ボルボカーズ、化石燃料を使わないスチールの研究開発を開始…自動車メーカー初

ボルボカーズの現在の工場の生産ライン
ボルボカーズの現在の工場の生産ライン全 6 枚

ボルボカーズ(Volvo Cars)は6月16日、スウェーデンの鉄鋼メーカーのSSABと提携を結び、自動車メーカーとして初めて、化石燃料を使わないスチールの研究開発を開始した、と発表した。

世界の鉄鋼産業は現在、原料炭に依存した高炉を用いた鉄鉱石ベースの製鉄技術が主流であることから、世界の直接炭素排出量の約7%を占めている。ボルボカーズの場合、自動車に使用される鉄鋼生産に関連するCO2排出量は、自動車に使用される部品の素材や生産に伴うCO2排出量全体のうち、内燃エンジン車で約35%、EVでは約20%に相当する。

SSABとの提携は、ボルボカーズの総合的な気候行動計画に関する最新の取り組みになる。この計画の中心となるのは、2030年までにEVブランドとなり、ピュアEVのみをラインアップするというボルボカーズの目標だという。この目標を実現するために、全面的な電動化によるテールパイプからの排出量の削減だけでなく、広範な事業活動、サプライチェーン、素材のリサイクルと再利用によるCO2排出量の削減にも取り組んでいる。

SSABとの提携により、ボルボカーズはSSABの「HYBRIT」イニシアチブに協力する最初の自動車メーカーになる。HYBRITイニシアチブは、鉄鋼業界における化石燃料を使わないスチールの開発プロジェクトだ。HYBRITは、SSAB、鉄鉱石メーカーのLKAB、エネルギー会社のVattenfallが共同で立ち上げた。このプロジェクトは、鉄鉱石を原料とした製鉄に従来必要とされていた原料炭を、化石燃料を使用しない電気と水素で代替することを目指している。その結果、世界初の化石燃料を使用しない製鉄技術となり、CO2排出量がほとんどないことが期待されているという。

この提携の一環として、ボルボカーズはスウェーデンののHYBRITのパイロットプラントで製造された水素還元鉄から作られたSSABのスチールを使用する最初の自動車メーカーになる。このスチールは、テスト目的で使われ、コンセプトカーに使用される可能性もあるという。

2026年には、SSABは化石燃料を使用しないスチールを商業規模で市場に供給することを目指している。ボルボカーズは、このスチールを使用した最初の自動車メーカーになることを目指す、としている。

《森脇稔》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. トヨタ『ハリアー』6年ぶりのフルモデルチェンジへ…注目ニュースベスト5 2025年上期
  2. マッスルカー『チャージャー』、内燃エンジン仕様が登場…直6ツインターボで550馬力
  3. エアレスタイヤ搭載でペダルもなし、免許不要の特定小型原付「Future smart」発売
  4. 日産の高級部門インフィニティ、3台の新型コンセプトカーを世界初公開へ…モントレーカーウィーク2025
  5. BMW『3シリーズ』が50周年! 日本だけの限定車発表に、SNSでは悲喜こもごも?
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  3. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
ランキングをもっと見る