VWが次世代EVセダン開発…プロジェクト「トリニティ」立ち上げ 2026年から生産

新開発の電動車向けプラットフォーム

車内のデジタルシステムを通じてオンデマンドで必要な機能をアクティブ化

航続や充電速度などの面で新基準を設定

VWの次世代EVセダン開発プロジェクト「トリニティ」のティザースケッチ
VWの次世代EVセダン開発プロジェクト「トリニティ」のティザースケッチ全 7 枚

フォルクスワーゲンは3月5日、次世代EVの開発プロジェクト、「トリニティ」を立ち上げた、と発表した。2026年から、航続や充電速度、デジタル化の面で革新を遂げ、レベル4の自動運転も可能にする新型EVセダンの生産を開始する計画だ。

新開発の電動車向けプラットフォーム

プロジェクト名のトリニティ(Trinity)は、ラテン語の「trinitas」に由来し、「tri-unity」を示している。トリニティでは、3つの重要なテーマが掲げられた。それは、最先端のソフトウェアを備えた新開発の電動車向けプラットフォーム、供給構造の簡素化、およびドイツ・ヴォルフスブルク工場でのフルネットワーク化されたインテリジェントな生産システムだ。

トリニティでは、量販車セグメントで多くの顧客が、自動運転できることを目指す。2026年に計画されている量産開始までに、トリニティはすでに部分自動運転の「レベル2+」に到達し、技術的に完全自動運転のレベル4実現の準備を整える。フォルクスワーゲンは量産効果によって、多くのユーザーが自動運転を利用できるようにする。ディープラーニングの基礎になるニューラルネットワークを構築し、交通状況、障害物、事故など、車両との間でデータを継続的にやり取りするための技術を開発している。

自動運転化によって、トリニティは顧客に時間を与え、ストレスを軽減する。長い高速道路の移動でも、リラックスして目的地に到着することを可能にする。トリニティは顧客にとって、一種の「タイムマシン」になることを目指しているという。

車内のデジタルシステムを通じてオンデマンドで必要な機能をアクティブ化

トリニティの新型EVセダンを2026年から生産することにより、ドイツ・ヴォルフスブルク工場は最先端のインテリジェントでフルネットワーク化された生産プロセスの手本になるという。フォルクスワーゲンは自動車の生産方法を見直し、デジタル化、自動化、軽量構造などの革新的なアプローチを導入していく。

トリニティなど、将来の市販モデルは、少ないバリエーションで生産され、ハードウェアの大幅な標準化が図られる。これにより、車両には事実上、すべてのものが搭載され、顧客は車内のデジタルシステムを通じて、オンデマンドで必要な機能をアクティブ化できるようになる。これによって、生産時の複雑さが大幅に軽減されるという。

自動車をソフトウェアベースの製品に発展させることにより、フォルクスワーゲンは新しいデータベースのビジネスモデルを作り出すことを狙う。個人のモビリティに対する参入障壁も低くしていく。フォルクスワーゲンは、充電およびエネルギーサービス、顧客が必要に応じて予約できるソフトウェアベースの機能、自動運転のために、ユーザーが使用段階で追加の収益を生み出すことを目指している。

航続や充電速度などの面で新基準を設定

将来の自動車は、購入時のハードウェアによって決定されなくなる。代わりに、顧客は車内のデジタルシステムによって、オンデマンドで機能を追加できるようにしていく。

フォルクスワーゲンは、次世代EVセダンのティザースケッチを1点公開した。この新型EVセダンは2026年から、ドイツ・ヴォルフスブルク工場において、生産が開始される予定で、フラットかつスポーティなデザインが特徴になるという。なお、フォルクスワーゲンのEVセダンには2018年春、スイスで開催されたジュネーブモーターショー2018で初公開されたコンセプトカー、『I.D. VIZZION』がある。

フォルクスワーゲンブランドのラルフ・ブラントシュテッターCEOは、「トリニティは、ACCELERATE戦略やソフトウェア主導のドリームカー開発の結晶だ。新開発の電動車向けアーキテクチャは、航続や充電速度、デジタル化などの面において、新基準を設定する」と語っている。

《森脇稔》

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