アストンマーティン ヴァルキリーAMR Pro 発表…制約なしで性能を追求すると?

アストンマーティン・ヴァルキリーAMR Pro
アストンマーティン・ヴァルキリーAMR Pro全 11 枚

アストンマーティンは6月28日、ハイパーカー『ヴァルキリー』のさらなる高性能バージョン「ヴァルキリーAMR Pro」(Aston Martin Valkyrie AMR Pro)を発表した。レースのレギュレーションやロードユースにおける一切の制約から離れ、究極のパフォーマンスを追及して現在開発中だという。

アストンマーティン、エイドリアン・ニューウェイ、レッドブル・アドバンスド・テクノロジーズ(RBAT)、エンジニアリングパートナーのマルチマティックは2019年、ルマン24時間耐久レースに導入されたハイパーカークラスでの勝利を目標として、ヴァルキリーのレース仕様の開発をスタートした。これがヴァルキリーAMR Proのベースだ。

ジュネーブモーターショー2018で発表されたヴァルキリーのサーキット仕様オリジナルコンセプトは、ヴァルキリーのプラットフォームからパフォーマンスを最大限に引き出すことを目標としていた。新型のヴァルキリーAMR Proには、レースに最適化されたシャシー、エアロダイナミクス、パワートレインの特徴がフィードバックされている。さらにレースのレギュレーションから解放されたので、ルマンに参戦するマシンを上回る性能もあるという。

ヴァルキリーAMR Proのシャシーは、ホイールベースが380mm延長され、トレッドはフロントが96mm、リアが115mm拡大された。アグレッシブな空力パッケージを装着したため全長も266mm延長された。公道仕様ヴァルキリーの2倍のダウンフォースを発生し、3Gを超える横方向加速度を実現したそうだ。空力特性の効率は、ルマン・ハイパーカークラスのレギュレーションを超えたという。

まもなくデリバリーが始まるヴァルキリー公道仕様はハイブリッドカーだが、ヴァルキリーAMR Proのパワープラントは内燃機関だ。エンジンはコスワース製の6.5L自然吸気V12エンジンを搭載した。レッドゾーンが1万1000rpmに設定され、最高出力1000bhpを目標にして開発されている。

軽量化については、ハイブリッドシステムを省略したことに加えて、カーボンファイバー製ボディ、カーボンファイバー製ウィッシュボーン・サスペンション、Perspexフロントおよびサイドウィンドウを採用するなど、多岐にわたる。

これらにより、ヴァルキリーAMR ProはF1マシンに近いサーキット・パフォーマンスが期待される。目標は、ルマンが開催される1周13.629kmのサルト・サーキットで、3分20秒のラップタイムを記録することだ。つまりLMP1クラスの最速マシンと同等の性能を意味する。

アストンマーティン最高経営責任者(CEO)のトビアス・ムアースは、「“一切の制約から開放された”サーキット専用バージョンが生み出された。ヴァルキリーAMR Proは、純粋なパフォーマンスに対するアストンマーティンの取り組みを示す車であり、このパフォーマンスDNAは、将来の製品ポートフォリオにも反映される」と語った。

シミュレーションツールを使用した開発作業は完了し、実走行テストが間もなく開始される。アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラ1チームのドライバーも参加して、車両の動的セットアップを煮詰める。パフォーマンスの数値はその時に明らかになるだろう。

ヴァルキリーAMR Proはすべての車両が左ハンドル仕様で、2台のプロトタイプと、40台の車両が生産される予定だ。納車は2021年第4四半期から。購入した顧客は、FIA公認サーキットでアストンマーティンが主催するサーキット・デイに参加できる。サーキット以外に走る場所がないから。

《高木啓》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. トヨタ『ハリアー』6年ぶりのフルモデルチェンジへ…注目ニュースベスト5 2025年上期
  2. トヨタ『ハリアー』6年ぶりのフルモデルチェンジへ...ワイド&ローのフォルムに注目だ!
  3. 日産『マイクラ』新型は約450万円から、EVに生まれ変わる6代目、9月に英国受注開始
  4. 取り付け約10秒、カーメイトが『カローラクロス』『メルセデスベンツ』各車純正ミラー専用設計の「ワイドリアビューミラー」を発売
  5. ホンダ『シビック e:HEV』英国モデルの新デザインに好感触! SNSではその価格にも注目が集まっており…
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  3. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
ランキングをもっと見る