【BMW R nineT 試乗】扱いやすさとワイルドさを併せ持つ最新モデル…鈴木大五郎

BMWモトラッドのラインアップを広げた『R nineT』

エンジンも足回りもスムーズさが増した最新モデル

ツーリングライダーに嬉しいクルーズコントロールも

BMW R nineT
BMW R nineT全 21 枚

BMWモトラッドのラインアップを広げた『R nineT』

先進のテクノロジーを積極的に採用するのがポリシーといったイメージのあったBMWモトラッドのなかにあって、BMW生誕90周年を記念したモデルでもあった『R nineT』の登場は衝撃的でもあった。

BMW伝統のボクサーエンジンを搭載したネイキッドモデルは非常にシンプルな装備でまず驚かされた。そして、フルノーマルで乗るのが流儀だったBMWであるが、このマシンからはカスタムすることも推奨。その自由さも含めて人気となり、その後のヘリテイジブームを牽引していった立役者でもあった。

そのころから、BMWはより幅広い視野を持ち、ラインナップにも広がりもみせてきた印象がある。それが『R18』の登場にも繋がっているようにも感じられる。そして様々な派生モデルが登場する中で、2021年モデルでは、シリーズ全てに大きな変更が与えられたのである。

そんな中、その元祖ともなるR nineTのスタンダードモデルに久々に乗ることとなった。

エンジンも足回りもスムーズさが増した最新モデル

BMW R nineTBMW R nineT
無骨で割と手強い印象もあったR nineTであるが、最新型はその味わいを残しつつ、良い意味で扱いやすさとワイルドさを併せ持っている。ユーロ5対応となったエンジンマネージメントに加え、エンジン関連もヘッド回りを新設計。ライドバイワイヤとなり、インジェクター等も刷新されている。水冷ボクサーエンジンに対して、荒々しくも感じられる空冷ボクサーであったが、スムーズさが増した新型は従来型とちょうど中間とも言えるキャラクターとなっている。

R18ほどではないにしても、アクセルの開閉にともなうトルクリアクションもこのマシンの特徴。そして想像以上に力強く、そして速さも侮れないもの。ボクサー得意の低中回転域だけでなく、高回転域まで淀みなく回っていくのであるが、むやみに回り続けるようなことはなく、地に足のついたかのような回転上昇が楽しい。

車体周りにシリーズ中、唯一倒立フォークを採用するR nineTであるが、初期のモデルはその作動性が必ずしも良いとは言えなかった。しかし現行型は先代の『S1000RR』譲りのフルアジャスタブルフォークを採用。作動性も接地感も高まっている。

BMW R nineTBMW R nineT

ツーリングライダーに嬉しいクルーズコントロールも

低重心さと共にトラクション性能が高く、コーナーリング中の安定感も良好。また、従来モデルには装備されていなかったトラクションコントロール。そしてライディングモードも搭載。「レイン」「ロード」そして「ダイナミック」を選択出来るようになり、元々持っていたワイルドなテイストからジェントルな走りまで、より幅広いキャラクターを一台に盛り込んでいる。また、クルーズコントロールを装備したトピックもツーリングライダーには嬉しいところだ。

シンプルさを売りとするマシンでもあったが、それを犠牲とすることなく安全性、そして快適性を備えたR nineT。良い意味でのレトロさと新しさが見事に融合した魅力的なマシンということを改めて感じたのである。

BMW R nineTBMW R nineT

■5つ星評価
パワーソース:★★★★★
ハンドリング:★★★★
扱いやすさ:★★★★
快適性:★★★
オススメ度:★★★★

鈴木大五郎|モーターサイクルジャーナリスト
AMAスーパーバイクや鈴鹿8耐参戦など、レース畑のバックボーンをもつモーターサイクルジャーナリスト。1998年よりテスター業を開始し、これまで数百台に渡るマシンをテスト。現在はBMWモトラッドの公認インストラクターをはじめ、様々なメーカーやイベントでスクールを行なう。スポーツライディングの基礎の習得を目指すBKライディングスクール、ダートトラックの技術をベースにスキルアップを目指すBKスライディングスクールを主宰。

《鈴木大五郎》

鈴木大五郎

AMAスーパーバイクや鈴鹿8耐参戦など、レース畑のバックボーンをもつモーターサイクルジャーナリスト。1998年よりテスター業を開始し、これまで数百台に渡るマシンをテスト。現在はBMWモトラッドの公認インストラクターをはじめ、様々なメーカーやイベントでスクールを行なう。スポーツライディングの基礎の習得を目指すBKライディングスクール、ダートトラックの技術をベースにスキルアップを目指すBKスライディングスクールを主宰。

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