【スバル レヴォーグ 新型試乗】「STIスポーツEX」は間違いなくコスパ最高の1台だ…中村孝仁

スバル レヴォーグ STIスポーツEX
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カーオブザイヤーを獲得した『レヴォーグ』を、ようやく路上に引き出すことが出来た。流石に受賞車の人気は高く、1週間借り出そうとすると今になってしまうのだ。

これまでこのクルマに関しては正直言って驚かされることだらけ。特にその走りの良さについては、少なくともサーキットとテストコースでは最高ランクを与えられるものだった。果たして一般公道においてその実力はいかがなものかと、色々な条件下で1週間400kmほど走ってみた。結果はといえばやはり最高ランクから落ちることはなかったのである。

勿論ネガな要素がないわけではない。そのひとつが燃費である。新開発された1.8リットルのフラット4ユニットは、WLTCモードで13.6km/リットルという記載があるものの、実際の燃費はようやく11km/リットルに届くか否かというところ。それもかなりの比率で高速を巡航した区間を含んでの話であって、一般道を走っている段階で車載の燃費モニターが10km/リットルを超えることはなかった。

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今は一時の燃費コンシャスな世の中ではないものの、今時2リットル車であっても15~16km/リットルは普通に走ってしまう時代だから、この点は少し気になる。ましてやレヴォーグには今のところ、HEVもPHEVも用意がないのだ。

そしてもう一つ気になったのは大きく改善されているとは言うものの、リニアトロニックの発進時の背中を押されるような加速感についてはあまり気持ちの良いものではなかった。アクセルの踏み方にもよるが、少し深く踏み込むと、いわゆるタメを作って、そこから舵枯れたような加速感になる。個人的に大きな問題点はこの二つ。しかし、全体を見渡してこのクルマの完成度はこのセグメントの国産モデルでは最良という認定をしたい。

「スポーツ+」でも日常的に使える

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中でも気に入ったのはサスペンションの動きとステアリングである。「STIスポーツ」にはZF製の電子制御ダンパーが標準装備され、これによって5種類のドライブモードセレクトが可能になる。

サーキットで体感した時もこのモードを最もスポーティーなスポーツ+をセレクトして走ると、コーナーへの侵入や立ち上がりで挙動の乱れがほとんどなく、ドライバー自身が自信を持ってアクセルを踏める恩恵にあずかれた。一般道ではそうしたことは必要ないのだが、5種のうちコンフォートをチョイスして走ると、見事なほど快適でフラット感の強い乗り味を提供してくれる。

因みに5種のチョイスとはコンフォート、ノーマル、スポーツ、スポーツ+、それにインディビデュアルの5種で、最後のインディビデュアルは、ドライバーの好みに応じて、設定可能な領域、例えばステアリングの重さ、サスペンション、パワーの出し方、といった項目をチョイスできる。

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デフォルトはノーマルで、エンジン始動後は必ずノーマルに戻っている。個人的に一番好みだったのはパワーユニットはスポーツ、ステアリングもスポーツ、そしてサスペンションはコンフォートというチョイスで、この設定は写真で確認して欲しい。

また、仮にスポーツ+に設定し、最もハードなサスペンション設定にしても、ハード過ぎて一般道では乗りたくないというレベルではなく、低速での突き上げ感こそあるものの、常用域ではすでにしなやかさを感じるレベルだから、普通にスポーツ+に設定しても日常的に使える。

極めつけに滑らかなステアリング

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次に素晴らしいと感じるのが2ピニオンの電動アシストステアリングだ。ステアリングなんて、普通に切れれば問題ないでしょ?などと思うなかれ。例えば超高性能スーパーカーのようなシャープでキレッキレのステアリングだとか、その逆でちょっとぐらい切ったくらいじゃクルマが曲がらないという昔のクロカン四駆などは別にして、今時の普通のパワーステアリングはそれなりにスムーズなのだが、レヴォーグの2ピニオンステアリングは極めつけに滑らかでスムーズ。

そして何よりも応答の遅れがないこと。これ、キレッキレとは異なり、微舵を当てても瞬時に反応するが、その後は13.5:1というステアリングギア比なりの動きに終始する。とにかくシュッと切るとシュッと曲がるという表現力の稚拙さに自分でもあきれるが、要はそういうことなのである。

1.8リットルのボクサーエンジンは燃費の問題こそあるのだが、こちらも走っていて滑らかで気持ちがイイ。サーキットでは荒々しく走ってそのトルクの出方や回転フィールの良さなどを実感したが、一般道ではとてもスムーズで軽快なハミングと共にドライブを楽しませてくれる。

間違いなくコスパ最高の1台

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最後はアイサイトXだ。とにかく渋滞時には最高のアイテムだし、その安心感はこれまでに経験したACCの中でも最良の部類。まあ、このACCに関しては法的な問題も絡んで、現状のデバイス進化はここまでの印象が強い。レベル3対応のものが他メーカーから発売されたが、試乗していないのでコメントはしない。

それよりも縦方向に大きくなったディスプレイが大いに気に行った。元々ナビのディスプレイに関していつも思っていたことだが、クルマの進行方向に大きくなれば、その分先が見易くなる。現状のナビの大半は、左右方向に広く、上下方向に狭い横長だが、これだと進行方向が狭くなって、先がどうなっているのかをいちいち地図を縮小しないとわからないのだが、縦方向に長いこのディスプレイなら、そうしたことを頻繁にしないで済む。テスラ並みにとは言わないが、ボルボ同様、この縦型を他メーカーも採用すべきである。

もっともその分、ディスプレイに集約された機能が多く、それが階層を深くしてしまっている点はちょっと残念だ。シートヒーターなど、ディスプレイ左右下に表示されているのだが、それを押すとエアコン全体の表示が大型化し、そこからでないとシートヒーターの温度調節が出来ないなど、不便さがある。要するに二度手間を強いられるというわけだ。

内装の質感は大幅にアップしている印象。しかも車両価格409万2000円で、試乗車価格もそのまま。つまりオプションゼロでアイサイトXからZF製可変ダンパー、2ピニオンステアリングなどがすべて含まれる。しかも当たり前にAWDだ。これ、間違いなくコスパ最高の1台である。

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■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来43年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

《中村 孝仁》

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