トヨタ MIRAI 新型、航続1000km超え---燃料電池車の世界新記録

低重心プラットフォームの「TNGA」

0-100km/h加速9秒で最高速175km/h

1003kmを走行して平均の水素消費量は0.55kg/100km

トヨタ・ミライ 新型による燃料電池車の航続世界記録挑戦
トヨタ・ミライ 新型による燃料電池車の航続世界記録挑戦全 9 枚

トヨタ自動車の欧州部門は5月31日、燃料電池車の新型『ミライ』(Toyota MIRAI)が、1回の水素充填で走行できる航続の世界記録を更新した、と発表した。その距離は、1003kmだった。

写真:トヨタ・ミライ 新型による燃料電池車の航続世界記録挑戦

低重心プラットフォームの「TNGA」

2世代目となる新型ミライでは、低重心プラットフォームの「TNGA」をベースとし、思いのままに操れる走りを追求した。大幅な軽量化やボディ剛性の向上などにより、路面に吸いつくような気持ちの良い走行フィーリングを可能にしたという。また、ボディ細部にわたり、静粛性にこだわった技術を投入することで、高速走行時の静粛性を引き上げている。

新型では、燃料電池システムを一新することにより、動力性能を向上させた。トルクフルで力強い加速を生むパワーユニットと、最高速度域までパワーをもたらすモータードライブによって、伸びのある新感覚の走りを追求したという。

パワフルな加速を生み出すために、動力源である燃料電池ユニットのさらなる高性能化を追求し、欧州仕様の最大出力は174hpとした。これは、従来型の155hpから、19hpの増加となる。

0-100km/h加速9秒で最高速175km/h

高出力・高効率のモーターを新開発し、欧州仕様の最大出力は182hp、最大トルクは30.6kgmに引き上げた。これにより、0~100km/h加速は9秒と、従来型から0.6秒短縮。最高速は175km/hに到達する。

新型は、出力を向上させたにもかかわらず、燃費も引き上げた。WLTP複合サイクルにおける水素消費量は、19インチホイール装着車が0.79kg/100km、20インチホイール装着車が0.89kg/100km。従来型の0.94kg/100kmから向上している。

燃費の向上と3つの水素燃料タンクの合計容量が4.6kgから5.6kgに増加したことで、新型の航続は欧州仕様の場合、650kmとした。従来型に対して、30%拡大している。また、水素補給のプロセスは、5分以内で完了するという。

バッテリーは、従来型のニッケル水素から、新型ではリチウムイオンに変更された。サイズを小型化しながら、エネルギー密度と出力を引き上げ、環境性能も高めているという。新しいバッテリーは84個のセルを備え、定格電圧は従来型の244.8Vから310.8Vへ引き上げた。バッテリーの蓄電容量は4.0Ah。総重量は46.9kgから44.6kgに軽量化された。ピーク出力は25.5kWから31.5kWに向上している。トヨタ・ミライ 新型による燃料電池車の航続世界記録挑戦トヨタ・ミライ 新型による燃料電池車の航続世界記録挑戦

1003kmを走行して平均の水素消費量は0.55kg/100km

この新型ミライが、1回の水素充填で走行できる航続の世界記録を更新した。5月 26日、フランス・オルリーの水素ステーションを出発し、パリの南部のロワール・エ・シェール県とアンドル・エ・ロワール県の一般道を走行した。新型ミライは途中、水素を補充することなく、1003kmを走破した。

4人のドライバーが交代で、新型ミライをドライブした。ドライバーの一人には、フランスのヨットレーサーで、「エナジー・オブザーバー」を立ち上げたビクトリアン・エルサール代表が起用された。トヨタとTME(トヨタ・モーター・ヨーロッパ)は2020年2月、燃料電池技術を初めて船舶向けに応用し、再生可能エネルギーで世界一周航海を目指しているフランスの「エナジー・オブザーバー号」向けのFCシステムを開発した。

TMEテクニカルセンターは、ミライの搭載部品を用いて、船舶用のコンパクトなFCシステムを開発し、エナジー・オブザーバー号に搭載した。これにより、エナジー・オブザーバー号は、太陽光や風力の再生可能エネルギーや海水から生成した水素を用いた燃料電池を動力とする、世界で初めての自立エネルギー型燃料電池船となった。エナジー・オブザーバー号は2017年6月、母港のフランス北部のサン・マロ港を出発。6年かけて50か国、101の港に立ち寄りながら、世界一周航海に挑戦している。

今回の記録挑戦ではグリーン水素を使用し、平均の水素消費量は0.55kg/100km。カタログ数値の水素消費量の0.79kg/100kmを上回った。なお、新型ミライがゼロエミッションで走行した1003kmの距離と水素消費量の記録は、独立機関によって認定された、としている。

《森脇稔》

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