【MINI クーパー 新型試乗】最後のピュアエンジン・ミニかもしれない…諸星陽一

MINI クーパー(3ドア)
MINI クーパー(3ドア)全 16 枚

かつてイギリスのBMCによって開発、製造されたミニがBMWのブランドとして世に出たのが2001年。今年は20年目の節目である。

現行ミニはBMWのブランドとなって3代目のモデルで、2013年の登場なので8年目となり、そろそろフルモデルチェンジの声が聞こえそうな時期。今回のマイナーチェンジは現行モデルとしては最後のマイナーチェンジの可能性がある。そして次のミニはマイルドハイブリッド仕様になることが濃厚だ。つまり、ピュアエンジンモデルとして最後のミニになるかもしれない1台だというわけだ。

ゴーカートフィールでなくともミニらしい

MINI クーパー(3ドア)MINI クーパー(3ドア)
最近はSUVの試乗が多いので、ミニに乗ってもかなり低いドライビングポジションだなと感じる。セレクトレバーをDに入れ、アクセルを踏み込むとヒュンと走り出す。少し走ったところで感じたのは、以前のミニに比べるといわゆるゴーカートフィールは弱められている印象。従来モデルに比べると乗り心地はよくなっている印象だ。

ドライビングモードをスポーツにするとエンジンのキビキビ感がアップし、ステアリングのしっかり感がアップするが、試乗車にはアダプティブサスペンションは装着されていないため、足まわりは変化しない。

乗り心地がよくなり、ゴーカートフィールが緩和されたかといってミニらしい走りがなくなったかといえばそんなことはない。ステアリングを切った際のシャキッとしたクルマの反応はもちろん、コーナーでの踏ん張り感、コーナー脱出時の加速感にも不満は感じない。

MINI クーパー(3ドア)MINI クーパー(3ドア)

CVT嫌いにグッとくるダイレクト感

エンジンは1.5リットルのターボで最高出力は136馬力、最大トルクは220Nmとなる。最大トルクは1480回転と低い回転数から発生するので、十分に力強い印象だ。アクセル操作に対するトルクのツキもよく、リニア感も高い。BMWの作るクルマらしく、アクセルを奥まで踏み込むとカチリとキックダウンスイッチが入り、ギヤが一段ダウンされ力強い加速が得られる。

ミッションはデュアルクラッチ方式の7速DCTで、シフトダウン時のショックは少ない。シフトアップは小気味よく行われる。マニュアルミッションがベースとなるDCTだけに各ギヤでのダイレクト感は強く気持ちいい。私はCVTを否定していないが、CVTのフィールが嫌いという人は、とくに気に入るダイレクト感だといっていいだろう。

MINI クーパー(3ドア)MINI クーパー(3ドア)

ミニの世界観を生かしたBMWの上手さ

クーパーのクルーズコントロールは標準では一定速度で走る機能だけだが、試乗車はアクティブ・クルーズ・コントロールを含むオプションのドライビング・アシスト・パッケージ・プラスが装備されていた。アクティブ・クルーズ・コントロールの制御は正確で、減速加速ともに適度な強さ。スポーツモードでアクティブ・クルーズ・コントロールを使っての追従走行中に、先行車が車線変更し前方が開けた状態でも、急激な復帰加速を行うのではなく、ゆったりと余裕を持った復帰加速で快適な印象だ。

BMCミニはかなりクラシックな存在だったが、それがBMWの手によってモダンな存在に生まれ変わった。BMWが上手なのは、ミニの世界観を生かしたまま、ミニのデザインやスタイリングを上手に使い、現代のクルマとして耐えうる多くの性能を与えたことにある。しっかりとした実用性とBMWブランドではできないような遊び心あふれるハンドリングが与えられたミニは、独自路線を確立し現代に至った。先述のように次世代のミニは電動化技術を盛り込んだものとなる可能性が高いが、この路線は変わることはないだろう。

MINI クーパー(3ドア)MINI クーパー(3ドア)

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★

諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

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