日野、事業化を見据えたアイデアコンペで2社を選定…ガンバリ運転ゼロなど

HINO ACCELERATOR 2021~HINO DE SAFARI~ 最終選考会
HINO ACCELERATOR 2021~HINO DE SAFARI~ 最終選考会全 10 枚

日野自動車は18日、「HINO ACCELERATOR 2021~HINO DE SAFARI~」の最終選考を行い、グランプリ以下5社の入賞者を発表した。上位2社のビジネスプランは今後の事業化を見据えて、実証実験などの取り組みが予定されている。

【画像全10枚】

「HINO ACCELERATOR 2021~HINO DE SAFARI~」(以下、アクセラレータプログラム)は、人流・物流の社会課題を解決するアイデアやソリューションを持つ企業とのコラボレーションを通じたオープンイノベーションを進め、新しいビジネスを創出するために企画されたものだ。エントリー企業は、日野自動車からHINO Connectの実際の車両走行データなどを利用することができ、それを使ってどんな課題を解決するのか、どんなビジネスを展開できるのかを競う。

5月に公募が開始され、60社以上のエントリーがあった。アクセラレータプログラム事務局、選考委員の一次審査を通過した5社が、8月18日の最終選考に臨んだ。選考会では4名の審査員の前で代表者が事業プランのプレゼンを行う。質疑応答を経て、審査員が最終審査を行い、グランプリ、優秀賞各1社、HINO DE SAFARI賞3社を決定する。

つまり、応募する側にとっては事業企画のコンペという側面もあり、力が入る。最終選考に残った5社は、ビジネスモデルやマネタイズ手段まで考えられており、どれも本格的だ。各社が取り組んだ課題も、旅客運輸・物流業界にいれば誰もが身につまされるものばかりだ。最終選考に残ったファイナリスト5社のプランは以下のとおりだ。受賞順位の順で紹介する。

●グランプリ:
損害保険ジャパン株式会社
ガンバリ運転ゼロプロジェクト(自動車事故ゼロへ向けて)

睡眠不足、長時間労働、遅れや焦、ストレスなどドライバーの心身ともに不健康な状態で運転することを「ガンバリ運転」とし、これを事故につなげないアルゴリズムとプロダクト、サービスを開発する。カメラアプリや車載センサーでドライバーの健康状態を把握、HINO Connectからの車両データと損保ジャパンが持つ事故データを組み合わせ、ドライバーへの注意喚起、休憩やルートのアドバイスを行い運行管理者をサポートする。

●優秀賞:LocationMind
日野自動車のVehicle Probeデータを用いたSaaS型事業

LocationMindはAI処理を含む位置情報の分析、データサイエンスに特化した東大発のベンチャー企業。日野の車両をプローブとした情報、およびその解析情報を運送事業者、インフラ事業者、交通事業者、自治体などに提供する。運送事業者は、稼働率、待機・配車・空荷といった個別課題の分析とコンサル、インフラ事業者、交通事業者には、渋滞予測、災害時の規制情報、避難計画などの応用がある。

●HINO DE SAFARI賞
・合い積みネット/ロジストリング(SAPジャパン・尾張陸運・DNTI)
トラック輸送の空荷率60%を可視化し最適配車やマッチングを行うプラットフォームを構築する。車建ての問題を合積みで解消するソリューション。

・シマント
次世代Hub & Spokeの戦略ツールTMS for XD
(クロスドックオペレーション向け配車システム)
クロスドック(XD)オペレーションにおける荷主や配送業者ごとに異なる伝票や発注書類を統合管理するソリューション。XD倉庫は伝票フォーマットを問わず自動化が期待できる。

・ユニロボット
エキスパートナビゲーター共創提案
対話型ナビまたはエージェントロボット(ミニボ)と日野Connectを組み合わせ、ドライバー・運行管理者のコミュニケーション、管理の自動化を行う。

以上が最終選考の結果だ。

飲酒による痛ましい事故により、現在、旅客輸送以外の事業車両の運行管理規定が強化されようとしている。運行安全管理、ドライバー健康管理、IT点呼は、非常に注目度の名高い市場といえる。プローブカー情報は、国内大型トラックシェアトップの日野自動車のトラックならサンプルとして有意な情報が期待できる。

グランプリと優秀賞については、事業化を想定した実証実験などを日野自動車と行う予定になっている。

《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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