MINIのEVの高性能版を示唆、ペースカーが実戦デビュー…フォーミュラE

JCWを意識して外装をスポーティに

レーシングサスペンションは3方向に調整可能

0-100km/h加速は7.3秒から6.7秒に短縮

市販モデルと比較して約130kgの軽量化

MINI エレクトリック・ペースセッター
MINI エレクトリック・ペースセッター全 12 枚

MINIは4月14日、MINI『ハッチバック』のEVをベースにした「フォーミュラE」のペースカー、MINI『エレクトリック・ペースセッター』が、イタリアで開催されたフォーミュラE「ローマ E-Prix」で実戦デビューした、と発表した。

MINIは2020年12月、高性能な「ジョンクーパーワークス」(JCW)モデル初となるEVを開発していると発表した。MINIの3ドアハッチバックには、ブランド初の量産EVとして、「クーパーSE」がある。JCWのEVは、このクーパーSEをベースに開発されている。

MINIエレクトリック・ペースセッターは、MINIハッチバックのEV、クーパーSEがベースだ。MINIエレクトリック・ペースセッターは、将来市販予定の高性能バージョン、JCWを示唆しているという。

JCWを意識して外装をスポーティに

MINI エレクトリック・ペースセッターMINI エレクトリック・ペースセッター

MINIエレクトリック・ペースセッターのエクステリアは、ワイドなタイヤを収めるために、ホイールアーチを拡幅した。専用のフロントバンパーには、リップスポイラーが付く。フロントグリルはオレンジで仕上げられ、イエローのプラグが描かれた。グリルの下には、ブレーキ冷却用の四角い開口部が追加される。セーフティカーに必要な白いフラッシュライトも装備した。ボンネットからルーフ、リアエンドには、ストライプがあしらわれた。

ボディサイドには、幾何学模様入りのスパッツとサイドスカート、軽量な18インチ鍛造ホイールを装着した。このスパッツとスポイラーは英国オックスフォードで作られており、リサイクルされたカーボンファイバーから3Dプリントされている。ボディカラーは、マットシルバーを基調に、ハイスピードオレンジとカーブサイドレッドの2段階のカラーグラデーションが施された。チェッカーフラッグにインスパイアされたパターンも配されている。

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リアには、エアスルーフローと黄色のアクセントを備えた大型のルーフマウントリアウィングを装備した。このリアウィングには、フラッシュライトが組み込まれる。これも、オックスフォードで3Dプリントされた。リアバンパーにはダクトが設けられ、レーシングタイヤが見える設計とした。ディフューザーも装備されている。

レーシングサスペンションは3方向に調整可能

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インテリアはペースカーに必要な装備だけが残された。後席は取り外された。そのうえで、6ポイントベルト付きのバケットシート、カーボンファイバー製ステアリングホイール、デジタルインストルメントクラスターが装備された。センターインフォメーションディスプレイは、カーボンファイバー製カバーを使用して、軽量化が図られている。

センターコンソールには、ギアシフトレバー、ハンドブレーキ、フラッシュライトのコントロールスイッチなどが配置される。簡素化されたカーボンファイバー製ドアパネルには、ドアを簡単に閉じることができるように、布製ストラップが付く。ロールケージも装着されている。

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足回りには、リバウンド、コンプレッション、高さ、キャンバーを3方向に調整可能なレーシングサスペンションを装着した。レース仕様のサスペンションコントロールアームマウンティングの採用、トレッドの10mm拡幅に加えて、MINI『ジョンクーパーワークスGP』用の4ピストンブレーキを移植した。タイヤはミシュラン「パイロットスポーツ」。245/40R18サイズのタイヤは、フォーミュラEのレーシングカーのフロントに装着されているのと同サイズという。

0-100km/h加速は7.3秒から6.7秒に短縮

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ベース車両のクーパーSEでは、電気モーターがフロントのボンネット内に搭載され、パワーエレクトロニクスやトランスミッションと一体のコンパクト設計とした。最大出力は184hp、最大トルクは27.5kgmを引き出す。0~60km/h加速は3.9秒、0~100km/h加速は7.3秒の性能を発揮する。最高速はリミッターにより、150km/hに制限される。

MINIエレクトリック・ペースセッターでは、モーターの184hpのパワーはそのままに、最大トルクを27.5kgm から28.5kgm に1kgm引き上げた。これにより、0~60km/h加速は3.9秒から3.6秒に、0~100km/h加速は7.3秒から6.7秒に、それぞれ短縮。80~120km/hの中間加速も、4.3秒に短縮している。

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市販モデルと比較して約130kgの軽量化

このMINIエレクトリック・ペースセッターが、イタリアで開催されたフォーミュラEのローマ E-Prixにおいて、実戦デビューした。

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MINIエレクトリック・ペースセッターには、ラリーなどでおなじみのケブラーアンダーライドガードが装着された。これは縁石の上を走行する時に、バッテリーを保護する役割を担う。タイヤのサイズやプロファイル、ゴムコンパウンドも、セーフティカー向けに変更された。

また、ボディパネルの変更や、カーボンファイバーとCFRP、3Dプリントによるパーツを使用することにより、市販モデルと比較して約130kgの軽量化を実現し、車両重量は約1230kgに抑えられた。セーフティカーには、パッシブセーフティのために、FIA(国際自動車連盟)が求めるすべての装備を採用した。インテリアには、無線、GPS、トランスポンダー、照明システムのコントロールパネルなどが装備されている。

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フォーミュラEのセーフティカードライバー、ブルーノ・コレイア氏は、「フォーミュラEのマシンをフルEVで導くのは素晴らしいこと。MINIエレクトリック・ペースセッターは、コース幅が狭いストリートサーキットに最適。サスペンションやブレーキなど、サーキットで使用するための変更のおかげで、より速く、機敏になった」と語っている。

《森脇稔》

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