【フォーミュラE】世界選手権としての初シーズン、群雄割拠の大接戦を制してメルセデスのニック・デ・フリーズが戴冠

チャンピオンに輝いた#17 ニック・デ・フリーズ(メルセデス)。
チャンピオンに輝いた#17 ニック・デ・フリーズ(メルセデス)。全 8 枚

フォーミュラEの2020/2021シーズンが現地15日にドイツ・ベルリンで閉幕し、メルセデスのニック・デ・フリーズが群雄割拠の大接戦を制して世界選手権としての初代チャンピオンに輝いた。メルセデスはチーム部門王座も獲得し、2冠制覇を達成している。

電動車の最高峰レース「フォーミュラE」の第7シーズンは、これまで同様に2020/2021シーズンという“年跨ぎ”のシーズン名称になってはいるが、昨季から続くコロナ禍の影響もあり、実際に開幕したのは今年(2021年)に入ってからだった。今季は1大会で2レースを実施するかたちを多くしながら進み、8月14~15日、最終のドイツ・ベルリン連戦を迎えた。テンペルホーフ元国際空港の特設コースを、土曜(14日)の第14戦と日曜(15日)の第15戦で周回方向を逆にしての2連戦である。

今季のフォーミュラEはFIA世界選手権としての初季。初の世界王座をかけた争いは熾烈を極めた。ドライバーズチャンピオンに関しては、ベルリンの2戦目、最終第15戦の予選を終えた段階でも13人に数字的可能性が残るという、まさに群雄割拠の大接戦。もちろん、現実味のある可能性を有する者の数はもっと少ないが、第15戦の決勝レースではそのランキング上位者にアクシデントが相次ぐなどしていく。

栄冠をつかんだのは、メルセデス(MERCEDES-EQ FORMULA E TEAM)のニック・デ・フリーズだった。僅差大接戦ながらもポイント首位の立場でベルリン決戦を迎えたデ・フリーズは最終第15戦、ランキング上位のライバルたちが次々と権利を失っていくなか、レース途中からはほぼタイトル間違いなしの状況となり、そのまま王座獲得を成し遂げた(最終戦は8位でのフィニッシュ)。

ニック・デ・フリーズ(Nyck de Vries)はオランダ籍の26歳。2019年にFIA-F2選手権でチャンピオンとなり、2019/2020シーズンからメルセデスのフォーミュラEチームでレギュラードライバーを務めている。世界耐久選手権(WEC)でもLMP2クラスで存在感を放つなどしてきている実力派ドライバーだ。

今季のフォーミュラEでは開幕戦に勝ち、第5戦で2勝目をあげたデ・フリーズ。波に乗り切ることはできず混戦にのみこまれていたが、最終ひとつ前の英国ロンドン連戦(第12&13戦)でダブル2位となってポイント首位に立ち、ベルリンでは表彰台に上がれなかったものの、逃げ切って王座に就いた。

デ・フリーズは「言葉がないね。アップダウンのある、タフなシーズンだった。最後も信じられないようなレースになったけれど、(アクシデントに遭った選手らも)みんながOKなようで良かった」と語り、喜びの大きさというよりは、喜びの深さを感じさせた。ラクな展開での“初代世界王者就任”ではなかっただけに、感慨もひとしお、というところだったのだろう。

なお、同じく接戦混戦だったチーム部門の世界王座争いもデ・フリーズとストフェル・バンドーンを擁すMERCEDES-EQ FORMULA E TEAMが制し、2冠独占となっている(デ・フリーズ、メルセデス、ともにフォーミュラEのタイトル獲得は世界選手権となる前を含めて今回が初)。

また、今季の日産(Nissan e.dams)はチーム部門ランキング10位。オリバー・ローランドがドライバー部門14位、セバスチャン・ブエミが同21位という成績だった(今季の決勝最高位は最終第15戦での2位=ローランド)。

フォーミュラEの次季(第8シーズン)、2021/2022シーズンは2022年1月に開幕する予定だ。アウディやBMWが今季限りで参戦を終える(ファクトリーレベルの参戦を切り上げる)など、世界選手権としての2シーズン目以降に向けては不安定に思える部分もないとはいえない状況のフォーミュラEだが、今後も世界のモータースポーツシーンの重要な位置付けにあるシリーズのひとつとして、さらなる隆盛が期待される。

(*上記の結果等は日本時間16日午後の時点でのシリーズ公式サイト等の情報・表示に基づく)

《遠藤俊幸》

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