【INDYCAR 第9戦】アレックス・パロウが2勝目、シリーズ首位の座を奪回…琢磨は最終盤猛攻で8位フィニッシュ

優勝を飾った#10 アレックス・パロウ。
優勝を飾った#10 アレックス・パロウ。全 8 枚

NTTインディカー・シリーズ第9戦の決勝レースが現地20日に「ロードアメリカ」で実施され、アレックス・パロウが開幕戦以来の2勝目をあげて、シリーズランキング首位の座を奪回した。佐藤琢磨は最終盤に猛攻を見せ、予選順位からは12ポジションアップとなる8位でゴール。

シリーズ第9戦は米ウィスコンシン州の常設コース「ロードアメリカ」での戦いである。予選では2017年と2019年のシリーズ王者ジョセフ・ニューガーデン(#2 Team Penske/シボレー)が前戦のデトロイト・レース2に続いてポールポジションを獲得、佐藤琢磨(#30 Rahal Letterman Lanigan Racing/ホンダ)は20位となった。

なお、今季の優勝ドライバーのひとり、リナス・ビーケイ(#21 Ed Carpenter Racing/シボレー)がサイクリング・トレーニング中に負傷したと報じられ、今回はオリバー・アスキューが代役を務める。そのアスキュー、前週のデトロイト・ダブルヘッダーではレース1でクラッシュしたフェリックス・ローゼンクヴィスト(#7 Arrow McLaren SP/シボレー)の代役でレース2を走っており、今回はさらに別のチームでの代役出走となった。

また、ローゼンクヴィストは今回も欠場で、こちらにはケビン・マグヌッセンが新たに代打起用されている。マグヌッセンは昨季までF1のハースでレギュラーだったドライバー。当時のチームメイト、ロマン・グロージャン(#51 Dale Coyne Racing with RWR/ホンダ)が今季はインディカーを主戦場にしており、ふたりは少々不思議なかたちで“邂逅”を果たすことに。

55周の決勝レースは燃費的に最低3回のピットストップが必要とされ、フルコースコーションのタイミングを戦略的に利用する思惑等も様々に絡む流れとなっていき、見た目の順位はけっこうな変化を見せた。だが、実質の優勝争いはポール発進のニューガーデンと予選5位だったアレックス・パロウ(#10 Chip Ganassi Racing/ホンダ)の間で展開されていたと考えていいだろう。そしてその戦いは、残り2周でのコーション明けリスタートで思わぬ結末を迎える。

首位ニューガーデンをターン1手前までにパロウがパス。ずいぶんとあっさり抜いたようにも見えたが、ニューガーデンはそこからズルズルと順位を下げていき、21位でのフィニッシュになってしまう。ギヤボックスのトラブルが出たらしく、前戦のデトロイト・レース2でもポール発進から終盤に逸勝していたニューガーデン、2戦連続の無念な結末となった。前戦は2位になれたのでまだしも、今回は惨劇級の敗戦である。

勝ったパロウは参戦2年目、強豪チップ・ガナッシ・レーシング移籍初年度の今季は開幕戦で自身のインディカー初優勝を飾っており、それ以来の2勝目となった。

優勝した#10 アレックス・パロウのコメント
「2勝目をあげることができ、言葉が見つからないくらいだよ。カーナンバー10のマシンを担当してくれているクルーたち、そしてチームに感謝している。マシンはスタートからずっと、本当に良かったんだ。ホンダとHPD(Honda Performance Development)が素晴らしい仕事をしてくれたおかげで、必要なところでオーバーテイクを実現することもできていた。とても嬉しいし、チップ・ガナッシ・レーシングを誇りに思う」

開幕戦の優勝でポイントリーダーとなったパロウは、第3戦でその座を僚友の6冠王スコット・ディクソン(#9 Chip Ganassi Racing/ホンダ)に奪われ、第4戦終了時にはランキング3位まで後退したが、再び上昇、第6戦インディ500終了時には首位に復帰していた。しかし前戦のデトロイト・レース2(シリーズ第8戦)で今度はパトリシオ・オワード(#5 Arrow McLaren SP/シボレー)にランキングトップを1点差でさらわれてしまう。それを今回また取り戻し、このレースで9位、ランキング2位に後退したオワードに28点差をつけている(349対321)。

第9戦ロードアメリカの決勝2位はコルトン・ハータ(#26 Andretti Autosport w/ Curb-Agajanian/ホンダ)。3位はウィル・パワー(#12 Team Penske/シボレー)で、4位にディクソン、5位にはグロージャンが入った(注目の“新人”マグヌッセンはリタイアで、25台中24位というリザルト)。

琢磨は戦略の絡みで一時は首位や2番手も走行、そして最後の2周の戦いは12番手の位置で迎えた。最終ピットストップでレッドタイヤ(ソフトタイヤ)を履いていた琢磨はそれも活かしてここからスパート、8位まで上げてゴールしている。予選順位からは12ポジションアップの決勝結果となった。

#30 佐藤琢磨のコメント
「ロードアメリカでの自分たちのマシンにはスピードが不足しており、予選結果は20位。しかし、チームの作戦のおかげで大きく順位を上げてゴールすることができました。(レースの最初に接触があった)コナー・デイリー(#20 Ed Carpenter Racing/シボレー)には申し訳ないことをしました。あのコーナーに奥深く飛び込み過ぎたのは自分のミスで、彼を押し出してしまいました」

「最終的にはピットの素晴らしい作戦によってポジションを上げ、ペースもわるくありませんでした。接触でマシン左側のサイドウイングを大きく傷め、(ピットストップの際に)テープで固定して走っていましたが、リスタートはとても楽しく、最後はすごいスプリントレースになって、8位でのフィニッシュができました」

「(元来の)スピードが不足していた状況を考えれば、とてもいい結果を得ることができたと思います。チーム全体がいい仕事をしたということですね。シーズン後半戦もプッシュし続けていきます。みなさんのサポートにとても感謝しています」

今季ここまで決勝3位以内がない琢磨だが、シリーズランキングでは目下10位(206点)と、決してわるい状況ではない。今後の戦い次第で、昨季記録した自己最高ランキングの7位を上まわっていける可能性は充分にあるだろう。

次戦第10戦は現地7月4日決勝の日程で、オハイオ州の常設コース「ミッドオハイオ」にて開催される予定となっている。

《遠藤俊幸》

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