASの一つとして“次世代AR HUD”を開発

そして、安心安全を生み出す注目技術としてキルヒナー社長は、次世代のAR HUD(ヘッドアップディスプレイ)を紹介した。その開発の意図として、新車所有者の61%がADASの機能でヒヤリとした瞬間の回避に役立ったとの調査結果を示しつつ、「それにもかかわらずドライバーは都市部で支援システムをOFFにてしまう。その理由は混雑した道路環境では提供される情報を理解しにくいためだ。その矛盾を解決するために見せて伝える“次世代のAR HUD”を開発した」というわけだ。

具体的にはフロントガラスに対象をアイコンでグラフィカルに表示し、直感的に情報を伝えられるようにした。キルヒナー社長は「これにより、ドライバーは目線をフロントガラスとその先の道路に向けることが可能となる」とし、中でもそのアルゴリズムとして「AIを駆使してあらゆる状況下でも最も重要な情報を検出して優先度を決めている」ことを明かした。さらに高解像度レーザーホログラフィー技術を活用。Phiarとの協力により、「空間AIとARナビゲーションを活用によって次世代の車載体験が可能になる」とした。

その他、新開発のWi-Fiカメラも発表。キャンピングカーやボート、あらゆる種類のトレーラーを牽引する場合にも後方の視界を確保でき、それ以外にも大切な荷物から目を離さずに済むといった用途にも利用できるという。例年展示されてきたV2X(Vehicle to Everything)である「CIRRUS by Panasonic」も出展。安全性向上と交通状況の改善を図ることを目的に、走行中の車両や道路に設置されたセンサーを介して様々なトラフィックや天候の情報をリアルタイムで収集。ドライバーに迂回ルートなど適切な情報を提供する。

《会田肇》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 「本当に世に出るとは」わずか1トンの車体に800馬力V12を搭載、「超アナログ」なスーパーカーにSNS沸く
  2. コメリが洗車グッズの新商品を発売、撥水力2倍のカーワックススプレーなど4アイテム
  3. 『ジムニー/ジムニーシエラ』のコックピットをかっこよく進化! 簡単取付けのデジタルメーターが新発売
  4. 世界初、個人所有できるレベル4自動運転「ロボカー」誕生、2026年に納車開始
  5. 【日産 エクストレイルNISMO 試乗】ベース比106万円アップも納得の、高い走りの質感…加茂新
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  3. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
ランキングをもっと見る