高輪築堤の一部を佐賀県へ移築か?…鉄道創業の立役者・大隈重信にあやかる

「明治時代の錦絵に描かれた当時の風景」がそのまま残っているとして、現地保存されることになった高輪築堤の橋梁部。
「明治時代の錦絵に描かれた当時の風景」がそのまま残っているとして、現地保存されることになった高輪築堤の橋梁部。全 2 枚

佐賀県の山口祥義知事は7月16日に開かれた定例会見で、高輪築堤の一部を佐賀県に移築したい意向を示したことについて記者の質問に答えた。

高輪築堤は、1872年10月に開業した新橋(後の汐留)~横浜(現・桜木町)間の鉄道建設時に海上に構築された築堤の一部で、JR東日本が国際交流拠点を目指して進めている再開発プロジェクト「品川開発プロジェクト」の第1期エリアで出土。JR東日本では一部保存の意向を示している。

これに呼応して山口知事は、貴重な遺構であることや、東京での一部保存に理解を示しつつ、佐賀県への一部移築の意向をJR東日本や東京都港区の武井雅昭区長へ伝えているとしており、「やり方について、今、そういうことがどういう方法でやることができるのかということについて、JR東日本や港区とも相談しながら進めたいと考えております」と述べた。

移築のイメージについては、明治~昭和期の洋画家、版画家である岡田三郎助のアトリエを東京都渋谷区恵比寿から佐賀県県立博物館・美術館に移築したことを例に挙げて、「美術館、博物館のエリアだったりとか、大隈重信記念館だったり、早稲田佐賀の校内だったり、そのうちの幾つか、もしくは全部か」と述べ、文化・文教施設へ移築する考えを示した。

その上で「(岡田三郎助のアトリエ移築)の成功体験を生かしながら、みんなに分かっていただけるような大隈重信の創造力というか、あの時代にああいったものを造れたということがみんなの気持ちと一体化できるような形での移設を考えていきたいと思います」と述べた。

佐賀出身の大隈重信は、明治維新後に富国強兵策として鉄道建設を第一に唱えた新政府の参議で、ロシアが持ち込んだものを参考に、佐賀藩が明治維新前の1855年から製作した「蒸気車」の模型を見学したと言われている。

その意味では、鉄道創業期の遺構である高輪築堤と佐賀県は浅からぬ縁とも言え、加えて2021年は大隈重信の没後100回忌を迎えることもあり、山口知事は、維新の佐賀に思いを馳せつつ、遺構発掘の感動をぜひ県民と共有したいとしている。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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