コムスのエンジニアが軽EVをつくるとこうなる…オートモーティブワールド2021

FOMM(オートモーティブワールド2021)
FOMM(オートモーティブワールド2021)全 15 枚

タイを中心に小型EVを展開していた「FOMM」が、いよいよ国内軽自動車市場に参入する。まずは自治体や事業者向けのビジネスだが、インホイールモーターを採用するなど設計の細部は専門家を唸らせる。

【画像全15枚】

カーボンニュートラルや脱ガソリンエンジンに揺れる自動車業界において、軽自動車は価格面で電動化が難しいとされる。しかし、電動車の特性を考えるとむしろ小型の軽自動車こそEVに向いている。FOMMが提案する軽EV『FOMM One』がまさにそれを具現している。

タイで生産されアジアで販売されるFOMM Oneは、EVながら水に浮く。洪水が多く、政府高官の間では、ドイツ車ではなく、いすゞのピックアップトラックが人気というアジア地域ならではの特徴だ。スペックは、12kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載し、航続距離はNEDC基準で166kmとなっている。充電はType2と呼ばれる規格でチャデモには対応していないが、200Vの普通充電が可能。バッテリー容量が大きくないのでむしろ普通充電のほうが効率がよくバッテリー保護にもなる。

小型EVでは、トヨタが昨年末『C+pod(シーポッド)』を発表し自治体向けに販売すると発表している。しかし、これは超小型モビリティという分類で、安全性の問題から最高速度が60km/hに制限され、高速道路は走行できない。展示してあったFOMM Oneは、軽のナンバーがついておりそのような制限はない。乗車定員も4名。今回の展示車両は、川崎のFOMM本社から高速道路を使って自走してきているという。

軽自動車は登録車に比べて安全性に限界があるとされるが、FOMM OneはEU基準L7eに準拠している。ボディ下を覗くと、太いラダーフレームが2本みえる。これにバギーのようなパイプフレームで骨格が組まれ、バッテリーや足回り、キャビンが固定されている。ボディ剛性が高そうだ。しかもリアサスペンションはマルチリンクになったダブルウィッシュボーンだ。軽自動車とは思えない設計が至るところに見える。FOMMの社長は二輪の設計やトヨタ車体『コムス』の設計にも携わったエンジニアで、FOMMにも大手自動車メーカー出身のエンジニアが多数在籍しているという。

さいたま市と小型EVのシェアリングカー事業の実証実験を10台のFOMM Oneで実施することが決定している。1月末に市民にむけた試乗会も予定されている。バッテリーは約3kWhの小型パックを4つリアアクスルとフロアに搭載するが、交換もかんたんにできるようになっている。シェアリングカーのような事業では、普通充電の他、バッテリー交換(手動)にも対応するのは、緊急時の対応やサービス品質に貢献する。

FOMM Oneには、じつはアクセルペダルがない。足元はブレーキペダル(回生あり)のみ。文字通りのワンペダルだ。アクセルはステアリングコラムについた左右のパドルレーバーで行う。左右どちらもアクセルとして機能し、2つ操作すると全開となる。

さいたま市と小型EVのシェアリングカー事業の実証実験を10台のFOMM Oneで実施することが決定している。1月末に市民にむけた試乗会も予定されている。バッテリーは約3kWhの小型パックを4つリアアクスルとフロアに搭載するが、交換もかんたんにできるようになっている。シェアリングカーのような事業では、普通充電の他、バッテリー交換(手動)にも対応するのは、緊急時の対応やサービス品質に貢献する。

日本での販売価格は250万円前後になるという。ADAS機能がつかないのもマイナスポイントだが、家庭用のコンセントで効率よく充電できるなら、地方、過疎地ほど便利だ。農家なら庭に何台も車を止められる。シニアカーを毎日充電しているなら、FOMM Oneのような軽EVを充電するのと手間は変わらない。地方ではSSの減少が問題になっているが、自宅充電で解決可能だ。FOMM Oneのような軽EVが普及する余地はある。

《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

レスポンス公式TikTok

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. トヨタ『シエンタ』専用の車中泊キット、3列シート7人乗り用が新登場…YURT
  2. ペット専用キャンピングカー、CAMBYが出展へ…FIELDSTYLE TOKYO 2026
  3. 【マツダ ロードスターRS 新型試乗】人や荷物ではなく「夢と愉しみ」を運ぶクルマ…中村孝仁
  4. トヨタ『ヤリスクロス』次期型がまもなく登場?!…土曜ニュースランキング
  5. 日産『エルグランド』新型、「AUTECH」のデザインを先行公開…“至福の空間”仕様の「VIP」も
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  3. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
ランキングをもっと見る