ホンダ研究所チームのスーパー耐久参戦意図…技術開発と自己啓発

ST-2クラスに参戦する「Honda R&D Challenge」
ST-2クラスに参戦する「Honda R&D Challenge」全 26 枚

2021年シーズンのスーパー耐久は、先日の岡山大会で幕を閉じた。合計9クラスあり白熱したバトルが繰り広げられた。またトヨタやマツダの研究開発チームの参戦で話題も多かったなか、実はホンダ研究所チーム(本田技研工業+本田技術研究所)も参戦しておりその活動を追った。

【画像全26枚】

ST-2クラスに参戦する「Honda R&D Challenge」というチームで、車両名は「Honda R&D Challenge FK8」となっており、いわゆる『シビック TYPE R』となる。左ハンドル車というのが少し違う点で、そのほかは市販車をベースにスーパー耐久に参戦するようにレギュレーションで決められた中でのレーシングモディファイだけだ。エンジンなども基本的にはノーマルだ。

このマシンをドライブするのが、木立純一、柿沼秀樹、石垣博基、望月哲明という、ホンダの研究所に務め実際に車両開発を行なっているメンバーだ。特に柿沼秀樹氏はシビックTYPE Rの開発責任者でもある。これらのレギュラードライバーに加えて、レーシングドライバーの山本健悟氏や他のゲストドライバーを迎えて参戦する。今年24時間レースに参戦した際には、自動車ジャーナリストの桂伸一氏、藤島知子氏が参加した。

このチームは自己啓発チームとして活動しており、スポーツカー開発への知見を養う、次世代に続く人材育成を目標にしており、チーム運営やメカニック、スポンサー活動などを自分たちで行い、業務時間以降に活動を行なっており、レースは自身の休日を割り当てて参加する完全なプライベーターチームとして活動している。

過去数年に渡り、スーパー耐久に参戦しているが、そのほとんどが地元ツインリンクもてぎの1戦のみで、今年初めてフル参戦体制を整えた。とはいえ、全6戦あった今年のスーパー耐久でも第4戦オートポリスと第5戦鈴鹿は参戦を断念した。今回の第6戦岡山も費用とスタッフの問題で参戦を断念しようとしたが、条件が整ったことで参戦を果たした。

ST-2クラスは、2000~3500ccの4輪駆動車両および、前輪駆動車両というカテゴリーで、参戦車両は過去に7連覇したスバル『WRX STI』、永遠のライバル三菱『ランサーエボリューションX』、今1番熱いトヨタ『GRヤリス』、そして唯一FF車のシビックTYPE Rとなる。

例年ツインリンクもてぎのみ参戦していたが、今年は開幕戦もてぎ、第2戦菅生、第3戦富士24時間、そして第6戦岡山と参戦したことで、車両の熟成も進み、マシンのセットアップの幅、チームの運営の仕方など、戦うごとに熟成していった。そのおかげで今回の岡山は他のマシンとかなり接戦を演じることになった。

決勝はクラス7番手からスタートし順調に周回を重ね、一時期は4番手争いを行うまで順位をあげていた。しかし、突然のマシンストップでコース脇に停車。そのままレッカーされリタイアとなった。原因は無念のガス欠だった。

ドライバー・メカニック・エンジニアを兼務した望月氏によると、「リタイアの原因はガス欠でした。給油するためにピットに入れようとした周回で止まってしまいました。今回若いエンジニアに任せていたのですが、経験不足とチーフエンジニアの自分の確認ミスもあります。岡山は初参戦なので、データ不足はもちろんありますが、それを踏まえても悔しい結果です」とリタイアの原因を語る。

スタートを担当した石垣氏は「スタートから順調に走り出して、1スティント目をロングで引っ張るという作戦を立てていたのですが、データ不足でちょっと燃料が足りませんでした。マシンとしても熟成が進み、悪くはない状態だったので残念です。」と残念な様子を見せた。

チーム代表の木立氏は「2020年からのオフシーズンテストで、アップデートした成果が開幕戦のもてぎで3位に入りチームの自信につながりました。しかし次の菅生ではミッショントラブル、富士ではエンジントラブルとトラブルが連続し、結果を出すことが出来ませんでしたが、トラブルがチームを強くすることを実感したシーズンでもありました。今回も燃費とタイヤを温存しながら、ロングで走るという作戦を立てましたが、タイヤの摩耗による燃費の悪化が原因でガス欠になったと思いますが、改めてデータ分析を行いたいと思います。

ホンダでは、レースはヒトと技術を磨くと言われてます。今シーズンは4戦参加することで、今まで以上にチーム全体が強くなったと感じています。」と今シーズンを振り返る。

今シーズン、トヨタが水素カローラで研究開発をレースの現場で行い大いに話題になった、最終戦ではマツダが次世代バイオディーゼル燃料で参戦し、来シーズンはフル参戦を目指す。またスバルはバイオマス由来の合成燃料を使用して参戦するとしている。これらの車両はST-Qと呼ばれる、スーパー耐久機構が認めた、メーカーの開発車両や他のクラスのレギュレーションに合致しないマシンが戦うクラスでの参戦となる。

一方のホンダ研究所チームはST-2クラスに参戦し、レギュレーションに則った戦いを行なっている。メーカーやチームの成り立ちが違うので、同列で語ることはできないが、それでも木立氏は「様々なメーカーが参戦することで、より一層の盛り上がりが期待できますし、今後が楽しみです。継続したレース活動をすることで、多くの知見や技術が蓄積され、ヒトづくりクルマづくりに貢献できると確信してますので、我々も活動継続をして参ります。」と述べた。

これらの戦いが今後のスポーツカーの未来を作り上げて行く可能性と、人材育成と知見の蓄積は各社共通の考えと思われる。来シーズンはより一層スーパー耐久は盛り上がりを見せそうだ。

《雪岡直樹》

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