水素カローラ、30年先のために24時間レース参戦…スーパー耐久 第3戦で豊田社長

富士24時間レース:水素カローラ
富士24時間レース:水素カローラ全 24 枚

トヨタGAZOOレーシングとルーキーレーシングは22日、富士スピードウェイで行われているスーパー耐久24時間レースの前に記者会見を開き、今回参戦する水素エンジンを搭載した『カローラスポーツ』が未来を作るために24時間レースに参戦する、と意気込みを語った。

国内で行われるレースのなかで唯一24時間レースが行われる、「スーパー耐久シリーズ 2021 Powered by Hankook 第3戦 NAPAC 富士SUPER TEC 24時間レース」(富士24時間)は22日15時にスタートが切られ、順調に走るマシンもあれば、トラブルにより長時間ピットに留まってしまうマシンなど、24時間耐久レースらしいレース展開が繰り広げられている。

今回注目を浴びているのは、ルーキーレーシングが走らせる、水素エンジンを搭載したカローラスポーツ(ORC ROOKIE Corolla H2 concept)だ。レースが行われる前に、ルーキーレーシング代表であり、トヨタ自動車社長の豊田章男氏と、開発を統括するGAZOO Racing Company Presidentの佐藤恒治氏が会見を開いた。

水素と言うと危険が伴うと思われがちだが、トヨタは『MIRAI』において水素タンクの安全性を実証しており、今回のカローラスポーツにはMIRAIの水素タンクを4本搭載(うち2本はボディサイズの関係で短い)して180Lの水素を搭載している。パワーは、ガソリン車よりも少し落ちる程度の出力が出ているとのことだ。

この水素カローラスポーツは、エンジンの気筒内に直接水素を吹いて、ガソリン車と同じ内燃機関として走っている点でMIRAIと違う。この直接水素をエンジン気筒に吹く技術は、長年トヨタが開発していきた直噴システムD-4の技術が活きているという。

富士24時間の公式テストではエンジンの耐久テストも済んでいない状態だったが、富士24時間を走るために、エンジンのベンチテストを繰り返し、24時間走りきるための実力を備えて、決勝レースに挑むと言う。

180Lの水素タンクを積むが、12~13周を目安に、ときに10周程度、ときにもう少し周回を重ねてからピットインを繰り返しながらゴールを目指していく。レースを走るガソリンエンジン車は、1時間前後走行してからピットで給油などを行うことに比べれば、周回数は圧倒的に短い。そして水素の充填は1回に7~8分程度かかると言う。さらにドライバー交代やタイヤ交換なども含めれば、もう少し時間がかかる計算になる。

将来的には燃費も良くしていくための、技術のベースを見つけることも今回レースに参戦している意味合いがある。また、水素充填に関しても、充填機の圧力と車に積まれるタンクの圧力差を調整しながら充填する必要がある。充填時間の短縮をするために、今回は2機の移動式水素充填機を用意し、順番に水素を充填することで時間短縮を計っている。これもインフラ整備のためのデータ集めと言う側面を持っていると言う。

今回、水素充填の安全性を確保するために、ピットは一番端を使用して、充填設備をサーキットの設備から離れた場所に設置し、資格を持つ充填スタッフが行う。ちなみに今回使用する水素は福島県波江町で生成されたグリーン水素を使用する。

これら全ての向かう先は、「カーボンニュートラル」だと豊田社長は力強く言う。この先カーボンニュートラルを目指すために、電気自動車だけなく、選択肢を多くするためにFCEVのMIRAIとは違う、水素を燃料とした内燃機関を作るために、今回富士24時間に参戦する意義があると語った。

スタートしてから12時間が経過した3時現在、水素カローラは長めのピットインをしているが、128周を周回し、14回のピットインをしている。そして12時間先の23日15時のゴールを目指し走行を続ける。

《雪岡直樹》

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