『アルトゥーラ』のデザインには全てに意味がある…マクラーレン日本法人代表

マクラーレン・アルトゥーラ
マクラーレン・アルトゥーラ全 12 枚

マクラーレンの新世代ハイパフォーマンスハイブリッドスーパーカーの『アルトゥーラ』が日本デビューした。そのデザインは大きく3つのポイントで成り立っているという。

【画像全12枚】

10周年のマクラーレン、ビジネスは好調

東京港区で行われた発表会で、マクラーレン・オートモーティブ・アジア日本代表の正本嘉宏氏は初めに、「マクラーレン・オートモーティブは、今年創業10周年を迎えた。一昨年の2019年にはビジネスのスケールも最大、最高益を達成することが出来、本国UKにおいても指折りの優良企業に選定された」と述べ、「昨年こそコロナのパンデミックの影響で、苦戦を強いられたが、持ち前のスピード感で矢継ぎ早に構造改革を実施。既に昨年年央から順調なビジネスをスタート。そして新たな10年に向けて戦略を着々と構築している最中だ」と好調さをアピール。

また、マクラーレンというメーカーについて、「フォーミュラ1をはじめ各種ツーリングカー選手権など、過去50年以上にわたってレースの第1戦で培ってきたテクノロジーとノウハウを積極的に市販車両に投入し、最高のドライビングエンゲージメントを提供するスーパーカーブランドだ」と紹介。90年代の『F1』ロードカーをはじめ、2011年には『12C』、その後もアルティメットシリーズ、スーパーシリーズ、スポーツシリーズを投入し、「様々なお客様のニーズに対応すべく矢継ぎ早に新商品を提供。そして様々なドライバーを魅了してきたブランドだ」と語る。

ゲームチェンジャー

そのマクラーレンが今回開発したアルトゥーラは、「昨今時代が要求する環境性能、安全性、快適性といった部分を積極的にアップデートし、まさに今後の新しいゲームチェンジャーとなる最新のスーパーカーだ」と述べる。マクラーレン・アルトゥーラマクラーレン・アルトゥーラ

その最大のトピックが電動化だ。正本氏によると、「実はマクラーレンはスーパーカーセグメントにおいて電動化のパイオニアブランドだ」という。それは、「2013年に『P1』でハイブリッドスーパーカーの形をプレゼンテーション」。そして、「昨年からデリバリーが始まっている『スピードテール』も別次元の究極のハイブリッドスーパーカーだ」と話す。

そして、「マクラーレンはこれらの経験、ノウハウをベースに今回新しい形のハイブリッドスーパーカーを開発した。それがアルトゥーラだ」とコメント。「ハイブリッドシステム、エンジン、トランスミッション、サスペンションシステム、ボディ構造といったスーパーカーとしての根幹をなす基本的な部分のみならず、最新のエレクトロニクス、ITテクノロジーを駆使して、まさにゼロから開発した最新の時代をリードするスーパーカーだ」とアピールする。

純粋、技術的造形、機能美

そのデザインは「3つのポリシーから構成されている」と正本氏。ひとつめは「“ピュリティ、純粋性”だ。これは単なる表面的な、ラインがシンプルであるとか無駄がないというだけではなく、その裏側にあるコンポーネントとのインテグレーションにもシンプリシティ、ピュリティといったものを徹底的に踏襲している」と述べる。

次は、「テクニカルスカルプチャー(技術的造形)。これは自然界に存在する、長年にわたって過酷な状況で研ぎ澄まされてきた意味のある造形。それをきちんとこのプロダクトで反映している」

最後は、「ファンクショナル・ジュエリー。格好良くしたい、美しく見せるために、何かを付加して作るのではなく、徹底的に機能美を追求。その結果、美しくスタイリッシュなものを生み出していくというコンセプトだ」と説明。マクラーレン・アルトゥーラマクラーレン・アルトゥーラ

そして正本氏は実際のエクステリアで次のように例を挙げる。「サイドを見ると一体化されたドアパネルに大きな彫刻のようなキャラクターラインが入っている。これはまさに意味のあるラインで、エンジンの吸入効率を最大化させるとともに、エアロダイナミクスを最適化する適切なエアロドラッグを享受するものだ。具体的には、フロントから入るエアフロ―を(ヘッドライト下の2つの吸入口で)2つに切り分け、エンジンベイへと送り込んでいる。こういった意味のあるデザインが特徴だ」と述べる。マクラーレン・アルトゥーラマクラーレン・アルトゥーラマクラーレン・アルトゥーラマクラーレン・アルトゥーラ

またフロントフェンダーのルーバーも、「フロントのホイールアーチ内で発生した乱気流を効果的に排除し、サイドのラインに従ってボディの後方に誘導していくデザインを採用している」とその効能を話す。マクラーレン・アルトゥーラマクラーレン・アルトゥーラ

リアでは、左右リアフェンダーとデッキの部分まで全てが一体化となったワンピース構造が特徴的だ。これは、軽量のアルミ素材で作られており、「構成要素が少なく、グラマラスなデザインだ」と正本氏。もうひとつ、「マクラーレン特有の“シュリンクラップドデザイン”、真空パックのように無駄な隙間を全く作らない徹底的に鍛えられたアスリートのような造形を作り出した、機能美も見られる」とあくまでも全てに意味のあるものと強調した。マクラーレン・アルトゥーラマクラーレン・アルトゥーラ

アルトゥーラのエグゾーストパイプは上方排気だ。「そうすることでいままで以上に大型のリアディフューザーを採用することが出来、効果的にエアロダイナミクスを最適化させている」とのことだった。マクラーレン・アルトゥーラマクラーレン・アルトゥーラ

インテリアも「ピュリティ、純粋性が徹底されている」という。アルトゥーラのインテリアは、「ドライバーが運転にどれだけ集中できるかを徹底的に追及し、実現するために最新の軽量素材を徹底的に用いながらも、ドライバーに負荷のない、しかも直感的なドライビング環境を作り出した。まさに、戦闘機のコックピットをモチーフにしたようなものだ」。

具体的には、「ドライバーは視線を出来るだけ動かすことなく、ブラインドタッチ、しかもステアリングからも手を放さず操作が可能だ。それあわせて今回新設計した軽量ワンピース構造のバケットシートにより、どんなドライバーでも最適なストレスのないベストなドライビングポジションを実現している」と述べた。マクラーレン・アルトゥーラマクラーレン・アルトゥーラ

スーパーカーの印象が一変…山本選手

今回のお披露目では、ニュースキャスターでありジャーナリストの安藤優子氏とパラリンピックメダリスト山本篤選手、そして正本氏のトークショーも開催。安藤氏はアルトゥーラのデザインについて、「研ぎ澄まされた肉体と相通じるものがあると思う」とコメントし、それに対し正本氏は、「まさにアスリートの研ぎ澄まされた筋肉を工業製品で体現。まさに象徴だと思う。マクラーレンのデザイナーは、“エブリシング・フォー・リーズン”とよくいう。全てのライン、全てのデザインには意味があるということだ」とコメント。

例えば、「エアロダイナミクスひとつとっても、必ず空気の整流によってダウンフォースをどれだけ効果的に発生させるか。最高速を伸ばすために空気をスムーズにうまく駆け抜けていけるようなデザインにするか。エンジンの冷却効率をどれだけ高められるか。そのいずれかの狙いをしっかりとひとつひとつのラインを提供している」という。そして特にデザイナーがこだわっていることとし、「格好良くデザインするのは簡単だが、(マクラーレンは)そうではなくて、機能を徹底的に追及し、そこに独自のデザインアイデンティティをしっかり見せながら印象的なデザインを作る。これがデザイナーの一番やりがいのあるところだといっている」とこだわりを解説。

また、安藤氏の、「無駄なものをそぎ落としたのに、この美しさが生まれるというのはどこにポイントがあるのか」という疑問に対し、正本氏は「自然界に存在する美しい流線形、例えば高速で飛ぶ鷹や水中を泳ぐサメなど、自然界に存在する美しさがある。これは研ぎ澄まされた機能美だ。そういったものをまさに体現したのがマクラーレンだ」と述べた。

一方山本氏は、実際にアルトゥーラのコックピットに収まった印象について、「乗りやすかった。入り口も大きく乗り込みやすい」とその第一印象を語る。そして、「シートもポジションを合わせた時に、包み込まれるような姿勢になって、凄くドライビングしやすいのだろうと感じた。また、手を伸ばした先に全てのボタンがあるので、操作もしやすい」と高評価だ。さらに、「スーパーカーに偏見があったのかもしれないが、乗り難くて視界が狭く、日常に乗るには大変ではないかと思っていた」が、「(アルトゥーラは)そうではなく、視界も良く乗りやすい。ものすごく印象が変わった。スーパーカーは凄いと思った」と印象が一変したことを明かす。マクラーレン・アルトゥーラマクラーレン・アルトゥーラ

正本氏も、「インテリアはドライビングするために存在するので、そのインターフェイスは出来るだけシンプルにドライバーが集中しやすいような環境を作ることがコンセプトだ」というその考え方を踏まえ、マクラーレンは、「レースの世界でずっと第一線で活躍してきたブランドだが、レースで勝つというのは、単にクルマの性能が良いだけでは勝てない。そこに優秀なドライバーがいて、その優秀なドライバーがしっかりとハードであるクルマの最高のパフォーマンスを出す。この3つが揃って初めて実現するものだ」と説く。

つまり、「ドライバーが運転しにくい、ないしは無理な負担を強いる、ストレスを感じるというクルマは決してレースでは勝てないといわれている。そこを熟知しているマクラーレンだからこそ、ドライバーが快適に、安心して、しかも長距離乗っても疲れない、視界も出来るだけ広々として心理的な負担を強いないようなデザインが採用されているのだ」と語った。左から安藤裕子氏、山本篤選手、正本嘉宏氏左から安藤裕子氏、正本嘉宏氏、山本篤選手

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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