【スズキ Vストローム250 試乗】速さもアドレナリンも要らない!“旅バイク”の真価を教えてくれる…青木タカオ

スズキ Vストローム250
スズキ Vストローム250全 28 枚

◆スペックでは語れない真の実力

街中でもツーリング先でも、よく見かけるのがスズキ『Vストローム250』だ。

【詳細画像】スズキ Vストローム250

クラスを超えたひと回り大きなマシンを思わせる堂々とした車格を持ち、走りにもゆったりとした落ち着きがある。

アップライトなライディングポジションは視界が広く、周囲の状況を把握しやすい。高めのアイポイントも相まって、長時間の走行でも疲れを感じにくい。肩の力を抜いて、ずっと走り続けられる、そんなライドフィールが持ち味だ。

スポーツバイクの場合、軽さやコンパクトさ、そしてハイパワーであることが性能を測る物差しになりがちだが、Vストローム250の魅力は、そうした尺度だけでは語れない。

スズキ Vストローム250スズキ Vストローム250

最高出力24ps/8000rpm、最大トルク22Nm/6500rpmを発揮する水冷4ストローク並列2気筒SOHC2バルブエンジンを搭載し、前後17インチホイールを採用し、車両重量は191kg。スペックだけを見れば、突出した性能を持つわけではない。

実際に走らせても、強烈なダッシュ力や鋭いスロットルレスポンス、クイックなハンドリングで闘争心をかき立てるタイプではない。

アドレナリンを放出するような刺激など、要らないと言わんばかり。加速に胸を躍らせたり、スリリングなハンドリングに興奮するのではなく、ゆったりと構え、流れる景色を楽しみながら、気の向くままに距離を重ねていく。そんなツーリングの醍醐味を、Vストローム250は教えてくれる。

もちろん、走りに物足りなさを感じるわけではない。エンジンは扱いやすく、車体の挙動は穏やか。乗り手を急かすことなく、どこまでも自然体で走らせてくれる。その懐の深さが、Vストローム250の持ち味なのだ。

◆長く付き合うほどに良さがわかる

スズキ Vストローム250スズキ Vストローム250

またがって走り出せば、まず感じるのは扱いやすさと従順さ。特定の性能をことさらに主張するのではなく、ライダーの操作に素直に応えてくれる。

こうした特性は、短い距離を走っただけでは地味に映るかもしれない。しかし市街地を抜け、郊外へと足を延ばし、さらに距離を重ねていくと、そのよさがじわじわと伝わってくる。

気負わず走り続けられることが、じつは大きな価値なのだと気づかされるのだ。

シート高は800mm。アドベンチャーモデルとしては比較的低めに設定され、シート前方を絞り込んだ形状によって、足を下ろしやすくしている。

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信号待ちなどでの停車も苦にならず、車体の引き起こしや取り回しでも過度に身構える必要がない。ストップ&ゴーを繰り返す街乗りでも扱いやすく、日常の足としても頼もしい。

前後17インチのキャストホイールを採用する足まわりは、フロントに110/80サイズのタイヤを装着し、太めのタイヤがもたらすどっしりとした接地感と、クセのないニュートラルなハンドリングが持ち味で、安定感のある車体とも上手くマッチしている。

サスペンションはインナーチューブ径37mmの正立式フロントフォークに、7段階のプリロード調整機構を備えたリヤショックを組み合わせる。さまざまな路面状況に対応するバランスの取れたセッティングで、落ち着いた乗り味を支えている。

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普段使いで気軽に乗り出せる親しみやすさと、長距離を走り切れる快適性。その両方を備えているからこそ、日常の移動から休日のツーリングまで、活躍する場面が広い。

もっと軽快にオフロードを楽しみたいなら、フロント19インチのホイールと単気筒エンジンを採用する兄弟車『Vストローム250SX』という選択肢もある。同じ250ccのアドベンチャーカテゴリーに2機種を揃えているあたりにも、スズキのVストロームシリーズにかける意気込みが感じられる。

◆旅の距離を伸ばす実用性の高さ

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ツーリングを楽しむうえで頼もしいのが、17リットルの燃料タンクだ。WMTCモードで32.1km/リットルという燃費性能も備え、カタログ値からの単純計算では満タンから約540km相当の航続距離となる。

実際の走行条件によって変わるものの、給油の頻度を抑えながら遠くまで走れるのは、ツーリング派にとって大きなメリット。

快適性を支える装備も充実している。標準装備のウインドシールドは、Vストロームらしいアドベンチャースタイルを際立たせるとともに、走行風を和らげてくれる。

ナックルカバーも備わり、手元に当たる風を軽減。長時間の走行や気温の低い日には、その効果を実感できるだろう。

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ドライブチェーンのメンテナンスなどに便利なセンタースタンドも標準装備。フック付きの大型アルミ製リヤキャリアやサイドケースアタッチメントも備わり、ツーリングでの使い勝手までしっかり考えられている。経験豊富なライダーにも、その実用性の高さが伝わる装備内容だ。

メーターは反転表示の液晶デジタル式。速度やエンジン回転数などの基本情報に加え、ギアポジション、時計、オドメーター、ツイントリップメーターなどを表示する。

任意に設定したエンジン回転数に達すると知らせてくれるRPMインジケーターも備え、シフトチェンジの目安を把握しやすい。

さらに、12Vアクセサリーソケットもある。USB端子でもいいだろうと思うが、使いたい電装品によっては昔ながらの12Vソケットが重宝する。派手さや先進性よりも、実際に使う場面を考えた実用装備がきちんと揃っているのだ。

◆フロントマスクがより精悍に

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Vストローム250の外観を印象づけるのは、フロントに張り出した“クチバシ”だ。1988年に登場した『DR-BIG』にも通じる、スズキのアドベンチャーモデルならではのデザインアイコンであり、タフで野性的な雰囲気を生み出している。

丸形ヘッドライトとの組み合わせは個性的だが、登場から9年目を迎え、ヘッドライトは縦置きのプロジェクター式LEDへと進化。LEDポジションランプも新たに採用された。

一目でVストロームとわかる独特のフロントマスクを受け継ぎながら、灯火器類を現代的にアップデートしている。

制動時の安全性を支えるABSユニットも刷新。スタイルだけでなく、安心して走るための機能にも改良が加えられている。

新型となっても車両価格は68万5300円(消費税込み)と、リーズナブルな設定。扱いやすい2気筒エンジンに、ロングツーリングを見据えた装備と快適性を備えているのは大きな魅力だ。

スズキ Vストローム250スズキ Vストローム250

■5つ星評価
パワーソース:★★★
ハンドリング:★★★
扱いやすさ:★★★★★
快適性:★★★★★
オススメ度:★★★★★

青木タカオ|モーターサイクルジャーナリスト
バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。

《青木タカオ》

モーターサイクルジャーナリスト 青木タカオ

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。

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