日産の新型EV『アリア』、プロトタイプが開発テスト

新しい4輪制御技術の「e-4ORCE」

1回の充電の航続は最大610km

日本と欧州で並行して開発テストが進行中

日産 アリア のプロトタイプ
日産 アリア のプロトタイプ全 8 枚

日産自動車の欧州部門は4月2日、新型EV『アリア』のパフォーマンスを最適化するために、欧州と日本のエンジニアリングチームが協力して、開発テストを進めていると発表した。プロトタイプによる開発テストの映像も公開している。

新しい4輪制御技術の「e-4ORCE」

アリアに搭載される新開発の電動パワートレインには、ニーズに合わせて2種類のバッテリーサイズと2種類の駆動方式をラインナップしている。

バッテリーサイズは、蓄電容量が65kWhと90kWhの2種類が用意される。このうち、65kWhバッテリー搭載モデルは、通勤や買い物などの日常的な使い方だけでなく、週末のドライブにも充分な航続を備える、と自負する。また、90kWhバッテリー搭載モデルはアリア最長の航続を備え、ロングドライブを楽しみたい顧客向けだという。

アリアの駆動方式には、2WDと新しい4輪制御技術の「e-4ORCE」を採用した4WDを設定する。e-4ORCEでは、前後に合計2基の電気モーターを搭載しており、それぞれのトルクを個別にコントロールすることができる。加速時のトラクション性能をはじめ、減速時には前後モーターそれぞれで回生量を調整し、ブレーキ時の車両の沈み込みを減少させるなど、車体の揺れを抑える制御を行う。

また、コーナリング時は、前後のトルク配分を適切に調整するとともに、4輪のブレーキを個別に制御する。これらの制御によって、雨天や雪道などさまざまな道路環境下においても、安全性を追求している。

1回の充電の航続は最大610km

新開発のEV専用プラットフォームは、重量物であるバッテリーを車体中央に配置し、低重心かつ前後の重量配分が均等になるように設計した。また、バッテリーケース内にクロスメンバーを配し、フロアトンネルがないフラットなフロアによって、高い剛性を追求している。組み合わされるサスペンション部品も、高剛性な部品を使用した。

アリアには、「e-Pedal」を搭載する。これにより、アクセルペダルの踏み加減を調整するだけで発進、加速、減速をコントロールすることができるという。

新開発のEVパワートレインは、新しいモーターによって、高速巡行時の消費電力を低減させることを目指した。2WDの90kWhバッテリー搭載モデルの場合、1回の充電の航続は最大610km(WLTCモードによる日産測定値)を可能にする。

また、アリアは、最大出力130kWの急速充電に対応する。バッテリーの温度を一定に保つ水冷式の温度調節システムを採用し、30分の急速充電で最大375kmの航続分を充電することを可能にしている。

日本と欧州で並行して開発テストが進行中

現在、欧州と日本のエンジニアリングチームが協力して、アリアのパフォーマンスを最適化するための開発テストを進めている。

日本の北海道にある日産の試験場において、エンジニアリングの専門チームによって幅広いテストが行われており、加速やハンドリング、全体的な静粛性と乗り心地などの各性能が評価されている。北海道の試験場のワインディングロードは、ヨーロッパなどの他の地域で見られる道路をシミュレートできるように設計されている。

さらなる評価と顧客の安心感を高めるために、アリアは欧州でも並行して開発テストを進めている。狭いコーナー、高速道路、山岳道路などのヨーロッパの運転環境において、車両の性能を確認している。

日本の日産の車両評価スペシャリストと英国のクランフィールドにある日産テクニカルセンターの研究開発エンジニアが協力して、テストデータを共有し、ヨーロッパ地域の規制にも適合するように、各種テストに取り組んでいる。

《森脇稔》

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