高輪築堤を国の史跡とする答申…「旧新橋停車場跡」に追加指定

「明治時代の錦絵に描かれた当時の風景」がそのまま残っているとして、現地保存されることになった高輪築堤の第7橋梁部。
「明治時代の錦絵に描かれた当時の風景」がそのまま残っているとして、現地保存されることになった高輪築堤の第7橋梁部。全 6 枚

文化庁の文化審議会は8月23日、文部科学大臣に対して高輪築堤を国の史跡とする答申を行なった。

高輪築堤は新橋(後の汐留)~横浜(現・桜木町)間の鉄道建設時に海上に構築された築堤の一部で、2019年4月、品川駅の改良工事で石垣の一部を発見。2020年には全面的な発掘調査が行なわれ、全容が明らかになった。

JR東日本が国際交流拠点を目指して進めている再開発プロジェクト「品川開発プロジェクト」の第1期エリアで出土したため、JR東日本と有識者との間で全部保存か部分保存かの論議がなされたが、最終的には3街区にある「第7橋梁部を含む約80メートルおよび公園隣接部約40メートル」の保存と、4街区にある「信号機土台部を含む約30メートル」の移築保存を行なう方針が示されている。

答申を審議・議決した文化審議会文化財分科会では、2021年3月に「速やかに史跡指定に取り組むべき」と建議しており、同年5月に視察した菅義偉内閣総理大臣は「こうしたものはしっかり次の世代にも引き継いでいくことが大事」と発言。同行した萩生田光一文部科学大臣は「夏頃までに文化審議会に諮問をし、史跡としての指定をしたい」と述べていた。

答申の理由としては「イギリスと日本の両方の技術によって造られている点でも明治日本の文明開化を象徴しており、交通の近代化や、それに用いられた土木技術等の歴史を知る上で重要である」としており、すでに指定されている「旧新橋停車場跡」に追加指定する諮問がなされていたことから、答申では史跡の正式名称を「旧新橋停車場跡及び高輪築堤跡」としている。

答申を受けて萩生田文科相は「大変喜ばしく思います」と述べ、「地元港区及び所有者であるJR東日本をはじめとする関係各位と連携しながら、国民共有の文化財として貴重である高輪築堤跡が、今後、史跡として適切な保存と活用がなされるよう努めてまいります」という談話を発表している。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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