「日本はEVでも重要市場、成長トレンド」アウディ日本法人社長…充電インフラ整備が不可欠

アウディジャパン代表取締役社長フィリップ・ノアック氏
アウディジャパン代表取締役社長フィリップ・ノアック氏全 15 枚

昨年の自動車業界はパンデミックと脱ガソリン車で大きく揺れた。その中、アウディ ジャパンは13日、次世代型ブランドストア「House of Progress」開設と『e-tronスポーツバック』の「50クワトロ」の販売開始を発表した。

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アウディ全体では2020年の売上を8.3%落としている。パンデミックによるもので、2020年の業績ダウン、マイナス成長はグローバルな傾向だ。この状況で海外勢が巻き返しの切り札としているのがカーボンニュートラルやESG投資を見据えたCASE車両戦略だ。EV・PHEVの電動化に加え、自動運転、オンライン販売、アプリ連携、OTAによるソフトウェアアップデートなど、逆境をチャンスとして捉えているからだ。

日本も例外ではなく、政府もエネルギー政策投資の拡大を表明している。しかし、国内市場はEVよりもHVやディーゼル人気が圧倒的だ。その日本に次世代型ブランドストアやEVのプロモーションを展開する。「House of Progress」は東京が世界1号店となるもので、そこでの展示や体験は、アウディブランドに関するものだが、『Q4スポーツバックe-tronコンセプト』や『e-tron GT』(予定)の展示など電動化関連も目立つ。

その狙いはなにか? アウディジャパン代表取締役社長フィリップ・ノアック氏に、この疑問を投げかけてみた。

記者発表の場で、ノアック社長は日本市場を次のようにまとめている。

「2020年はアウディも工場一時停止など大きな影響がありました。グローバルで厳しい状況だったと言え、日本も前年比8%(販売台数)ダウンという結果でした。しかし、グローバルでのマーケットシェアはむしろ拡大し、日本では、下半期の回復がめざましく、9月10月には最高販売数を記録しています。日本はアウディ本体にとっても重要市場です」

「なぜ東京なのか?」という質問に対しては、「優先度の高い市場であるとともに、大都市である東京はメガトレンドの発信にふさわしい場所です。本社のマーケティング部長も『アウディの未来をぜひ東京から示したい』と推してくれました」と語る。

日本市場を評価しているということは、半導体不足による自動車生産の縮小についての質問でも言及された。アウディは今回の半導体不足で、いまのところ正式な減産は発表していない。必要な車両の確保は常に本社とコンタクトをとり、必要な車両の確保に心配ない(ノアック社長)という認識を示した。

では、実際EV(e-tronスポーツバック)は売れているのだろうか。

「2020年のセールスについては、A3が全体の20%以上と好調でしたが、『Q3』、『A1』も好調で想いのほか『A6』、『A8』、『Q8』も販売を伸ばしました。その中でe-tronスポーツバックは販売3か月で165台もの出荷となりました。1300万円以上のプレミアムカーとしては非常に大きい数字です」

日本の電動化シフトの現状については次のように述べた。

「ドイツも同じ状況でしたが、EV市場は急速に伸びています。日本でも数年前までは乗用車のディーゼルはあまり売れていませんでしたが、いまはひとつのトレンドになっています。EVでもこれと同じことが日本で起きると思っています」

「テストドライブによってEVを知ってもらうことで、プレミアムカーの市場での実績を作りました。ただし、マンション住まいの多い日本では、充電インフラの整備が不可欠だと思っています。EUでは75~150kWという充電器が普及しています。日本にも強力な充電器が必要です。また、政府の補助金に加え、駐車場の優先枠、バスレーンの走行など金融面以外のインセンティブも効果があります」

「House of Progress」では、EVを含む現行車両の試乗も可能だ。e-tronスポーツバックの成功で手応えを掴んだアウディは、900万円台の50クワトロの投入とe-tron GTの投入(予定)で、日本でのEV市場の礎を固めようとしている。

《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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