【シトロエン C5エアクロスSUV PHEV 新型試乗】手玉をとられるばかりである…岩貞るみこ

シトロエン C5エアクロスSUV プラグインハイブリッド(写真は海外仕様)
シトロエン C5エアクロスSUV プラグインハイブリッド(写真は海外仕様)全 12 枚

厚みを感じさせる重厚なフロント部分に、SUVらしい堂々としたシルエット。重量感あふれる仕立てである。インテリアもシトロエンらしく、高めに設計されたセンターコンソールが運転席と助手席をしっかりと分けていて潔い。

ただ、ハイブリッドといえば、日本のお家芸である。1997年に世界初の市販車として『プリウス』が登場してから、日本のユーザーに鍛えられてきたシステムだ(と日本人の一人として自負している)。

登場から長きにわたり、特にブレーキの利き具合には苦労してきた。ペダルを踏み、速度を落とし、最後の瞬間にきゅっと減速力が増してしまうあの違和感。そして思った。こうした高度な技術を、シトロエンがクリアできるのか? あの我儘で、自己主張が強く、絶対に謝らないと言われているフランスが?(すべて個人の感想です)

ゆえに、今回の『C5エアクロスSUV プラグインハイブリッド』も、確認すべきはその1点。いざ、実走!

拍子抜けするくらい、ふつう

シトロエン C5エアクロスSUV プラグインハイブリッド(写真は海外仕様)シトロエン C5エアクロスSUV プラグインハイブリッド(写真は海外仕様)
まず、アクセルペダルをひと踏みする。すると、モーターにアシストされた瞬発力ですいっと前に出る。見た目から感じた重量感は微塵もなく、ひょいひょいとした身のこなし。このギャップにまず萌える。

そして肝心のブレーキだが、これが拍子抜けするくらい、ふつうで違和感がない。何度も意地悪く乱暴にペダルを踏んでみるのだが、まったくもってふつうなのである。いま一度ここに書くが、私は運転が下手だ。ブレーキはスイッチではないと、何度叱られたかわからないが直らない。ゆえに、車両の特性に合わせるという器用な踏み加減ができるわけもなく、しかしそんな私の運転ですら、とても自然に止まってくれるのだ。最後、不自然なかっくんブレーキにもなりにくいのである。

ブレーキだけでなく、サスペンションの仕立ても貢献していることは言うまでもないが、こういう懐の深い乗り心地はさすがシトロエンである。

ハイブリッドに期待する燃費としては物足りないが

シトロエン C5エアクロスSUV プラグインハイブリッド(写真は海外仕様)シトロエン C5エアクロスSUV プラグインハイブリッド(写真は海外仕様)
こうなるともう、C5エアクロスSUVに手玉をとられるばかりである。ボディ剛性のよさからくる包み込み感に守られ、8速ATのなめらかさにひたり、ほどよく硬さのあるシートは長距離を走るほどに満足感が高まる。中にいる人をやわらかくしなやかに運ぶ感覚は、運転していて心地いいのだ。

しかし、落とし穴はある。燃費のカタログ値WLTCモードで、16.1km/リットル。やはりこれは、ハイブリッドに期待するものとしては物足りない。とはいえプラグインハイブリッドだ。満充電してのEV走行距離は65km(カタログ値)。毎日充電して通勤は電気自動車でと考えるなら、これもまたあり。使いこなすのが楽しみなクルマなのである。

シトロエン C5エアクロスSUV プラグインハイブリッド(写真は海外仕様)シトロエン C5エアクロスSUV プラグインハイブリッド(写真は海外仕様)

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。最新刊は「世界でいちばん優しいロボット」(講談社)。

《岩貞るみこ》

岩貞るみこ

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家 イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。著書に「未来のクルマができるまで 世界初、水素で走る燃料電池自動車 MIRAI」「ハチ公物語」「命をつなげ!ドクターヘリ」ほか多数。2024年6月に最新刊「こちら、沖縄美ら海水族館 動物健康管理室。」を上梓(すべて講談社)。

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