メルセデスベンツ Sクラス 新型、防弾仕様車を欧州発売へ…ライフルの銃弾に耐える

最大出力612hp のV12ツインターボ搭載

多層ガラスの「サンドイッチ」の材質と厚さを見直し

タイヤがパンクしても30km走行可能

ドイツの防弾性能規格で最高の「VR10」に適合

メルセデスベンツ Sクラス 新型の防弾仕様車「S680ガード4MATIC」
メルセデスベンツ Sクラス 新型の防弾仕様車「S680ガード4MATIC」全 20 枚

メルセデスベンツ(Mercedes-Benz)は10月6日、メルセデスベンツ『Sクラス』新型の防弾仕様車、「S680ガード4MATIC」を欧州市場で発売すると発表した。ドイツ本国でのベース価格は、45万7100ユーロ(約5885万円)だ。

写真:メルセデスベンツ Sクラス 新型の防弾仕様車「S680ガード4MATIC」

最大出力612hp のV12ツインターボ搭載

メルセデスベンツは90年以上に渡って、防弾対策などを施したリムジンを製作し、各国元首やVIPに納車してきた実績を持つ。1980年以降、歴代Sクラスには、防弾仕様車が用意されてきた。防弾仕様車の開発における90年以上のノウハウが、Sクラス新型の防弾仕様車、S680ガード4MATICにも反映されている。

パワートレインは、新型メルセデスマイバッハSクラスのV型12気筒ガソリンエンジン搭載車、「S680 4MATIC」グレードがベースとなる。6.0リットル(5980cc)V型12気筒ガソリンツインターボエンジンを搭載する。最大出力は612hpと変わらないが、最大トルクは91.8kgmから84.6kgmに抑えられる。このV12エンジンには、オールアルミ製クランクケース、ワンピースのチェーンドライブ、鍛造クランクシャフト、鍛造ピストン、12個のダブル点火コイルを備えたマルチスパーク点火システムが採用されている。

歴代のSクラスの防弾仕様車としては初めて、全輪駆動システムの「4MATIC」を12気筒エンジンに組み合わせた。システムの軽量化、最適なトラクションと運転の安全性、最高レベルの乗り心地とドライビングダイナミクスを追求する。前後の駆動トルク配分は、フロントアクスルが31%、リアアクスルが69%。4MATICシステムは、より強力なサイドシャフトを備えた防弾仕様車の重い車両重量に適合させたという。なお、車両重量の関係で、最高速は190km/hに抑えられる。

多層ガラスの「サンドイッチ」の材質と厚さを見直し

S680ガード4MATICの見た目は、通常のSクラスと変わらない。しかし、その中身にはかなり手が加えられている。

統合保護システムの「iSS」は、新しいレベルに進化させた。従来型では、必要な保護素材をボディシェル構造に追加で組み込んでいた。しかし、新型では専用のボディシェルを開発している。新型では、アルミ製のボディが保護構造として機能し、外観も防弾仕様車と目立たなくしている。iSSにはサスペンション、エンジン、トランスミッションのチューニングも含まれており、ベース車両とほぼ同等のハンドリングを実現した、と自負する。量産モデルと並行した開発プロセスにより、車両の寿命も同等に達しているという。

新型では、多層ガラスの「サンドイッチ」の材質と厚さを見直した。ガラスの内面は、ガラスの破片から乗員を保護するためにポリカーボネートでコーティングされている。優れた保護効果にもかかわらず、視認性も高いという。

タイヤがパンクしても30km走行可能

新開発のドアアクチュエータを導入する。ドアは装甲仕様のために重くなっているが、新開発のドアアクチュエータによって、ドア開閉時の操作力を小さくしている。これは、平らな場所だけでなく、斜面での乗降時に効果的という。電気ではなく、油圧で作動するウィンドウリフターを装備する。外部からの攻撃によって車載電源に障害が発生した場合でも、ドアを閉じるなどの緊急操作が可能になるという。各ドアには、コンプレッサーとバルブブロック、蓄圧器で構成されるユニットが搭載されている。

S680ガード4MATIC専用に設計されたその他の特別な装備には、自動消火システムや、乗員を煙や刺激ガスの侵入から保護して新鮮な空気を供給する緊急外気システムがある。オプションで、サイレン、点滅灯、パニック警報システムなどが選択できる。

タイヤは、ミシュランの「PAX」ランフラットを標準装備する。タイヤにパンクなどが起きた場合でも、30km走行することができる。

ドイツの防弾性能規格で最高の「VR10」に適合

耐久性テストは、ドイツのバーデンヴュルテンベルク州で唯一の武器、弾薬、安全技術のテストと認証を行う機関「BeschussamtUlm」によって実施された。S 680ガード4MATICは、防弾車両の装甲性能をランク付けした「VPAM BRV」のバージョン3において、ドイツの防弾性能規格で最高の「VR10」の要件を満たす。このテストでは、アサルトライフルの銃弾に、ボディと窓ガラスが耐える必要がある。

爆風攻撃に対する保護性能は、VPAM ERVの最新バージョンに準拠している。 S680ガード4MATICは、最新テストに合格した最初の車両であるだけでなく、3つのテスト(ルーフ、フロア、サイド)のすべてでトップスコアを達成した、としている。

《森脇稔》

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