西武多摩川線でサイクルトレイン、利用シーンは意外とありそう[フォトレポート]

西武多摩川線サイクルトレイン(武蔵堺駅デモ)
西武多摩川線サイクルトレイン(武蔵堺駅デモ)全 29 枚

6月29日火曜日の11時台は、先頭車両に10人、中間車に20人ほどの客が乗っていた西武多摩川線。この武蔵境(東京都武蔵野市)~是政(東京都府中市)8.0kmのスローな路線で、自転車をそのまま電車内に持ち込める実証実験「西武多摩川線サイクルトレイン」が、7月1日~9月30日の期間限定で設定される。

この「西武多摩川線サイクルトレイン」は、平日上り是政発10時9分~15時45分、下り武蔵境発10時6分~15時42分、土休日上り是政発8時9分~17時45分、下り武蔵境発8時6分~17時42分の列車に設定される。また各駅の改札では、平日10~16時、土休日8~18時の間で自転車を持ち込みながら通過できる。

西武 101系 4両編成 全4本にチャリ載せOK設定

西武多摩川線サイクルトレイン(武蔵堺駅デモ)西武多摩川線サイクルトレイン(武蔵堺駅デモ)自転車を持ち込める車両は、西武 101系 4両編成 全4本(1245・1247・1249・1251編成)の武蔵境寄り1号車のみ。車内の座席裾ポールにあるオレンジマジックテープで自転車を固定する。持ち込める台数は8台。1人1台まで持ち込めて、持ち込み料金などは不要。運賃のみで利用できる。

また、原動機付き自転車やスタンドがない自転車、長さ180cm・幅45cmを超える自転車は持ち込めない。小学生以下は保護者の同伴が要る。こうした条件のもとで実施される“西武版サイクルトレイン”がなぜ、多摩川線を最初に選んだか。

西武の“孤立路線”を逆手にとって実現

西武鉄道路線図。多摩川線は図の下の方。西武鉄道路線図。多摩川線は図の下の方。西武鉄道多摩川線は、同じ西武の路線とつながっていない“孤立路線”。この単独性を逆手にとり、「武蔵境寄り先頭車は乗客が少ない」「常に同じ101系4本が走る」「多摩川や野川公園、調布飛行場といった“自転車でめぐるとより楽しめる空間”が点在している」といったポイントに着目して実現させたという。

いま駅前にはシェアサイクルやレンタサイクルがある。多摩川線の沿線価値向上というなら、駅構内にシェアサイクルを充実させたほうが手っ取り早い。MaaSの時代、さまざまな交通をシームレスにつなげるトレンドもある。それなのになぜ西武鉄道はサイクルトレインを試みるか。

子どもといっしょに、大きな荷物があるとき、便利かも

西武多摩川線サイクルトレイン(武蔵堺駅デモ)西武多摩川線サイクルトレイン(武蔵堺駅デモ)Googleマップで武蔵境駅と是政駅の間を自転車利用でルート検索すると、10km43分という結果が出る。多摩川をサイクリングしたいと思っている多摩川線沿線ユーザは、「自分の足で自転車で行けばいい」と思う人もいるはず。

「たとえば、行きは自分の足でサイクリングして、帰りは電車に載せて帰ってくるとか。チャイルドシート付きのママチャリに乗る親子が、電車と自転車に乗って買い物やママ友会に行ったり……そんな想定もしている」(西武鉄道)

前出の積載可能サイズ内に収まれば、チャイルドシートシート付き自転車なども持ち込みできるということで、こうした利用イメージもあるという。また、じゃがいもダンボールひと箱とかを買った場合、自転車の荷台にじゃがいもダンボールを載せて駅まで行き、荷台から下ろして自転車を電車に載せて……といった利用もできそう。

テレワークやカフェ探しに、多摩湖線や国分寺線へも拡張するか

そう考えると、使い方がいろいろ浮かんでくる。テレワークが定着し、電車に乗って通勤する機会が減ったいま、自分のお気に入り自転車を多摩川線電車に載せて、多摩川の河川敷でノートPCをカタカタしたり、知らない街を自転車で走って仕事場になりそうなカフェを探したり……。

そして多摩川線サイクルトレインの手応えと課題がみえてきたら、西武鉄道は本格展開へとステップアップするかもしれない。多摩川線で始めて、その先には多摩湖線や国分寺線、狭山線といったローカル路線へと拡張するかもしれない。

《レスポンス編集部》

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