電動フェラーリ『296GTB』にサーキット仕様…「アセット・フィオラノ」を欧州設定

軽量化と専用チューンのサスペンション

逆転の発想で生まれた新アクティブエアロ

V6エンジンでありながらV12に匹敵するサウンドを追求

フェラーリ296GTBアセット・フィオラノ
フェラーリ296GTBアセット・フィオラノ全 16 枚

フェラーリは6月24日、新型プラグインハイブリッド(PHV)スポーツカーの『296GTB』に、サーキット走行仕様の「アセット・フィオラノ」(Ferrari 296 GTB Assetto Fiorano)を欧州で設定すると発表した。

軽量化と専用チューンのサスペンション

アセット・フィオラノ=フィオラノ・パッケージの設定は、フェラーリのフラッグシップモデルの『SF90ストラダーレ』に続くものだ。フィオラノは、フェラーリの自社サーキット(テストコース)の名前だ。

296GTBのアセット・フィオラノでは、パワーとパフォーマンスをサーキットで最大限に活用したい顧客に向けて、軽量パーツや空力的モディファイ、GTレースのノウハウを生かしたサスペンションなどを採用している。

アセット・フィオラノでは、軽量化や専用エアロパーツの装着が行われた。主な装備には、サーキット走行に最適化された特別なアジャスタブル・マルチマチック・ショックアブソーバーや、10kgのダウンフォースを上乗せするフロントバンパーのカーボンファイバー製ハイダウンフォースパーツ、「レクサン」樹脂製リアスクリーンがある。

また、カーボンファイバーなどの軽量素材を、キャビンとエクステリアに幅広く使用した。アセット・フィオラノでは、ドアパネルなど、標準仕様の基本構造を再設計する必要が生じたコンポーネントもある。その結果、全体で12kgを超える軽量化を実現しているという。

アセット・フィオラノを選択すると、1963年に発表されたフェラーリ『250LM』をイメージした専用カラーリングをオーダーすることができる。フロントバンパーからセンターグリルを覆ってアウトラインを際立たせ、ボンネットからルーフ、リアスポイラーへと流れるイエローのカラーリングが選べる。

アセット・フィオラノでのみでオーダーが可能なパーツには、15kgの軽量化が可能なレクサン樹脂製リアスクリーンや、高いグリップ力でサーキット走行に適したミシュランの高性能タイヤ、「スポーツ・カップ2R」がある。

逆転の発想で生まれた新アクティブエアロ

296GTBでは、2013年発表の『458スペチアーレ』で導入されてから受け継がれてきたアクティブエアロの枠組みを覆し、可動デバイスをドラッグ低減のためではなく、ダウンフォース増加のために使用している。

『ラ・フェラーリ』をインスピレーションとするアクティブスポイラーをリアバンパーに組み込み、必要なときに高いレベルのリアダウンフォースを発生する。アセット・フィオラノの場合、ハイダウンフォース構成で発生する最大量は、250 km/h走行時に360 kgに相当するという。

空力面の開発によって、296GTBはロードラッグ構成でも、従来モデルより大きなダウンフォースを獲得できる。ハイドラッグ構成では、アクティブスポイラーによってダウンフォースが100kg上乗せされる。

PHVシステムのラジエーターは排気口が2個あり、スポイラーの両サイドのすぐ下に位置する。このソリューションによって、フロント中央部の空間に余裕が生まれ、これをダウンフォース発生に利用している。

296GTBでリアのエアロダイナミクスを特長づける中心的存在が、アクティブスポイラーだ。これがダウンフォースを上乗せし、高速走行時のハンドリングとブレーキングのパフォーマンスを最大化する。このアクティブエアロのコンセプトは、458 スペチアーレ以降のフェラーリのクーペで採用されてきたものとは正反対という。

従来は、ディフューザー上のフラップをハイダウンフォース構成からロードラッグ構成へと変えて、ストレートで最高速度に到達することを可能にしていた。しかし296GTBでは、可動エアロデバイスによって、ダウンフォースが増加する。

この可動リアポイラーは、バンパーのデザインと一体化しており、左右のテールライトの間を占有している。最大のダウンフォースが必要でない状況では、スポイラーはテール上部のコンパートメントに格納。車両のダイナミック制御システムがモニターしている加速度が一定の数値を超えると、スポイラーが展開する。

この複合効果によって、リアアクスルにかかるダウンフォースが100 kg増加し、操作性が高まるとともに、ブレーキング時の制動距離が短縮されるという。

V6エンジンでありながらV12に匹敵するサウンドを追求

296 GTBはサウンドの面で、通常は相反する二つの特性、ターボのパワーと、自然吸気V型12気筒エンジンが奏でる高周波音のハーモニーを両立させた、と自負する。低回転域でも、V12の純粋な音の重なりに匹敵するサウンドをキャビンの中で楽しめ、高回転域ではフェラーリらしい高音を届けるという。

「F163型」エンジンファミリーの第一弾となる296GTBのV型6気筒エンジンには、開発中に「ピッコロV12(ミニV12)」という愛称が与えられた。バンク角120度のアーキテクチャーによって点火順序を左右対称にでき、等長のチューンドエグゾーストマニフォールドと、ホットV外側の1本出しの排気ラインが圧力波を増幅させた。8500rpmという高回転でのレブリミッターも、これに貢献しているという。

特許取得の「ホットチューブ」は、296GTBのために完全に再設計された。排気ガス後処理システムの前にレイアウトされており、純粋なサウンドをキャビンに伝達し、ドライバーの一体感と興奮をさらに高める、としている。

《森脇稔》

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