トヨタ ヤリスクロス、欧州仕様はハイブリッドのみ…生産開始

「TNGA」プラットフォームの「GA-B」を採用

1.5リットル3気筒エンジン+モーターのハイブリッド

2025年までに欧州新車販売を150万台に拡大する目標達成に重要なモデル

フランスの「トヨタ・モーター・マニュファクチャリング・フランス(TMMF)」で生産が開始されたトヨタ・ヤリスクロス
フランスの「トヨタ・モーター・マニュファクチャリング・フランス(TMMF)」で生産が開始されたトヨタ・ヤリスクロス全 17 枚

トヨタ自動車の欧州部門は7月6日、『ヤリスクロス』(Toyota Yaris Cross)の生産をフランスの「トヨタ・モーター・マニュファクチャリング・フランス(TMMF)」で開始した、と発表した。

「TNGA」プラットフォームの「GA-B」を採用

ヤリスクロスは、新型『ヤリス』と車台を共有するコンパクトSUV。ヤリスブランドで築いてきた「走る楽しさへのこだわり」「クラスを超えた質感」を受け継ぎつつ、都市型コンパクトSUVを再定義することを目指して開発された。

新型ヤリスと同じく、トヨタの新世代コンパクトカー向け「TNGA」(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)プラットフォームの「GA-B」と、一新したハイブリッドシステムを採用した。また、取り回しの良いボディサイズと、居住性や荷室空間といったSUVらしいユーティリティ性能を両立させている。

ボディサイズは、全長4180mm、全幅1765mm、全高1560mm、ホイールベース2560mm。新型ヤリスと比較すると、240mm長く、20mmワイドで、90mm背が高い。2560mmのホイールベースは同数値だ。また、フロントオーバーハングは60mm、リアオーバーハングは180mm延びて、より多くの室内スペースを確保。最低地上高も30mm引き上げられている。トヨタ・ヤリスクロス(欧州仕様)トヨタ・ヤリスクロス(欧州仕様)

1.5リットル3気筒エンジン+モーターのハイブリッド

トヨタの第4世代ハイブリッドテクノロジーを搭載する。『カローラ』、『C-HR』、『RAV4』、『カムリ』などに採用されている2.0と2.5リットルのハイブリッドパワートレイン技術を導入して開発された最新の1.5リットルハイブリッドシステムを搭載する。

欧州仕様車のパワートレインには、ハイブリッドのみが設定される。日本仕様に用意される1.5リットルの3気筒ガソリンエンジン搭載車は、欧州市場には導入されない。これは、トヨタの欧州戦略に沿う形となる。トヨタの欧州戦略では、例えば、新型ヤリスの場合、欧州ではハイブリッドが主力に位置付けられ、日本仕様に設定される1.5リットルと1.0リットルの3気筒ガソリンエンジン搭載車は、一部市場のみに投入される。

アトキンソンサイクルの1.5リットル直列3気筒ガソリンエンジン「ダイナミックフォース」は、摩擦や機械的損失を減らし、燃焼速度を最適化するように設計された。その結果、低エンジン回転域において、高いトルクと優れた燃費を実現する。エンジンの熱効率は40%で、同等のディーゼルエンジンよりも優れており、高い燃費と低いCO2排出量を可能にしているという。この新しいハイブリッドシステムは、最大出力116hpを発生する。CO2排出量は、駆動方式がFFは90g/km以下、4WDは100g/km以下(いずれもNEDC:新欧州サイクル)となる。

4WDシステムは、インテリジェントな全輪駆動システムの「AWD-i」だ。日常走行だけでなく、低グリップ路面において、さらなる安定性とトラクションを追求した。電気式の4WDシステムは、機械式AWDユニットよりもコンパクトで軽量なため、競合する全輪駆動のBセグメントSUVよりも、燃費とCO2排出量に優れるという。このシステムは、通常走行はFFで、加速時やスリップを検知した時、駆動トルクを後輪に送り、4WDに切り替わる。たとえば、濡れた石畳の上、大雨、雪の上、砂の上などで、自動的に4WDに切り替わる。トヨタ・ヤリスクロス(欧州仕様)トヨタ・ヤリスクロス(欧州仕様)

2025年までに欧州新車販売を150万台に拡大する目標達成に重要なモデル

トヨタ・モーター・マニュファクチャリング・フランス(TMMF)は、欧州市場向けのヤリスクロスの生産を開始した。工場の同じラインで新型ヤリスとヤリスクロスを生産できるようにするために、4億ユーロの追加投資が行われ、TMMFの年間生産能力は30万台に引き上げられた。

ヤリスクロスは、トヨタのGA-Bコンパクトカー向けプラットフォームをベースにした2番目のモデルであり、欧州で生産される8番目のTNGAモデルだ。トヨタ・モーター・マニュファクチャリング・ポーランド(TMMP)が、ハイブリッドパワートレインのモーターとトランスミッションを生産し、TMMFで組み立てられる新型ヤリスとヤリスクロスに供給する。

ヤリスクロスの生産開始により、TMMFの雇用は約5000人に増員された。ヤリスクロスは、欧州BセグメントSUV市場の顧客のニーズを満たすように開発された。ハイブリッド車のみを設定することで、2025年までに欧州新車販売の90%を電動化するという目標の達成を目指す。

また、ヤリスクロスの欧州導入は、トヨタの現地での競争力を高めるだけでなく、2025年までに欧州での新車販売台数を150万台に拡大するという目標に向けて、現地生産の促進と生産能力を最大化する戦略を強化するために重要、としている。

《森脇稔》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 【スズキ ソリオ 新型試乗】乗り心地と静粛性はクラストップ、だが「損をしている」と思うのは…中村孝仁
  2. 15歳から運転できる「小さいオペル」に興味アリ!「通勤用にこういうのでいいんだよ」など注目集まる
  3. 日産 リーフ 新型をライバルと比較…アリア、テスラ、bZ4Xと何が違う?
  4. ついにハイブリッド化! 新型トヨタ『ランドクルーザー300』の発表にSNSでは「バク売れの予感」など話題に
  5. 伝説のACコブラが復活、「GTロードスター」量産開始
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  2. 茨城県内4エリアでBYDの大型EVバス「K8 2.0」が運行開始
  3. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  4. 独自工会、EV減速でPHEVに着目、CNモビリティ実現へ10項目計画発表
  5. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
ランキングをもっと見る