[サウンドチューニング雑学講座]ハイエンド機のイコライザーが“左右独立31バンド”であるワケ

『DIATONE SOUND.NAVI』の「左右独立31バンドグラフィックイコライザー」の設定画面。
『DIATONE SOUND.NAVI』の「左右独立31バンドグラフィックイコライザー」の設定画面。全 8 枚

当コラムでは、ハイエンドメインユニットに搭載されている「イコライザー」についての考察をお届けする。「イコライザー」とは何なのか、そしてハイエンド機に搭載されているそれが“左右独立31バンド”である意味、そしてその操作のコツまでを、一気に解説していく。

【画像全8枚】

車室内では周波数特性が乱れやすい。しかし「イコライザー」があれば…。

最初に、「イコライザー」とは何のための機能なのかを解説していく。カーオーディオ初心者の中にはこれを「サウンドの味付けを変えるための機能」と捉えている方も少なくないだろうけれど、実は、主たる目的は別にある。

機能名の意味を考えてみると、本当の目的が見えてくる。英語の「イコライズ」という単語には、「等しくする」とか「平等にする」「一様にする」という意味がある。つまり「イコライザー」とは、「周波数特性を一様にする」機能であり、または「聴こえる音を音源と同じ音にする」ための機能だ。車室内は、周波数特性が結構乱れている。「イコライザー」はそれを補正するための機能なのである。

ちなみにホームオーディオでは「イコライザー」が用いられるケースはカーオーディオほどは多くはない。リスニングルームは車室内と比べて広いこともあり周波数特性の乱れが車内と比べて少ない。しかもスピーカーから放たれる直接音を多く聴けるので、室内で周波数特性の乱れが発生してもその影響を大きくは受けなくてすむからだ。

対してクルマの中では、スピーカーから放たれる直接音ばかりを聴けるわけではない。特にドアに装着したスピーカーとは正対できないので、中低音は反射音を聴く割合が高くなる。この反射音が、なかなかにやっかいな存在なのだ。

特に、平行面の間で音が行ったり来たりすることになるとき、その反射物間の距離と音波の長さがぴったりと一致したり、または2倍、3倍と整数倍の関係になったり1/2、1/3といった整数で割り切れる関係になるとき、その周波数の音は増幅したり減衰したりする。車室内は狭いので音がさまざま反射し、このような現象が起こりがちとなる。しかし「イコライザー」があれば増幅したり減衰している部分をなだらかにでき、元々の音源どおりの音を再現可能になるというわけなのだ。

ハイエンド機に搭載されている「イコライザー」は、左右chの個別制御が可能!

とはいえ、簡易的なタイプの「イコライザー」ではそのような使い方はし難い。例えば、「3バンド」タイプとか「5バンド」タイプの「イコライザー」では、周波数特性が乱れている周波数帯に対してピンポイントに対処できない。なのでそのようなタイプの「イコライザー」ではむしろ、「サウンドの味付けを変える」という使い方が成されることとなる。そしてそのような使い方もまた、「イコライザー」の役割の1つともなっている。

対してハイエンド機に搭載されている「イコライザー」は、周波数特性の乱れを整えるための機能という色彩が濃い。例えば三菱電機の『DIATONE SOUND.NAVI』では、「左右独立31バンドグラフィックイコライザー」が搭載されている。このような「イコライザー」なら左右のchを個別に制御でき、それぞれを31バンドという細かさで調整できる。乱れている周波数帯にダイレクトにアプローチできるのだ。

ところで、なぜに「右chの音と左chの音を個別に制御」する必要があるのかというと、答は、「左右で反射の状況が異なるので、周波数特性の乱れ方も異なるから」だ。

例えば運転席側にはメーターフードやステアリングがある。もちろん、左右が対称である部分も多いがすべてが対称になっているわけではない。結果、周波数特性の乱れ方にも異なる部分が出てくるので、厳密な補正をかけようと思えば左右で別々なチューニングが行えた方が良い。ゆえに『DIATONE SOUND.NAVI』のような音にこだわるハイエンド機の「イコライザー」は、左右のchの音を個別に補正できるようになっているのだ。

ハイエンド機の「イコライザー」のバンド数が“31”もある理由とは…。

そして『DIATONE SOUND.NAVI』の「イコライザー」は、バンド数が“31”もあるのだが、“31”という数字は実は、キリの良い数字だ。どうキリが良いのかというと…。

人間の可聴帯域はおおよそ、20Hzから20kHzまでだ(加齢とともに高域側の感度は落ちていく)。で、この範囲は音程でいうと10オクターブ分に相当する。つまり“31バンド”とは、10オクターブの範囲を1/3オクターブ刻みで割った結果の数字なのだ。

ちなみに、音程が1オクターブ上がると周波数は2倍になる。なので『DIATONE SOUND.NAVI』の「イコライザー」は、もっとも低音側のバンドには20Hz付近の音が割り当てられていて、その3つ上のバンドにはちょうど1オクターブ上の40Hz付近の音が割り当てられている。そしてその3つ上のバンドにはそのさらに1オクターブ上の80Hz付近の音が割り当てられている。このように、1オクターブごと(周波数が2倍になるごと)に3バンドが割り振られている、というわけなのだ。

ところで「イコライザー」を使って周波数特性の乱れを正すという作業は、実際は結構難しい。周波数特性の乱れを正しく修正できるのだが、周波数特性がどのように乱れているのかを正確に把握することが困難だからだ。しかし、プロはそれを行える。

どのように実践しているのかというと、細かな部分はインストーラーごとで異なるものの、主には2とおりの方法が行われている。1つは「測定器を用いて周波数特性の乱れを把握する」というもので、もう1つは「聴き慣れた楽曲をかけることで周波数特性の乱れ方を察知する」という方法だ(両方が併用されることも多い)。

なおこの2つの方法はともに、一般ユーザーでは真似がし難い。プロが使う測定器は高額かつ高度な機械である場合が多く、いつも聴いている楽曲を流して何かが違うと感じたとしても、どの周波数帯でどんな問題が起こっているのかまでを見極めるには多くの経験を要するからだ。

「左右独立31バンドイコライザー」のお手軽な操作方法を伝授!

なので、「左右独立31バンドイコライザー」のような高度な機能の運用はプロに任せた方が良い。しかし、一般ユーザーでは操作のしようがないのかというと、答はノーだ。

というわけでこの機会に、高度な「イコライザー」の手軽な操作方法を2つ、紹介してみたい。1つ目は「プロのチューニングを元にアレンジを加える」という方法だ。ちなみに『DIATONE SOUND.NAVI』ではチューニングした設定を3パターン記憶しておける。なのでプロに実行してもらったデータはそのままにして、別メモリーを呼び出して操作しよう。で、まずはそこに一旦、プロに設定してもらったとおりの状態を再現してみる(左右を別々に調整するのは難しいので、左右共通モードに切り替えた上で操作していこう)。

その上で振り幅の大きなバンドを1つずつ、フラット(プラスマイナスゼロのところ)に戻して音を聴き比べてみよう。そうすると、それぞれの操作によってどのように音が変わったのかを感じ取れる。そしてその上で微調整を加えてみると、自分なりに好みの音が作り出せる。周波数特性の乱れを正すという方向とは少々異なってしまうのだが、自分でセットしたという気になれるし、経験値も積める。

もう1つの方法は「1バンドごと点検していく」というものだ。またもや別のメモリーを呼び出し、すべてをフラットにする。その上で下から順番に1つのバンドだけを目一杯上げてみよう。そうすると聴こえ方が変わるのだがこのとき、“嫌な感じ(うるさい感じ)”が増したら、そのバンドの音に問題が起きていると推測できる。周波数特性が乱れて不自然な増幅(ピーク)が発生している場合、そのバンドを上げるとそれが一層強調されて“うるさく”感じるというわけなのだ。そのように聴こえたらそのバンドをちょっと下げてみよう。結果、すっきりしたように聴こえたら、その操作は正解だ。

このように、「左右独立31バンドイコライザー」が搭載されているメインユニットを使うと、カーオーディオの楽しさが伸長する。もしもこのような楽しさも満喫したいと思ったら、『DIATONE SOUND.NAVI』のようなハイエンドメインユニットを手にしてみよう。そうすることで、貴方のカーオーディオライフが一層深みを増すはずだ。参考にしてほしい。

操作方法ガイド付き、サウンドチューニング雑学講座「ハイエンド機のイコライザーが“左右独立31バンド”であるワケとは?」

《太田祥三》

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