ボルボが仕掛けるのはEV化だけではない…C40 オンライン+サブスク販売の意味

ボルボC40発表
ボルボC40発表全 6 枚

ボルボカージャパンは『C40』の今秋日本市場投入を発表したが、その販売方法についてオンライン販売とサブスクリプションプランを導入するとしている。画期的な動きといえるが、ディーラーやユーザーはどうなるのだろうか。

3月2日の発表では、ボルボカーのEVブランド化が大きなインパクトで報道されているが、その日本国内での販売方式も興味深い。パンデミック以降、欧米では車両のオンライン販売が広がっている。車両のサブスクリプション販売についても、国内でもKINTOがステイホーム需要から契約を伸ばしているという。

C40のオンライン販売やサブスクリプションプランはどういった内容だろうか。どちらも今秋、C40発売時に実施されることはほぼ間違いないが、詳細は未定または非公開となっている。あくまで発表時点での情報となるが、国内においてC40以降のBEVは原則オンライン販売になるという。ボルボは2030年までに新車をEVのみにする表明しているので、10年スパンの長期では、ボルボ車の販売はオンライン購入が基本となっていくはずだ。

これによりディーラーや販売店の役割が徐々に変わっていくことが予想される。ボルボカージャパンとしては、オンライン販売に移行することでディーラーの数を減らすことはないという。購入前の相談、試乗。納車場所、購入後のメンテナンスなどはディーラーの機能として必要だからだ。ただし、ディーラーや代理店によっては、ショールームや対顧客のフロント業務、整備やメンテナンス、その両方といった形で機能分化は進むだろうとする。

この部分はテスラのモデルに近くなる。テスラの場合、納車や整備を出張サービスで対応することがあるが、ユーザーにとっては、納車の新しい体験(自宅にローダーやカーゴが来てその場で新車が納品される)だったり、ディーラーや工場に持ち込む手間・代車手配などの面倒なしに整備が終わったりするので、無店舗が必ずしも弱点になっていない。

サブスクリプションプランは、今秋に国内で販売が開始される先行100台について適用されるという。グローバルでも車両価格の発表がないので、初期費用、月額はまったく白紙のようだ。ただし、保険、基本的な整備やEVチャージングプランなど通常の維持にかかるコストは「サブスクリプション」に恥じない内容したいとのことだ。

発表された中での最大の特徴は「3か月以内なら余分な負担なしに解約可能」という点だ。これも詳細は未定だが、考え方としては解約に高額な解約金や面倒な手続きなど、追加コストを強いられるようなことはないだろう。EVは不安。スタイルに合うかどうかわからないといったユーザーにはよい選択肢となる。

サブスクリプションを導入するねらいは、とにかく国内のEV普及のハードルを下げることだ。ボルボのサスティナブルプランはグローバル全体で推し進めるもため、日本市場も例外ではない。国内ではHV指向が強いからといって、ボルボカーは日本向けの車両を用意してくれるわけではない。サブスクリプションプランは、日本など地域の状況に応じた展開になるそうだ。

オンライン販売は、試乗など実物を見る機会があれば購入そのものがディーラーでの手続きになるのか、スマホの操作になるのかの違いだ。ネットに慣れた世代にはむしろ便利である。販売方法も、店舗ごとの采配やインセンティブで不透明な部分が排除され、価格の透明性が増す。これは、ユーザー、ディーラー双方にとってよい面がある(デメリットも当然あるが)、リテラシーの高い層にはネガティブ要素になりにくい。

サブスクリプションも、過渡期のEVの販売方法としては親和性もある。EVについて、1泊試乗や残価設定クレジットなどで購入ハードルを下げる試みがされているが、同様にサブスクリプションもEVの食わず嫌いの改善につながる可能性がある。

ボルボのようなオンライン販売、サブスクリプションへのシフトは、メーカーとディーラーの関係が強い日本においては簡単ではないかもしれない。発表会では「日本でもプレミアムEV市場は確実に広がる」と自信をみせているように、C40が日本で受け入れられる要素はある。そしてこのような販売方法やビジネスモデルは、市場や社会の受容度が一定を超えた時点で、マーケットに一気に広がる可能性が高い。オンラインやサブスクリプションは、ユーザーにとって初期購入コストが下がるため、むしろ大衆マーケットほど浸透しやすい。

《中尾真二》

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