日本初! ロボットが公道を経由してスーパーの商品配送、横須賀市で開始 楽天×西友

日本で始めて、自動配送ロボットによる公道を使った商品配送サービス
日本で始めて、自動配送ロボットによる公道を使った商品配送サービス全 20 枚

楽天、西友および横須賀市は、「西友馬堀店」(神奈川県横須賀市)の商品を自動配送ロボットが配送するサービスを、2021年3月23日~4月22日の期間限定で実施中だ。公道を自動配送ロボットが走行してスーパーの商品を配送するのは国内初となる。

楽天ペイ決済による発注か、店頭での配送依頼の二通りが選べる

今回のサービスは、横須賀市が推進するスマートモビリティを活用した新規ビジネス創出や社会的課題解決を目指す「ヨコスカ×スマートモビリティ・チャレンジ」の一環として展開されるもの。これまでにも自動配送ロボットやドローンを活用した一般利用者向け配送サービスを期間限定で提供してきた。また、楽天と横須賀市は2020年11月に包括連携協定を締結。自動配送ロボットやドローンによる無人配送を通じた地域課題の解決に向けて連携を深めて来ている。

今回のサービスは2020年12月に馬堀海岸地域で実施した公道走行実証実験を経て、自動配送ロボットが安全に公道を自動走行できることを確認してサービスインに至ったもの。サービス対象となった馬堀海岸地域は、戸建てが並ぶ閑静な住宅街。西友馬堀店は同じブロック内にあり、この区間を自動配送ロボットが結んで配送を行う。

自動配送ロボットはパナソニック製で、原付第1種のナンバーを装着し、車体には周囲を常に監視するLi-DARやカメラを装備。期間中の走行では保安要員が随行するほか、カメラによる遠隔監視を受けながら4km/hでブロック内の公道を自律走行する。国土交通省から基準緩和認定を取得し、地元警察署から道路使用許可を得て本サービスを実現した。

今回のサービスでは2つの方法で利用ができる。一つは横須賀市馬堀海岸地域の利用者が専用のスマートフォン向けの楽天ペイ注文サイトから商品を選択し、配送先住所と配達時間帯を指定して注文する方法。もう一つは西友馬堀店で購入した商品をサービスカウンターに持ち込んで配送を依頼する方法だ。より多くの利用者を獲得するために、今回はいずれの場合も利用料を無料とし、利用状況を踏まえて今後の有料化を検討する。

積載可能な容量はスーパーの買い物カゴ4杯分。サービスは期間中の火曜・木曜日のみ計10日間が対象で、サービス受付時間は10時~15時30分。配送枠は各日11時発、12時発、13時発、14時発、15時発、16時発の計6枠を用意した。注文できる商品は米や飲料、菓子、調味料、日用品などの計約400点。ロボットに対応設備がないため、生鮮食品や要冷蔵・冷凍食品、割れ物などは対象外となる。

保安要員と共に自律走行、大型障害物に対しては遠隔操作で回避行動

サービス初日である3月23日にはメディア向けのデモを実施。利用者が西友馬堀店で購入した商品を自宅まで届けるという想定で実施された。

店舗横の道路上で商品を配送ロボットに積載して扉を閉めると間もなく自動配送ロボットがスタートした。背後には一定間隔を置いて保安要員が随行するが、通常時は自動配送ロボットの状態を監視しているだけで、特に何かをするわけではない。あくまで緊急事態が発生した際に、ロボットの後端に備えられた緊急停止ボタンを押すための要員だ。

自動配送ロボットはあらかじめ記憶した地図に沿って道路の左側を自動走行。交差点や人などの障害物を検知すると一旦停止するが、車両などの大型の障害物を発見した際は右側にはみ出して走行する必要があるため、その間の走行は遠隔監視によるコントロールに切り替わる。そして、障害物を過ぎて地図上のルートに戻ると遠隔操作で自動走行に切り替えてロボットは再び自律走行に入っていく。

目的地付近に近づいた自動配送ロボットは、あらかじめ利用者から伝えられた電話番号に自動音声を使って到着を通知。その通知を受け取った注文者は玄関先に出てロボットと対面。注文者はロボット側面の操作パネルに暗証番号を入力して扉を解錠し、商品を受け取ることができた。

自動配送ロボットによる配送サービスを受けた80歳代の女性利用者は、「西友は近所であるが、高齢になると水や米といった重いモノをぶら下げて帰宅するのは大変。こうやって届けてもらえると大変助かり、今後も継続して利用していきたい」と述べた。

「近い将来、横須賀市ではロボット配送をスタンダードに」横須賀市長

説明会で挨拶に立った横須賀市の上地克明市長は「横須賀は山と坂が多く、高齢化が進む住民にとって日常生活に不便を来している。今回の取り組みはそうした課題解決に向けて一筋の光を見出すものとなる。自動配送ロボットは横須賀市が掲げるスマートモビリティ・チャレンジの理念に沿うもので、横須賀市では近い将来、ロボット配送をスタンダードにしていきたい」と、今回のサービス発展に期待を寄せた。

楽天の執行役員コマースカンパニー ロジスティクス事業ヴァイスプレジデントの小森紀昭氏は「テクノロジーを使って、より良いサービスをエンドユーザーに届けたい。ラストワンマイルの輸送に自動配送ロボットやドローンを活用し、次世代ロジステック技術のコアとしていきたい」と本サービスに対する抱負を述べた。

西友の店舗運営本部関東リージョン・ローカルリージョンのバイズ・プレジデントの小川秀典氏は「横須賀市内には4つの店舗を構え、地域のライフライン確保することに強い使命感を持っている。災害時だけでなく、高齢者や障害者、またコロナ禍によって来店が困難となる状況においてもライフラインの確保に努めたいと考えてきた。楽天と協力をしていく中で物流のイノベーション構築に向けて邁進していきたい」と述べた。

また、今回のサービスについて説明した楽天のドローン・UGV事業部ジェネラルマネージャー向井秀明氏は「今回の実験を経て、次の目標は遠隔監視によって複数の自動配送ロボットを随行員なしで自律走行させること。すでに法整備などの環境は整ってきており、できるだけ早い時期に実現させたい」と次に目指す新たなステップについて明らかにした。

《会田肇》

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