【ホンダ ヴェゼル 新型】自動地図更新を初採用、アプリも追加…Honda CONNECTの潜在力

ホンダ ヴェゼル 新型
ホンダ ヴェゼル 新型全 21 枚

新型『ヴェゼル』に搭載されるHonda CONNECT(ホンダコネクト)の機能は、自動地図更新サービス、スマートフォンがキーになるデジタルキー、車内Wi-Fi機能、アプリセンターだ。自動地図更新サービスはホンダ初搭載。アプリセンターは、アプリが追加され使い勝手が良くなっている。

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自動地図更新と車内Wi-Fiはどこが便利なのか

自動地図更新は、元の地図データの更新に合わせてダウンロードするバッチ処理更新ではなく、自車位置やナビの目的地付近の地図が自動的に最新に保たれるというもの。GoogleマップやAppleマップと同じ方式と考えればよい。地図データは年6回ほど更新され、インターナビのプローブ情報、POI情報などとともにホンダのサーバーで管理される。ナビは表示する地図に更新があれば自動的に最新の(差分)情報をダウンロードする。

この機能はホンダコネクトの基本パック(月額550円)に含まれる。契約初年度は中古車でも1年間は無料で使える。ただし、この機能は「Honda CONNECTディスプレー」で使える機能となるため、純正ナビ(Gathers)や据え置きナビを自分で取り付けた場合の地図更新は、それぞれのサービス内容に順ずる。

車内Wi-Fiは、文字通りクルマの中にWi-Fiの電波が飛んでいる状態になるので、スマホの動画視聴やオンラインゲーム、携帯ゲーム機、PCのネット接続が可能、または快適になる。仕事で使う人は、モバイルルータを持ち歩くかスマートフォンのテザリングによって、クルマの中でもWi-Fi接続を可能にしている場合も多いだろう。この手間がなくなる。

Wi-Fiは都度課金で無駄がない

車内Wi-Fiは、ホンダコネクトのオプションサービスとして設定される。特徴的なのは、料金体系が月額ではなく、1GBごとに300円の従量制になっている点だ。プランは、1GBパックから2GB、3GB、5GBと4種類あるが、料金は300円きざみで5GBパックが1500円と手頃だ。

モバイルルータを1台契約すると容量5~10GBとして月額4000円前後かかる。家、会社、車内で常時利用する場合はこちらのほうが安くなる可能性があるが、帯域制限などを考えてつい多めの容量を契約しがちで無駄も出やすい。

車両の中だけと限定すればステップ式の従量課金のほうが無駄がなく、費用を最適化できる。クルマを使わない月があれば費用は発生しないので、すでにモバイルルーターを契約している人でも契約しやすい。

リモート操作アプリが便利

デジタルキーは、スマートフォンに専用アプリをインストールすることで、スマートフォンを物理キー(通常のリモコンキー)の代わりにできるというものだが、これは認証のためにイグニッションを操作するごとにPINコードをスマートフォンに入力しなければならない。物理キーを持っていればイグニッションはそちらを認識してONにできるので、ドアロック解除がスマホでできるというアプリと思えばよい。

このアプリは遠隔で、車両の位置確認、ドアロックの状態確認、ドアロックの施錠・解錠、ハザード・ホーンのON/OFF、エアコンの設定・操作ができる。巨大な平面駐車場でどこに停めたかを調べたり、出かける前に家からクルマのエアコンをONにしておくといった使い方ができる。自宅に来た宅配便に、会社からクルマのドアロックを制御してトランクを宅配ボックス代わりにすることも可能だ。

アプリセンターは拡張性に期待

「ホンダアプリセンター」は『ホンダe』発売時に、駐車場検索、radiko、アクアリウム(水槽シミュレーションの環境アプリ)、Aha Radio(ラジオ・ニュースアプリ)の4つがリリースされていたが、新型ヴェゼル発売に合わせて、アプリが一気に増える。

Honda CONNECTディスプレーのアプリセンター(月額330円・初年度無料)では、周辺観光スポット検索、ガソリンスタンド検索、よりみちスポット検索、トイレ検索、音楽配信サービスのAWAなど、ドライブシチュエーションに特化した便利アプリが追加された。トイレ検索は小さい子どもとのドライブには必須といってもよい。よりみちスポット検索は、一人、カップル、友だち、家族といった属性を登録しておけば、スポット検索のときに同乗者にあわせた場所を選んでくれる。

よりみちスポット検索の優れているのは、据え置き型のナビと比べて経由地の追加や削除、目的地変更を含む経路の編集が簡単なところだ。選んだ目的地のリストをタッチ操作で順番を入れ替えたり削除したりができる。高性能なナビには類似の機能もあるが、スマホ感覚で操作できるのがアプリの便利な点だ。

ディスプレイオーディオでは、Android AutoやCar Playでスマートフォンの地図アプリやSpotify、メッセージアプリ、カレンダーなどを利用することが多いが、車内で使うアプリはほぼ決まってくるので、アプリが充実してくればメーカーが提供するアプリプラットフォームで十分になってくる。車両との連動機能も増えればなおさらだ。ホンダでは、アプリセンターのアプリはサードパーティとの協業を広げるとしているので、メッセージやカレンダーアプリとの連携など期待したい。

ホンダコネクトの潜在力はドメインアーキテクチャによる拡張性

最後に強調しておきたいのは、ヴェゼルで強化されたコネクテッド機能、車内アプリ環境を実現した背景にあるアーキテクチャの進化だ。ホンダは、量販普及車としてのヴェゼルにアプリプラットフォームを導入するため、統合ECUアーキテクチャを採用した。

車両に搭載されるECUは20~100とも言われる。これらはリアルタイム性が重視されるエンジンやトランスミッションといった主制御コンポーネントと、インパネやドアロック、ワイパーやライトなどボディ制御系コンポーネントと分かれていたが、それらは独立して動いている。ADAS機能、自動運転、コネクテッド機能の広がりを受け、これらECU群の高度な協調・連携が必要になっている。

統合ECUはそのソリューションのひとつである。ホンダでは、車両全体の制御系をコントロールドメイン、ホディドメイン、インフォメーションドメイン(IVIやHMI)の3つのドメインに分割したドメインアーキテクチャを採用し、これを統括するECUを追加した。ここでの統合ECUは、各ドメインの連携を司る。とくに重要なのはインフォメーションドメインと、コントロールドメイン・ボディドメインとのアクセス制御やセキュリティ管理機能だ。

各ドメインを連携させるだけでなく、外部からの接続口となるアプリのセキュリティ管理、アクセス認証などを行う。この機能がないと、車載アプリやスマホアプリがドアロックやイグニッションを制御したり、サードパーティアプリをインストールしたり、OTAで地図更新したりすることはセキュリティリスクを伴うことになる。

現状、増えたとはいえアプリセンターはまだ完成していない。しかし、統合ECUアーキテクチャになっていれば、セキュリティを含めたアプリの管理がしやすくなる。これを可能にするホンダのドメインアーキテクチャは、長期的なコネクテッドカー戦略に欠かせない存在だ。

《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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