「青春18」族に悲報…「大垣夜行」の歴史にピリオド 『ムーンライトながら』運行終了

JR移行後からまもない頃の「大垣夜行」。この頃は165系電車で運行されており、当時、東海道本線唯一の昼行急行だった『東海』と共通運用だった。東海道本線東京駅。
JR移行後からまもない頃の「大垣夜行」。この頃は165系電車で運行されており、当時、東海道本線唯一の昼行急行だった『東海』と共通運用だった。東海道本線東京駅。全 3 枚

JRグループ旅客6社は1月22日、春の臨時列車(春臨)運行計画を発表し、JR東日本とJR東海が東京~大垣間の臨時快速『ムーンライトながら』の運行終了を正式に表明している。

同列車のルーツは、1968年10月改正まで運行されていた東京~大阪間の夜行客車普通列車143・144列車で、同改正では東京~大垣間に運行区間が縮小され、荷物電車を併結した153系準急型電車に置き換えられた。

この列車はいつしか「大垣夜行」と呼ばれるようになったが、143・144列車を踏襲して1等車が連結されていた。1969年5月に等級制度が廃止され、1等車がグリーン車に改められると、300km以上の長距離を格安な普通列車用グリーン料金で旧1等車を利用できるようになったことから、一時は発車の数時間前から乗車位置に長蛇の列ができるほどの人気を誇った。

大垣夜行は、1982年11月改正で全車が165系急行型電車による編成に。JR移行後は「青春18きっぷ」発売時の人気を受けて、1989年度の冬臨から臨時便(いわゆる「臨時大垣夜行」)の運行も始まった。そして1996年3月改正では、165系の老朽化に伴ない、定期便がJR東海の373系特急型電車に置き換えられ、一部区間が全車指定席となる快速『ムーンライトながら』として発展的解消を遂げた。

その後は、2003年度夏の臨時列車から、臨時便がJR東日本の183・189系特急型電車に置き換えられ全車指定席となり、『ムーンライトながら91・92号』と命名されたが、定期便は2009年3月改正で臨時列車に格下げとなり、それまで臨時便に運用されていた183・189系が充当された。2013年度冬の臨時列車からは『踊り子』でおなじみの185系に置き換えられたが、こちらはグリーン車がない編成が充当された。

そんな『ムーンライトながら』ではあったが、JR東日本とJR東海では「お客さまの行動様式の変化により列車の使命が薄れてきたことに加え、使用している車両の老朽化に伴い」として、今春臨を機に正式に運行終了を表明。結果的に最後の運行は2020年の春臨となり、大垣夜行の歴史は半世紀余りでピリオドが打たれることになった。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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