【ヨコハマ アイスガード7 試乗】氷上性能と雪上性能 両方の最適解を探りつつアイスガード7はさらなる氷上性能向上へ

スタッドレスユーザーが重視するのは「氷上性能」「雪上性能」「長もち性能」の順

何度トライしてもアイスガード7のほうが先代より約1m氷上制動距離が短い

全方位的にアイスガード6を上回るという事実

ヨコハマ アイスガード7 雪上氷上試乗(トヨタ ハリアー)
ヨコハマ アイスガード7 雪上氷上試乗(トヨタ ハリアー)全 13 枚

今年2月、横浜ゴムが北海道に所有するテストコース"北海道タイヤテストセンター"にて、同社がこの度発表した新スタッドレスタイヤ『アイスガード7』(ice GUARD iG70)をテストした。

【画像全13枚】

スタッドレスユーザーが重視するのは「氷上性能」「雪上性能」「長もち性能」の順

「ガーデックス」の名で1985年に登場した横浜ゴムのスタッドレスタイヤは、数年ごとにモデルチェンジを重ねてきた。現在の主力製品である2017年発売の『アイスガード6』(ice GUARD iG60)はその名の通り6世代目。それが今年アイスガード7として生まれ変わる(アイスガード6も併売される)。ヨコハマ アイスガード7 雪上氷上試乗ヨコハマ アイスガード7 雪上氷上試乗

同社の調べでは、ユーザーがスタッドレスタイヤで重視するのは「氷上性能」「雪上性能」「長もち性能」の順。冬季、日常的に凍結路面に出くわす寒冷地ならこの順番もわかるが、非降雪地域のユーザーに限っても、この順番は変わらないという。同社によれば、非降雪地域のユーザーがスタッドレスタイヤを装着するのは、ウィンターレジャーや年末年始の帰省などで寒冷地に足をのばした際に出くわす凍結路面に備えるためなので、求めるものは寒冷地のユーザーと変わらないのだそうだ。ヨコハマ アイスガード7 雪上氷上試乗(トヨタ カローラ)ヨコハマ アイスガード7 雪上氷上試乗(トヨタ カローラ)

もちろん、ユーザーが雪上性能はそれなりでよいと考えているわけではなく、“両雄並び立たず”の性能である氷上性能と雪上性能がどちらも従来に比べかなり高くなっているという前提での話だろう。

何度トライしてもアイスガード7のほうが先代より約1m氷上制動距離が短い

これらを踏まえ、アイスガード7が特に重視したのが氷上性能だ。まずは屋内氷盤試験路で、アイスガード6との比較を行った。スケート場のように平滑な氷上で、アイスガード7とアイスガード6をそれぞれ装着したプリウスを交互に走らせ、30km/hからフル制動をしたところ、面白いように何度やってもアイスガード7のほうが目視で約1m制動距離が短い。ヨコハマ アイスガード7 雪上氷上試乗(トヨタ プリウス)上がアイスガード7ヨコハマ アイスガード7 雪上氷上試乗(トヨタ プリウス)上がアイスガード7

どうやってこれを実現しているかというと、コンパウンド(ゴムの材料)の面では吸水効果が高められた。氷上が滑りやすいのは、タイヤと氷の間にできる水膜が原因。これをタイヤが可能な限り吸水し、タイヤの接地面積を増やして、凝着摩擦力を高める工夫がされた。またサイプの入れ方の工夫によってタイヤの倒れ込みを抑制することで接地面積を増やした。

タイヤと氷が接する面積を増やして凝着摩擦力を高めれば氷上性能が増すことは以前からわかっていたものの、これを重視すると今度は雪上性能を向上させにくい。雪上で高いグリップ力を得るには広い溝面積を確保し、雪面を引っ掻く性能を持たせないといけないからだ。ヨコハマ アイスガード7 雪上氷上試乗(右がアイスガード7)ヨコハマ アイスガード7 雪上氷上試乗(右がアイスガード7)

接地面積を増やせば溝面積が減り、溝面積を増やせば接地面積が減る。現在、各タイヤメーカーのスタッドレスタイヤの開発現場で行われているのは、背反するこのふたつの性能をバランスさせた最適解を見つけることなのだ。そこでアイスガード7はユーザーの要望に応えるかたちでやや氷上を優先させた。

全方位的にアイスガード6を上回るという事実

試験場内には圧雪したハンドリングコースもあり、アイスガード7を装着したFWD車『プジョー 508』『シトロエン C3』と4WD車『トヨタ ハリアー』『スバル レヴォーグ』で走らせることができた。どのクルマで試しても共通して感じられたのは、乗り心地のソフトさだ。路面の凹凸に対し、マイルドな応答を示すため、端的に言って快適だった。ソフトといっても、昔のスタッドレスタイヤに見られた倒れ込み(操舵時にタイヤがよじれるようなフィーリング)はない。大げさではなくサマータイヤで舗装路を走行するのと変わらぬ剛性感を得られる。それでいて、踏面の柔らかさを感じた。ヨコハマ アイスガード7 雪上氷上試乗(スバル LEVORG)ヨコハマ アイスガード7 雪上氷上試乗(スバル LEVORG)

圧雪路面での絶対的なグリップ力は、加減速においても操舵においてもまったく不満がない。気持ちよくペースを上げられるのに加え、限界を超えて滑りだす瞬間も、グリップが回復する瞬間もわかりやすいので、クローズドコースということもあって、非常に楽しい試乗となった。頼もしいがゆえに公道では調子に乗らぬよう自制する必要がある。ヨコハマ アイスガード7 雪上氷上試乗 塩見智氏ヨコハマ アイスガード7 雪上氷上試乗 塩見智氏

それにしてもスタッドレスタイヤの性能の進化には目をみはる。今回比較対象として試したアイスガード6も、新製品時に試した際は「ここまできたか」と驚かされた製品だ。アイスガード7を知らなければ現在も決して性能に不満はない。実際、販売現場ではアイスガード7よりも少し安い値段で継続して販売されるというから賢い選択と言える。けれども新しいアイスガード7が、データ上も、体感としても全方位的にアイスガード6を上回るのは事実。知ってしまった以上、アイスガード7を選びたくなったし、人にも勧めたくなった。

塩見智|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1972年生まれ。岡山県出身。地方紙記者、自動車専門誌編集者を経てフリーランス・ライターおよびエディターへ。専門的で堅苦しく難しいテーマをできるだけ平易に面白く表現することを信条とする。文章はたとえツッコミ多め、自虐的表現多め。自動車専門誌、ライフスタイル誌、ウェブサイトなど、さまざまなメディアへ寄稿中。趣味ゴルフ。日本カーオブザイヤー選考委員。

深田恭子さん出演テレビCM "iceGUARD セブンのうた篇"(30秒)はこちら https://youtu.be/yMgzzAlyLsA

《塩見智》

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