【メルセデスベンツ Cクラス 海外試乗】上がった価格に見合う価値はあるのか?…渡辺慎太郎

メルセデスベンツ Cクラス 新型(C300e 海外仕様)
メルセデスベンツ Cクラス 新型(C300e 海外仕様)全 18 枚

数日前にメルセデス『EQS』の試乗記を公開していただいたけれど、実はその試乗会で新型『Cクラス』にも試乗していた。日本のクルマを取り巻く環境や日本人の感心度からすると、おそらく現時点ではまだEVのEQSよりもこの新型Cクラスのほうが興味津々なのではないだろうか。

【画像全18枚】

ただし、試乗できたのは「C300e」と呼ばれるプラグインハイブリッド仕様のみ。EVでの航続距離は約100kmで、試乗ルートも約100kmだったから、普通に走ればEVモードのみで事足りる。試乗会のシャトルバスも『Vクラス』をEVにコンバートした『EQV』だったので、「EQSの試乗会では、ガソリンは1滴も使わない」という裏メッセージが込められていたようである。

完全なるフルモデルチェンジを遂げたCクラス

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欧州仕様の新型Cクラスはセダンとワゴンが同時に発表されていて、「C180」「C200」「C200 4MATIC」「C300」「C300 4MATIC」そしてC300eの6タイプ(いずれもISG仕様)が現時点で用意されている。日本仕様はすでに発表があったように、「C200アヴァンギャルド」(654万円)、「C200 4MATICアヴァンギャルド」(684万円)、「C220dアヴァンギャルド」(682万円)の3タイプだが、試乗車のC300e(日本名はおそらくC350e)は2022年中頃の導入が予定されている。

新型Cクラスは完全なるフルモデルチェンジであり、『Sクラス』と同じMRA IIと呼ばれるプラットフォームを使用する。セダンのボディサイズを従来型と比較すると、全長で65mm、全幅で10mm、ホイールベースで25mmそれぞれ大きくなっているが、全高は9mm低くなっている。室内はヘッドクリアランス、リヤのレッグスペース、肩や肘周りの空間などすべて広くなっていて、ボディの拡大はキャビンスペースの拡大が主な目的だったようだ。

リヤにエアサス、後輪操舵のPHEV「C300e」

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サスペンションはフロントが4リンク、リヤがマルチリンクで、C300eのリヤのみ空気ばねを使うエアサスペンションとなっている。これはラゲッジルームの床下に重い駆動用バッテリーを搭載していることによる前後の荷重バランスを整えるためで、プラグインハイブリッドのモデルでは珍しくない設定でもある。参考までに、従来型はオプションでエアサスペンションが用意されていたが、新型ではそれがなくなっている。メルセデスによれば「思ったほど需要がなかったから」とのこと。確かに従来型の特にフェイスリフト以降のモデルの乗り心地は、金属ばねでも悪くなかった。

後輪操舵機構はCクラスとしては初めて(オプションで)採用されている。操舵角は最大2.5度で、60km/hを境に逆位相と同位相を切り替える仕組み。これにより最小回転半径はボディとホイールベースが大きくなっても5.32mとなった。ステアリングのロック・トゥ・ロックもわずか2.1回転となり、運転中にステアリングを切る量は思っているよりも少なくて済む。

C300eのパワートレインは、2リットルの直列4気筒ガソリンエンジンとモーターを組み合わせたもので、モーターは9速ATの9G-TRONICのトルクコンバータ部分に組み込まれている。エンジンとモーターのパワースペックはそれぞれ204ps/320Nm、129ps/440Nmで、システムとしては最高出力312ps、最大トルク550Nmを発生する。駆動用リチウムイオンバッテリーの容量は25.4kWでEVモードでの航続距離は約100km、最高速は140km/hで、55kWの急速充電器を使えば約30分で満充電できると公表されている。

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メルセデスの裏メッセージをぶっ壊して驚いたのは

ハイブリッドモードでドライブモードを「E(ECO)」にすると、市街地から高速道路に至るまでエンジンがかかることはない。ましてや最高速は140km/hだから、高速道路で追い越しを仕掛けてもエンジンは死んだままである。このままだと「EVのCクラス」の試乗のみとなってしまいそうだったので、メルセデスの裏メッセージをぶっ壊して申し訳ないとは思ったけれど、ドライブモードを「S(SPORT)」にして無理矢理エンジンを始動させた。

ここで驚いたのは静粛性の高さである。エンジンがかかるとペダルにわずかな振動が伝わってくるようになるが、音でそれを感知できるのは2000rpmを超えたあたりからで、それでも足元の奥のほうでかすかに唸っている程度だった。EVでの走行距離や最高速を考慮すると、ドライブのほとんどをEVで過ごす場合も決して少なくないわけで、パワートレイン以外のノイズを抑制するために遮音/吸音を徹底するのはEVとしては当たり前の処置だが、どうやらC300eには同等の対策が施されているようである。

モーターのトルク特性はエンジンに寄せた感じで、スロットルペダルを踏み込んでからスムーズに線形に立ち上がる。瞬時に440Nmを発生するから加速感に不満はまったくないし、高速道路の追い越し時のレスポンスも申し分なかった。EVっぽいピークのあるパワーデリバリーではなく、総じて内燃機を想起させるチューニングである。

さすがにSクラスの快適性には及ばないが

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内燃機を想起させるといえば、ハンドリングについても同じことが言える。ステアリング操作に対して従順かつ正確にクルマが動く様は、エンジンだけで動く他のメルセデスとほとんど変わりない。操舵応答遅れや必要以上に曲がりたがるようなこともなく、ドライバーの要求に忠実に応えてくれた。

乗り心地も速度域を問わずよかった。しかし駆動用バッテリーを積んだC300eは他のCクラスよりも重く、これは乗り心地にいい影響を与えるので現時点では暫定的な評価である。ただ、それを排除しても、従来型よりもは全般的に動的質感が向上し、上質な雰囲気をまとっていた。よくある言い方をすれば「車格がワンランク上がった」という感じである。プラットフォームが同じだからといって快適性はさすがにSクラスには及ばないものの、室内の風景や各種装備はSクラス並みだった。

いつの間にこんな値段になったの?

それにしても、日本仕様のスターティングプライスが654万円というのはちょっと高すぎやしないだろうか。自分の中でCクラスっていうのは廉価版の車両本体価格が400万円台のクルマだとずっと思っていたので、「いつの間にこんな値段になったの?」と驚いてしまった。「それでも新型Cクラスはそれに見合うだけの価値がある!」とは、C300eを試乗しただけではまだ断言できないです。残念ながら。

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■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★

渡辺慎太郎|ジャーナリスト/エディター
1966年東京生まれ。米国の大学を卒業後、自動車雑誌『ル・ボラン』の編集者に。後に自動車雑誌『カーグラフィック』の編集記者と編集長を務め2018年から自動車ジャーナリスト/エディターへ転向、現在に至る。

《渡辺慎太郎》

渡辺慎太郎

渡辺慎太郎|ジャーナリスト/エディター 1966年東京生まれ。米国の大学を卒業後、自動車雑誌『ル・ボラン』の編集者に。後に自動車雑誌『カーグラフィック』の編集記者と編集長を務め2018年から自動車ジャーナリスト/エディターへ転向、現在に至る。

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