幻の『カウンタック』、「LP500」をランボルギーニが復刻生産…完成に約3年

イタリアのコモ湖畔のクラシックカーの一大イベントで初公開

オリジナルのLP500は1974年の衝突試験で生涯を終える

あるコレクターがクラシックカー部門の「ポロストリコ」に復刻生産を打診

オリジナルのタイヤはピレリが再現

ランボルギーニ・カウンタック LP500 の復刻生産車
ランボルギーニ・カウンタック LP500 の復刻生産車全 13 枚

ランボルギーニは10月1~3日、イタリアで開催された「コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラデステ」において、1台限りで復刻生産した『カウンタックLP500』を初公開した。カウンタックLP500の1971年の発表から、50周年を祝福する。

イタリアのコモ湖畔のクラシックカーの一大イベントで初公開

コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラデステは、イタリア・コモ湖畔で毎年開催されるクラシックカーの一大イベントだ。この長い伝統を持つイベントは1929年、イタリア北部のチェルノッビオで「コッパ・ドオロ・ヴィラ・デステ(Coppa d'Oro Villa d'Este)」という当時の自動車部門の新製品展示会が開催されたことに端を発する。

コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステに展示される車両のコンセプトは、トラディション(伝統)とビジョン(展望)が組み合わされている。これは、世界中の他のクラシックイベントにはない「コンセプトカー&プロトタイプ」賞があるという点にも示されている。コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステの受賞者に関する決定は、一般投票で行われる。

1台限りで復刻生産されたカウンタックLP500は、このコンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステのコンセプトカー部門にエントリーした。

オリジナルのLP500は1974年の衝突試験で生涯を終える

ランボルギーニは1971年3月、ジュネーブモーターショーにおいて、カウンタックLP500を発表した。カウンタックLP500は、1974年からの量産型とは異なるプロトタイプだった。フレームは量産型の鋼管組み立てではなく、プラットフォームシャシーで、排気量4971ccのV型12気筒ガソリンエンジンはワンオフ。エンジンへのエアインテークは、サメのエラ穴を模したデザインだった。

ジュネーブモーターショーでの発表後、カウンタックLP500は、市販モデルの開発のためのテスト車両として使用された。そして、3年間の開発期間を経て、カウンタックLP500は1974年3月、衝突試験を行い、その生涯を終えている。

あるコレクターがクラシックカー部門の「ポロストリコ」に復刻生産を打診

2017年末、ランボルギーニのあるコレクターから、クラシックカー部門の「ポロストリコ」に、カウンタックLP500の復刻生産が可能かどうか、打診があった。2015年にランボルギーニが立ち上げたのが、ポロストリコだ。ポロストリコは、『350GT』や2001年に生産を終了した『ディアブロ』など、クラシックランボルギーニの修復や認証を専門に行う。クラシックランボルギーニを可能な限りオリジナル状態に保つことを目指している。

コレクターからの打診を受けて、ランボルギーニは数か月をかけて、当時の資料を調査し、詳細な分析を行った。車両のディティールや技術的仕様が重視され、写真や文書、デザイン原画などが、オリジナルのカウンタックLP500を可能な限り正確に復元するために参照された。またピレリが、オリジナルのカウンタックLP500のタイヤを再現するために、アーカイブ資料を提供した。

作業は、プラットフォームシャシーの製作から開始された。ポロストリコは、当時の製造方法を尊重するために、作業の進め方も当時のスタイルにこだわった。車体の生産も当時と同じ手順で行い、その分析にはさまざまな最新の機器が使用された。部品には、ランボルギーニのスペアパーツや復元されたコンポーネントが使用された。

オリジナルのタイヤはピレリが再現

当時と同じアプローチとして、1:1のスケールモデルも製作された。これは、車体の正確なボリュームを再現するのが目的だ。このために、量産型の『LP400』の第1号車の3Dスキャンを実施した。これには2000時間の作業が必要で、インテリアも同じ手順で行われた。

カウンタックLP500のタイヤを再現するにあたり、ピレリとの1963年から続くコラボレーションが重要な役割を果たした。ピレリのアーカイブに保存されている画像と資料のおかげで、カウンタックLP500に装着された「CinturatoCN12」を忠実に再現することができたという。カウンタックLP500用のピレリ製タイヤは、フロントが245/60R14、リアが265/60R14サイズ。1970年代と同じトレッドパターンとデザインを持つが、タイヤの内部には、最新のコンパウンドと構造が導入されている。

ボディカラーに関しては、当時の資料を慎重に分析した結果、オリジナルのイエローを作り出すことが可能になった。カウンタックLP500は完成までに、2万5000時間(約3年)以上の作業を必要とした、としている。

《森脇稔》

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