欧州委員会は、2021年7月8日、ダイムラー、BMW、及びフォルクスワーゲングループ(以下「VW」)が、ディーゼルエンジン乗用車の排ガス浄化技術に関するカルテルを行っていたとして、カルテルを自主申告したダイムラーを除く、BMW及びVWに対する制裁金支払命令を発出した。
本件は、技術開発の制限を理由としてカルテル違反が認定された、EUにおける初めての事例であるとともに、世界的にも類似例の少ない先駆的な事案と思われる。また、環境に悪影響を与えるカルテルであり、目下欧州委員会が推進するグリーンディール政策に反するものである点も注目される。
以下、本件の経緯、欧州委員会決定の概要を述べ、本件の特徴及び今後への示唆を考察する。