アルコール入りチョコでも運転はNG?市販チェッカーで検証してみた【岩貞るみこの人道車医】

アルコール入りチョコレートにどれだけの強い酒が入っているのか。4種類のチョコレートで検証してみた。
アルコール入りチョコレートにどれだけの強い酒が入っているのか。4種類のチョコレートで検証してみた。全 8 枚

アルコール入りチョコでも運転はNG?

寒くなると店頭に冬限定のチョコレートが並ぶ。その名はラミー(Rummy)。ラム酒につけたレーズンが入っている、ロッテの大人気チョコレートである。私などラミーが店に並び始めると、ああ、冬がきたなあと思い、必ず買ってしまう。

ところで、ラミーが置いてある棚には、「これはお酒です」と書かれた紙が貼ってある。ラミーの箱にも「運転時などはご遠慮ください」とある。チョコレートは主食にしてもいいくらい好きだけれど、運転ができなくなるのは困る。実際、どのくらい強い酒が入っているのだろうか。これは体をはって実験してみるしかない。

まず、飲酒運転の道路交通法を確認してみよう。大きくふたつに分かれることはご存じのとおり。

(1)酒酔い運転
正常な運転ができない恐れのある状態。まっすぐ歩けないとか、呂律が回らないとか、明らかに酔っ払い状態であるとき。

→点数は35点。免許取消で、欠格期間は3年。
5年以下の懲役または100万円以下の罰金。

(2)酒気帯び運転は、二段階になっている。

(ア)呼気中アルコール濃度が0.25mg以上
→点数は25点。免許取消で、欠格期間は2年。

(イ)呼気中アルコール濃度が0.15mg以上0.25mg未満
→免許停止。停止期間は90日。

酒気帯び運転の場合は、いずれも3年以下の懲役または50万円以下の罰金。

今回、テストしたのはいずれもロッテの製品で、1965年に発売されたラミー。さらに、1964年の発売以降、愛されてやまないバッカス。そして、いつのまにかラインナップに加わっていた、コーヒーリキュールと、ストロベリーブランデーの4種類。含まれるアルコール分はそれぞれ、ラミー(3.7%)、バッカス(3.2%)、コーヒーリキュール(2.6%)、ストロベリーブランデー(0.8%)である。

4種類のチョコレートと市販のチェッカーで検証

今回の検証に使用した市販のアルコールチェッカー今回の検証に使用した市販のアルコールチェッカー
計測に使用したのは、市販のアルコールチェッカー。食べる量は、ラミーとストロベリーリキュールは三本入りなので一本の26g。このグラム数に近くなるよう10粒入りのバッカスとコーヒーリキュールは、4粒の22.8gとした。食べるのはいずれも食後である。

ちなみに私は数年に一度しか酒を口にせず、ワインをグラスに一杯飲むだけで、やたら明るくなってうるさいという酒癖である。

計測は1種類につき3回行った。

(1)口の中に入っているとき。
(2)飲み込んだとき。
(3)水で口をすすいだとき。

である。

そして結果は!

口に含んだ状態だと「一発アウト!」な0.5mgを示した口に含んだ状態だと「一発アウト!」な0.5mgを示した
・ラミー:(1)0.5mg (2)0.2mg (3)0.0mg
・バッカス:(1)0.5mg (2)0.15mg (3)0.0mg
・コーヒーリキュール:(1)0.5mg (2)0.15mg (3)0.0mg
・ストロベリーブランデー:(1)0.1mg (2)0.0mg (3)0.0mg

最初に0.5という数字が出たときは、一発アウトじゃん!とあせったものの、飲み込んでしまうと急激に数字は下がる。(2)に関しては、口腔内のチョコレートの残り具合をそろえることがむずかしく、いい加減な数値であることは見逃してほしい。

ここでわかるように、口のなかから消え去れば呼気にアルコールは含まれない程度である。しかし、ここでひとつの疑念が浮かぶ。たしかに一本食べる程度ならこの数値であるものの、では、通常、私が食べる量、つまりひと箱ならどうなるのだろう?

飲み物だけでなく「食べ物」にも注意を

明治の「メルティキッス」。くちどけブランデー&オレンジ(3.1%)とくちどけラム&レーズン(3.8%)明治の「メルティキッス」。くちどけブランデー&オレンジ(3.1%)とくちどけラム&レーズン(3.8%)
そこで用意したのが、ラミーのライバル、明治のメルティキッス「くちどけラム&レーズン(3.8%)」である。ただ、メルティキッスは、ひと箱60g。かたやラミーは78g。量が少ない。

このため今回はもうひと箱、用意した。メルティキッス「くちどけブランデー&オレンジ(3.1%)60g」である。トータル120gだ。これを食後ではなく空腹時に食べたらどうなるのか。

結果!(1)0.5mg (2)0.3mg (3)0.0mg

やはり、口の中からなくなると、0.0mgであった。しかし、口の中からなくなっても、胃で消化され腸で吸収され、血中アルコール濃度が上がれば呼気に出てくるかもしれないと思い、15分間隔で2時間後まで計測したが、やはり0.0mgのままであった。

ただ、数字には出なかったとはいえ、なんだかお酒を飲んだときのようにふわふわ楽しい気持ちになったのは事実。過去には、アルコールフリーのビールを大量飲みして酒気帯び状態になった例もあると漏れ聞く。

アサヒビールのサイトを見ると、呼気中アルコール濃度が0.1mgで反応時間が遅れ、0.025mgで注意の集中に悪影響を与えるとある(出典:E.J.D.Ogden, H.Moskowitz(2004). Effects of Alcohol and Other Drugs on Driver Performance, Traffic Injury Prevention, pp.187-188)

今回は、市販のアルコールチェッカーだったので、小数点以下の細かな数字は出なかったし、数字的には酒気帯びにはならない程度だった。でも、これは私個人の数値であり、地球上の全員が同じ結果になるというわけではない。やはり運転時にお酒入りのスイーツその他はやめておくべきである。

皆さまにおかれましては、アルコールを飲むだけでなく、入った食べ物も十分に気を付けてくださいませ。ちなみに、メルティキッスふた箱120gの総カロリーは、656kcalです。こちらも、十分に気を付けて食べましょう!

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材するほか、ノンフィクション作家として子どもたちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。

《岩貞るみこ》

岩貞るみこ

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家 イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。著書に「未来のクルマができるまで 世界初、水素で走る燃料電池自動車 MIRAI」「ハチ公物語」「命をつなげ!ドクターヘリ」ほか多数。2024年6月に最新刊「こちら、沖縄美ら海水族館 動物健康管理室。」を上梓(すべて講談社)。

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