ホンダ、レッドブル・グループとの「新協力関係」に合意…F1参戦“支援”や多方面コラボ展開へ

2021年F1トルコGPのレッドブル・ホンダ“特別カラー”。
2021年F1トルコGPのレッドブル・ホンダ“特別カラー”。全 6 枚

ホンダは7日、オンラインで「モータースポーツ活動についての説明会」を実施し、「2022年以降のモータースポーツ領域を中心としたレッドブル・グループとの協力について」の発表を行なった。同グループへのF1パワーユニット(PU)“引き継ぎ”についての内容も語られている。

オンライン説明会にはホンダのブランド・コミュニケーション本部から本部長の渡辺康治氏、同本部モータースポーツ部から部長の長井昌也氏が出席。まず、約1年前に発表した『今季(2021年シーズン)限りでPU供給者としてのF1参戦を終了、そして全社的なカーボンニュートラルへの取り組みにリソースを集中させていく』という方針が予定通りに進められていること、さらに進められていくことが確認された。今季好調だからといって「F1やめるのやめました」とならなかったのは、当然なのだろう(残念にも思うが)。

さて、ホンダのPUでF1を戦っているのはレッドブル(Red Bull)グループの2チーム、「レッドブル」と「アルファタウリ」だが、ホンダは2021年限りでのPU供給者としての参戦終了を発表した当時から、良き共闘パートナーであるレッドブルとアルファタウリが2022年以降もなるべく良いかたちでF1を戦えるよう、可能な範囲で最大限の協力をする意思を表明していた。

実際、今年に入ってから早い段階で、レッドブル・グループが新たに「Red Bull Powertrains」(RBP)を設立して2022年からレッドブルとアルファタウリが使うPU(仮称:レッドブルPU)を“自前供給”していくこと、そのRBPによるホンダPUの技術使用に合意がなされたこと、などが発表されていた(2022年以降、規則でPUの開発凍結が見込まれるようになったことも自前供給プラン実現の背景とされる)。

そしてこの日(10月7日)、「2022年以降のモータースポーツ領域を中心としたレッドブル・グループとの協力について」という発表のなかで、ホンダが2022年の“レッドブルPU”に関しては当初想像されていたよりも広めの支援をすることが明らかにされている。

PUの知的財産権の使用許諾に加えて、2022年はPUの組立支援やサーキット現場でのレース運営支援も(レッドブル側の要請に応じて)実施する。また、現在のHonda Racing Development UK 従業員の希望者に関してはRBPへの転籍が実現する。

やはり現代の複雑なF1 PUの“引き継ぎ”は容易ならざるものであり、ホンダとしては段階的にそれを進める、最初の2022年については広めに支える、というかたちを採るのが自然かつ最善だった、ということだろう。

来季2022年にレッドブルとアルファタウリが使うPUの名称にホンダの名が入ることはないという。ただ、技術パートナーとしてのホンダの名が、マシンのどこかに“貼られる”ことにはなるだろう、とも。諸事情鑑みると、来季、ホンダが“F1を去った感”のようなものは、思っていたより薄まるかもしれない。とはいえ、レッドブルやアルファタウリが勝っても、ホンダ名義のエンジン/PUとしての勝利数は増えない、ということになる。

カーボンニュートラルに傾注していくなかでも、モータースポーツがホンダのDNAであることは不変だとも渡辺氏は語った。“F1参戦終了”後となる2022年以降について、ホンダはレッドブル・グループとの新たな協力関係を結ぶことに同グループと合意、モータースポーツに積極的に関わっていく決意等を示している。

上述のF1 PUに関する支援をはじめとして、ドライバー育成についてもこれまで以上にレッドブルと共同して進めていく。また、レッドブルがグローバルに展開する各種スポーツやブランディング活動ともコラボレーションを高めて、ホンダの企業姿勢やモビリティの多彩な魅力を発信していく、としている。

今回の発表ではホンダ内のモータースポーツに関する体制面の変化にも触れられており、二輪活動の運営をしている「HRC」(株式会社ホンダ・レーシング)に四輪活動の機能を付加、統括的強化が図られることになった。レッドブルPUに関する支援も新生HRCが行なうかたちになる、とのことである。

今季限りでの“PU供給者としてのF1参戦終了”はやはり残念だが、モータースポーツのホンダ、は半永久的に不滅。また、レッドブルとのコラボ強化は、モータースポーツに限らず多くのスポーツやそれ以外の分野への発展・拡大も大いに期待させるところだ。
「レッドブル」は、本来なら日本GPが開催されているはずだった今週末(10月8~10日)のトルコGPに、1960年代のホンダF1初優勝車「RA272」(1965年)の白をモチーフにした特別……

《遠藤俊幸》

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