【スズキ ワゴンRスマイル 新型試乗】スライドドアだけじゃない、ひと味違う「こだわりワゴン」…島崎七生人

スズキ ワゴンR スマイル(ハイブリッドX 2WD)
スズキ ワゴンR スマイル(ハイブリッドX 2WD)全 24 枚

こういう世の中だから、みんなに笑顔になってほしい……車名の“スマイル”にはそんな思いが込められているのだそう。確かにフロントマスクからして、コワイ顔ばかりの最近のクルマの中にあって、ホノボノ系のデザインではある。

2020年には軽乗用車のうちでスライドドア車が52%を超えたという。なのでスズキも持ち駒の中でスライドドア車を増やしたい思いもあったのだそう。ユーザーにも、今や子供の頃からスライドドア車に親しんできた世代が多く、よってニーズも高いという。そこで現行『ワゴンR』より45mm高くハイトワゴンの『スペーシア』より90mm低い1695mmに設定された車高で『ワゴンRスマイル』が登場した。

『フィアット500』も参考にしたインパネまわり

スズキ ワゴンR スマイルスズキ ワゴンR スマイル
実車は確かに、超ハイトワゴン系ほどヒョロッとした印象はない。さらに全12パターン中8パターンを2トーンとし、白黒だけではない、色あいが味わえるボディ色が用意されるのも特徴だ。スライドドアで実用性、利便性を満たしながら、全体の雰囲気が『ワゴンR』らしいかどうかは別として、“こだわり派”が選びそうな、ひと味違うワゴンタイプのクルマには仕上げられている。

インテリアもこだわっている。というか、実は『フィアット500』オーナーの筆者は、試乗車のインパネまわりを見て、自分のクルマに間違えて乗り込んだのか!?と思った……というのは大袈裟だが、開発関係者からは「輸入車っぽさを意識して『フィアット500』は参考にした」との証言を得た。

スズキ ワゴンR スマイル(ハイブリッドX 2WD)スズキ ワゴンR スマイル(ハイブリッドX 2WD)
ついでに言えば、オプションでボディ色と同色のインパネカラーパネルやキーカバーが用意されている。気に入ったのはワゴンながら細部の質感にも神経が行き届いている点で、とくにシートは着座面だけでなく、マチと呼ばれるサイド部分と背面にもメランジファブリックをまわしてあること。通常ならビニールレザーだが、ファブリックなら、取り扱い時にちょっと手が触れた際にも“いいもの感”が実感できる。

インパネとドアとリムの手縫い風のステッチ、エア吹き出し口などのカッパーゴールドのアクセント、キルティングをモチーフにしたルーフトリムも手が込んでいる。

スライドドアは、モノ自体は『スペーシア』のそれがベースだそうだが、ドアハンドルのボタンを押せば閉じた際に自動でロックがかかるパワースライドドア予約ロック機能が付き、これはサクッと速やかにクルマから離れたいときに便利だ。

スズキ ワゴンR スマイル(ハイブリッドX 2WD)スズキ ワゴンR スマイル(ハイブリッドX 2WD)

街中で日常的に乗りこなすのがピッタリ

スズキ ワゴンR スマイル(ハイブリッドX 2WD)スズキ ワゴンR スマイル(ハイブリッドX 2WD)
『スペーシア』と同等の着座位置という運転席は視界がよく、かつ、適度な高さに抑えられた天井により、ハイトワゴンというより普通のクルマ風の落ち着いた趣。視界も問題なしだ。

現状でパワートレインはR06D型エンジンのマイルドハイブリッドの1タイプ(試乗車はHYBRID X・2WD)。今回は起伏が多少ある郊外の試乗コースだったため、アクセルの踏み方により、もうひと息パワーが欲しいと思う場面もあり、ステアリングの操舵力ももう少し手応えがあればなおいいと感じた。

が、安全支援システムは充実しており、確かにスーパーハイトワゴンよりも“パーソナルカー感覚”があるから、街中で日常的に乗りこなすのがピッタリではないか、と思った。

スズキ ワゴンR スマイル(ハイブリッドX 2WD)スズキ ワゴンR スマイル(ハイブリッドX 2WD)

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

《島崎七生人》

島崎七生人

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト 1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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