トヨタ・日野・いすゞが提携、物流業界が抱える課題解決を目指す

向かって左から:日野自動車の下義生代表取締役社長、トヨタ自動車の豊田章男代表取締役社長、いすゞ自動車の片山正則代表取締役社長
向かって左から:日野自動車の下義生代表取締役社長、トヨタ自動車の豊田章男代表取締役社長、いすゞ自動車の片山正則代表取締役社長全 2 枚

トヨタ自動車と日野自動車、いすゞ自動車の3社は3月24日、東京都内で共同記者会見を開き、4月に共同出資会社を設立し、商用車のCASE分野で提携すると発表した。あわせてトヨタといすゞが株式の持ち合いをして再び資本関係を結ぶことも発表した。

トヨタといすゞは2006年にディーゼルエンジンの開発で資本提携を結んだが、なかなか成果が上げられずに18年に資本関係を解消した。しかし、最近になってCASEの進展やカーボンニュートラルへの取り組みなど共通の話題も増えてきた。

「お互いに肩の荷が下りた段階で、もっといいモビリティ社会づくりで会話が進み出した。自動車業界のカーボンニュートラルを達成するには、みんながそれぞれの強みを出し合い、メーカー目線ではなくユーザー目線から考える必要があるということから、いすゞとの連携がまた始まった」とトヨタ自動車の豊田章男社長は説明。

一方、いすゞの片山正則社長は「電動化に関しては議論を続けてきたが、今回、いすゞと日野が組めば、国内商用車の8割を占めることになる。もっともライバルでもあるのでお互い様子見するところもあったが、トヨタが非常に大きな接着効果となった」を話す。

やはり自動車業界のカーボンニュートラルを達成するには、CO2を多く出す商用車分野を抜きにしては進まない。なにしろ、国内の自動車保有台数のうち、商用車は2割しか占めないものの、走行距離では4割、そしてCO2排出量では半分を占めているからだ。

しかも商用車を使う物流業界は、多頻度配達をはじめとした厳しい労働環境、人手不足など課題が山積で負のスパイラルに陥っている。「現場を知れば知るほどやるべきことがある。例えば車両データの連携にも課題があり、それが解決できれば、現場は助かる。商用車メーカー2社では足を踏み出せない部分に、トヨタの技術が入ることで、新たな一歩となる」と日野自動車の下義生社長は話す。

今回の提携では3社が小型トラック領域を中心に、電気自動車(EV)、燃料電池車(FCV)、自動運転技術などを共同で開発する。そして、車両コストの低減を進めるとともに水素ステーションなどのインフラ整備の加速を狙う。また、3社のコネクティッド基板をつなぎ、1つの商用版電子プラットフォームを構築。物流業者にそのソリューションを提供し、商用車の輸送効率を向上させることで、CO2排出量の低減にもつなげていく計画だ。

それを推進するための新会社が4月に設立される「コマーシャル ジャパン パートナーシップ テクノロジーズ(CJPT)」だ。資本金は1000万円で、トヨタが80%、日野といすゞがそれぞれ10%ずつ出資する。

「“もっといいモビリティ社会”をつくるためには、“競争”だけではなく、“協調”していくことがますます大切になってくる。今回の協業は、3社のうち、どこか1つかけても実現することはできない。この3社の強みを活かすことにより、輸送の現場で困っている多くの仲間を助けることができるのではないかと思う」と豊田社長は話し、「なにが正解か分からない。まずはやってみることだ」と強調する。

《山田清志》

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