メルセデスベンツの燃料電池トラック、走行テスト開始 2027年に量産へ

メルセデスベンツの燃料電池トラック『GenH2トラック』のプロトタイプ
メルセデスベンツの燃料電池トラック『GenH2トラック』のプロトタイプ全 3 枚

ダイムラートラック(Daimler Trucks)は5月19日、燃料電池トラックの走行テストを開始した、と発表した。

この走行テストには、ダイムラートラックが開発したメルセデスベンツの燃料電池トラック『GenH2トラック』のプロトタイプを使用する。GenH2トラックは、長距離輸送を想定した燃料電池トラックだ。

メルセデスベンツGenH2トラックのハイライトは、最大で1000kmの航続だ。ダイムラートラックのエンジニアは、牽引力、航続、性能などの点において、現行のメルセデスベンツ『アクトロス』と同等の性能を、メルセデスベンツGenH2トラックで追求している。たとえば、GenH2トラックの量産バージョンでは、車両の総重量が40トン、最大積載量が25トンになる。 2つの液体水素タンクと、強力な燃料電池システムにより、重量物を長距離輸送できる燃料電池トラックを実用化していく。

ダイムラートラックが液体水素を使用するのは、気体水素よりも体積に関して、高いエネルギー密度を持つためだ。液体水素を使用する燃料電池トラックよりも、タンクを小型化でき、圧力が低下するため、大幅な軽量化が可能になる。これにより、トラックの積載スペースと積載重量が大きくなる。同時に、より多くの水素を搭載できるため、トラックの航続が大幅に伸びる。これにより、GenH2トラックは現行のディーゼルトラックに匹敵する長距離輸送が可能になるという。

ダイムラートラックは現在、液体水素を量産燃料電池トラックのエネルギー源として使用できるようにするため、必要なタンクシステムの技術開発を進めている。マイナス253度の低温での液体水素の貯蔵は、産業利用や水素ステーションなどの定置用途では、すでに実用化されている。

GenH2トラックの量産モデル用に設計された2つのステンレス製液体水素タンクは、長距離をカバーするために、1個40kg、2つで合計80kgの容量を持つ。ステンレス製のタンクは、真空断熱された2つのチューブで接続されている。 GenH2トラックの量産バージョンでは、燃料電池システムは150kW×2の300kWを供給し、バッテリーは一時的に400kWを追加できる。 バッテリーの蓄電容量は70kWh。先行量産モデルは、2つの電気モーターが合計で660kWの最大出力と、422kgmの最大トルクを発生する。

ダイムラートラックは年内に、公道での走行テストも開始する予定。GenH2トラックのプロトタイプを顧客に引き渡しての実証テストも、2023年に開始する計画だ。量産モデルのGenH2トラックは、2027年から顧客に引き渡される予定、としている。

《森脇稔》

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