ボルボの名車『P1800』、420馬力ターボ搭載で甦る…雪上ドリフト[動画]

オリジナルのボルボP1800は1961年に生産開始

車両の重量は1トンを切る990kg

スタビリティコントロールやABSは未装備

雪上ドリフト走行の狙いとは?

ツーリングカー選手権参戦マシンのエンジンがベース

ボルボ P1800 シアン
ボルボ P1800 シアン全 25 枚

シアンレーシングは2月16日、ボルボ『P1800シアン』(Volvo P1800 Cyan)が、雪上でドリフト走行する映像を公開した。

写真:ボルボ P1800 シアン

シアンレーシングは1996年に設立された。2013~2015年には、ボルボ『S60』と『V60』の高性能モデル、「ポールスター」の開発に参画した。2015年にポールスターがボルボカーズの傘下に入るまでは、ポールスターのモータースポーツ活動を手がけていた。シアンレーシングは現在、世界最高峰のツーリングカーレースの「FIA WTCR」に参戦しており、2019年には「WTCR」でタイトルを獲得している。

シアンレーシングは、ボルボカーズを代表する名車の『P1800』(1961~1972年)を最新技術で再現し、限定生産する計画だ。

オリジナルのボルボP1800は1961年に生産開始

ボルボカーズは1959年初頭、2ドアの新しいスポーツカーを発表した。この新モデルはP1800と呼ばれ、後に『P1800S/1800S』および『1800E』と名称が変更された。この新型スポーツカーにはイタリアのスタイルが取り入れられ、1961年に生産が開始された。

当時のボルボカーズには、自社における生産能力がなかったため、P1800の初年度の生産は、英国で行われた。ボディの生産はプレストスチール、最終組み立てはジェンソンが請け負った。その後1963年、P1800Sの組み立ては、スウェーデンのイエテボリとルンドビュー工場へ移管された。ボディの生産もまた、スウェーデンとオロフストレム工場に移された。

ボルボP1800は、ボルボ『121/122S』のフロアパンをベースにしているが、ホイールベースは短縮された。エンジンも新開発の1.8リットル直列4気筒エンジンが搭載された。最大出力は当初100hpだったが、後に108hp、115hp、120hpに強化された。フロントにエンジンを搭載し、後輪を駆動する。

1968年秋には、排気量を2.0リットルに拡大し、最大出力118hpを発揮する新エンジンが導入された。その後1969年には、燃料噴射式のバージョンが開発され、出力がさらに強化された。1961~1972年の間に、累計3万9414台が生産されている。

車両の重量は1トンを切る990kg

このボルボP1800を最新技術で再現したのが、シアンレーシングのボルボP1800シアンだ。シアンレーシングは1960年代のデザインとエンジニアリングを基本としながら、エンジンやエアロダイナミクス、シャシーの設計に関するノウハウを応用した。

ボルボP1800シアンでは、オリジナルモデルに対してトレッドを拡大し、より大きなホイールを装着した。ボディサイズは、全長4203mm、全幅1748mm、全高1220 mm、ホイールベース2446mmだ。

ボルボP1800シアンは、高強度スチールとカーボンファイバーを使用して強化された。オリジナルの構造を再設計し、三角測量によってシャシーの弱点を強化し、高強度スチール製シャシーにカーボンファイバー製ボディを組み合わせた。この結果、車両の重量は1トンを切る990kgに軽量化されている。前後重量配分は、47対53とした。

スタビリティコントロールやABSは未装備

調整可能なフロントとリアのサスペンションには、アルミ製のアップライト、ダブルウィッシュボーンなど、オーダーメイドの軽量コンポーネントを導入した。車両のセッティングは、ラップタイムではなく、ドリフトなど楽しくエキサイティングなドライビング体験を実現することを目的としているという。

カーボンファイバーで強化されたシャシーには、18インチホイールと、フロントに235/40R18、リアに265/35 R18サイズのピレリ「P Zero」タイヤを組み合わせた。ボルボP1800シアンでは、ドライバーとタイヤ、路面がダイレクトにつながることを重視した。そのため、スタビリティコントロールやABS、ブレーキブースターは、装備されていない。ブレーキブースターやABSがないブレーキは、362×32mmのスチールディスクを備えた4ピストンキャリパーによって制動を行う

ツーリングカー選手権参戦マシンのエンジンがベース

直噴2.0リットル直列4気筒ガソリンターボエンジンは、2017年にWTCRでタイトルを獲得したボルボ『S60 TC1』用のエンジンがベースだ。最大出力は420hp/7000rpm、最大トルクは46.4kgm/6000rpmを引き出す。レッドラインは7700rpmとした。

エンジンはターボ付きだが、自然吸気エンジンの出力とトルク特性を発揮するように設計されている。これは、1960年代のエンジンのキャラクターを再現するのが狙いだ。具体的には、高回転志向とし、トルクはアクセルペダルに対してダイレクトかつ直線的という。

トランスミッションは、オリジナルのボルボP1800の機械的なフィーリングを維持するために、特注の「Holinger」5速MTを選択した。また、オリジナルのボルボP1800のリアアクスルは、独立したリアサスペンションに置き換えられた。

雪上ドリフト走行の狙いとは?

シアンレーシングは、このボルボP1800シアンが雪上でドリフト走行する映像を公開した。シアンレーシングのチーフエンジニアのマティアス・イヴンソン氏が、ボルボP1800シアンでスウェーデン北部に向かい、気温マイナス-20度の中、雪上ドリフトを行った。

これは、ボルボP1800シアンの開発テストの一環だ。ボルボP1800シアンは、最新パフォーマンスカーのパワー、重量、パフォーマンスの数値とは異なり、過去と現在の最高のものを組み合わせることを目指したという。今回のテストは、雪上という厳しい状況で、ボルボP1800シアンの特性と限界を確認するのが狙いだ。

ボルボP1800シアンの重量は1000kg以下で、スタビリティコントロールやABSなどのドライバーエイドシステムはなく、マニュアルギアボックスにレッドゾーンまでパワーを伴って吹け上がるエンジンを備えている。ボルボP1800シアンの目標は、最新のパフォーマンスカーのように、パワーと重量を制御する電子デバイスに頼るのではなく、限界を探求するドライバーが楽しめるコントロールの自由度を備えた車を開発することにあるという。

テストを終えたマティアス・イヴンソン氏は、「エンジンのレスポンスやシャシーのバランス、軽量化によって、ボルボP1800シアンには遊び心があり、操りがいがある。このコンセプトは、最新のパフォーマンスカーではいくらか失われているようだ。ボルボP1800シアンは、基本に戻っている」と語っている。

《森脇稔》

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