EC市場の急激な伸びとコロナ禍のステイホーム需要から、物流のラストマイルビジネスが拡大している。宅配やフードデリバリで機動力を発揮するのが二輪、三輪バイクだ。ホンダは、バイク用運行管理サービス「Honda FLEET MANAGEMET」を展示していた。
タクシーやバス・トラックの運行管理システムはすでに多くのソリューションが存在する。しかし、バイク用の運行管理システムはまだ少ない。ホンダは「ベンリィ(EV)」「ジャイロ」「スーパーカブ」をベースにした独自の運行管理システム「Honda FLEET MANAGEMENT」(HFT)を開発した。
HFTは、スマートドライブのクラウドプラットフォームをベースに作られている。管理に必要なデータは、バイクに取り付けたGPSアンテナとモーションセンサーを内蔵した小型の4G通信モジュールを介して行う。
いまのところ対応するバイクはホンダ製になるが、ガソリンエンジンのバイクで、位置情報や時間、動きだけが必要なら、コネクタに必要なのは電源ラインくらいだ(EVバイクの場合、バッテリーの残量なども管理する必要がある)。原理的にはバイクメーカーに依存しないソリューションといえる。
荷台は素の状態。二輪業界も、四輪車のOBD IIのような標準的な診断ポートの規格化の話はある。これが実現すれば、バイクのコネクテッド化も進む可能性がある。電動バイクとともに普及が進めば、新しいビジネスやサービスへの期待も膨らむ。
HFTは2020年10月から正式にローンチされており、すでに複数の採用実績があるという。顧客名は公表できないが、フードデリバリサービスでの運用実績もある。ビルメンテナンス会社の事例では、フィールドエンジニアの手配・派遣に応用したものがある。定期メンテナンスの巡回スケジュールの他、緊急対応や修理依頼に対して動的な手配も可能になったそうだ。
GPSアンテナと通信モジュール運行管理システムによるログは、顧客のクレーム対応の証拠や確認にも使えるし、ライダーの自覚も促す。もちろん、アプリの設計によっては配送車の現在位置確認など顧客サービスにも貢献する。EC・宅配ニーズの増加は、小口輸送、ラストマイルの配達にバイクの活用を広げている。