【WEC】フェラーリが「2023年ルマン・ハイパーカー参入」を表明…最前線の活況化ムード、さらに色濃く

フェラーリは2023年にハイパーカー(LMH)でWECに参入する。
フェラーリは2023年にハイパーカー(LMH)でWECに参入する。全 5 枚

24日、フェラーリは2023年に世界耐久選手権(WEC)のトップカテゴリー「LMH」(ルマン・ハイパーカー)に参入する意向を表明した。WECの最前線、ルマン24時間レースの総合優勝戦線が近未来に活況を呈する可能性が一層高まってきている。

モータースポーツにおけるフェラーリといえば、その活躍の舞台はなんといってもF1。相互関連の深さは、F1あってのフェラーリ、フェラーリあってのF1、と評せるくらいだが、実は“スポーツカー耐久レース”の最高峰「ルマン24時間レース」においてもフェラーリは燦然と輝く実績を有している。ルマンでの総合優勝は9回を数え、これはポルシェ(19回)とアウディ(13回)に次ぐ歴代3位の記録なのだ。

フェラーリのルマン総合優勝は最初が1949年(第2次世界大戦後の初開催、10年ぶりの開催だった年。フェラーリはデビュー優勝との資料がある)。そして現時点の最後が1965年となっている。1960~65年は6連覇だった。

フェラーリは今回の発表に際し、「フェラーリは1973年に当時のスポーツカーの世界選手権、その“プレミアクラス”に最後のオフィシャルな参加をして以来、50年を経て(2023年に)WECハイパーカー・クラスに参戦する」という表現をしている。

1958年に開催された「ルマン24時間レース」の模様(フェラーリのライブラリー写真)。1958年に開催された「ルマン24時間レース」の模様(フェラーリのライブラリー写真)。

あまりにも長い時間が経過しており、様々な周辺状況が変化を重ねているため、何をもって何がいつ以来という言い方を断定的にはできないところだが、とにかくフェラーリがルマンの総合優勝戦線に久々、本格復帰することとなった。フェラーリは24日、今季から導入のWEC/ルマン新トップカテゴリー規定「LMH」(ルマン・ハイパーカー)のマシンを開発し、2023年の参入を目指す旨を発表している。

現行WECにおいてこれまでフェラーリのマシンが戦う場所はトップカテゴリーではなく、GTマシンのカテゴリーであり続けてきた(今季2021年もセミワークス格のAFコルセがLMGTE-Proクラスに参戦、LMGTE-AmクラスにもAFコルセなどが参戦する)。

1962年に開催された「ルマン24時間レース」の模様(フェラーリのライブラリー写真)。1962年に開催された「ルマン24時間レース」の模様(フェラーリのライブラリー写真)。

今季2021年のWEC(4月開幕予定)に最初からLMH規定車で参戦するメジャーなメーカー/ブランドはトヨタのみ。今季の新トップカテゴリー“ハイパーカー・クラス”参戦予定台数は、1月発表の暫定エントリーリストで5台という寂しめな状況になっている(トヨタGR010が2台、グリッケンハウス007LMHが2台、旧LMP1規定車で参戦のアルピーヌが1台)。

しかし、近未来のWEC/ルマンの最前線、その隆盛の機運はいよいよ本格化してきた印象である。2022年にはプジョーがLMHでの参入を目指しており、ポルシェとアウディも「LMDh」という別の新規定を使ってのトップカテゴリー近々参戦意向をもっている。そこにフェラーリが2023年のLMHでの参入を明らかにした。これはWEC/ルマンの最前線隆盛化への最高の切り札、決定打ともいえる動きであろう。

1972年に開催された「タルガ・フローリオ」の模様(フェラーリのライブラリー写真)。1972年に開催された「タルガ・フローリオ」の模様(フェラーリのライブラリー写真)。

2020年代の中盤にはルマンに過去何度かあった「メーカー群雄割拠の黄金時代」がやって来そうな雰囲気、それが色濃くなってきたといえそうだ。

なお、フェラーリの計画に関しての詳細や車名、ドライバー等の発表は今後追って、とのことである。誰がフェラーリのハイパーカーでルマンを走ることになるのか、これからしばらくは、まず人事面が焦点化するかもしれない。2022年LMH参入予定のプジョーがこの2月にドライバーを発表していることから考えると、フェラーリのLMH人事も、遅くとも来年の早い段階までには決まるものと思われる。

フェラーリは現行WECではGTカテゴリーで活躍を続けている(写真は2019年のルマン)。フェラーリは現行WECではGTカテゴリーで活躍を続けている(写真は2019年のルマン)。

《遠藤俊幸》

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