HWエレクトロ、EV軽トラ『エレモ』を日本EVフェスティバルでお披露目

軽サイズのエレモ発売「エレモ-K」
軽サイズのエレモ発売「エレモ-K」全 7 枚

小型EVトラックのHWエレクトロ『エレモ』シリーズに、かねてより期待が高かった軽自動車規格の「エレモ-K」が11月20日より発売開始となった。同日に開催された日本EVフェスティバルの会場(東京臨海都心、東京国際交流館)で、その実車が展示されていた。

エレモは、2021年4月に国内販売された100%バッテリー走行の小型貨物自動車(4ナンバー車)だ。キッチンカーや都市部のラストマイル輸送のために開発、発売されたものだが、地方の自治体や事業者からも引き合いが増えているという。このとき同様に上がったのは、軽ナンバー車があったらほしい、という声だ。

エレモ-Kは、定員2名、全長3.39メートル、全高1.91メートル、全幅1.44メートル。最大積載量は350kgが確保されている。軽サイズとするため全長が約60センチほど短くなっているが、もともとスリムタイプの独特なスタイルの小型貨物なので全高・全幅は「エレモ」と変わらない。荷台はアルミ合金のピックアップタイプだが、今後はボックスタイプなども用意される。

価格は249万7000円(税込み)。軽トラックと考えると安くはないが、環境省のEV補助金(CEV補助金:約40万円)や自治体ごとの補助金を利用すれば200万円以下にすることができる。事業内容によっては、中小企業向けの業態転換に対する補助金も申請できれば、さらに下げることができるかもしれない。この補助金は、コロナ前後で売上が下がった事業者に対して、業態転換(店舗販売からデリバリー対応を強化など)を支援するものだ。

軽サイズのエレモ発売「エレモ-K」軽サイズのエレモ発売「エレモ-K」

搭載されるリチウムイオンバッテリーの容量は13kWhとなっている。1回の充電の航続距離は120km。充電はAC200Vの普通充電で6時間から。直流の急速充電(チャデモなど)には対応していないが、AC200Vは、工事をすればすぐにコンセントを付けられる。自宅充電、事業所充電に問題がなく、ガソリンスタンドが減っている地方でエレモが売れていることを考えれば、この容量のバッテリーで事業用なら普通充電でも問題ないといえる。

エレモ-Kは、20日より販売を開始し、すでに10台ほどの引き合いがあるという。納車は2022年2月ごろからとのことだ。CEV補助金も22年度の分がちょうど狙えるタイミングだ。販売開始を機に、日本EVフェスティバルの会場で、実車が展示されていた。小型貨物のエレモより荷台が切り詰められた感じで、ホイールベースが変わったように見えるが、ホイールベースの変更はない。

運転席や内装も登録車エレモと同じだが、ブレーキペダルのストロークを改善し、初期制動を強くしたという。というのは、エレモ-Kにはブレーキブースターが搭載されていない。エンジンのないEVは、踏力をアシストする負圧を作るにはポンプを回すか、その他のアクチュエーターを利用するしかない。

車重が850kgしかないエレモ-Kは、4輪ディスクブレーキなので能力としては十分だが、ブースターがないので、意識してブレーキを踏まないと制動力が得られない。今のクルマのブレーキに慣れた人は、踏み始めの効きに違和感を感じやすい。この点を改善した。ただし、ブースターのないクルマは、20年前、30年前はむしろ普通で、踏み加減の感覚さえ掴めば、足の加減で停止距離や細かい減速、タイヤロックを制御しやすい。ラリー車や競技車両でブースターを取り外すのはこのためだ。

日本EVフェスティバル。他にも国内で入手可能なEVが多数展示日本EVフェスティバル。他にも国内で入手可能なEVが多数展示

なお、日本EVフェスティバルでは、各種EVの体験試乗もできる。エレモ-Kと同様な改善を行った小型貨物タイプのエレモに試乗することができたので、ブレーキのフィーリングも試してみた。確かにブースターなしの車両を運転したことがない人は多少戸惑うかもしれない。最後までしっかり踏む感覚さえ掴めば問題ないし、普通の人でも慣れるレベルの効き方だ。

ただ、万人向けかということを考えると、回生ブレーキを効かせたワンペダル方式のほうがいいように感じた。現在、エレモ-Kには回生ブレーキ機能はないが、HWエレクトロでは回生ブレーキを追加することは考えているという。EVの場合、これはファームウェアの書き換えだけで実現できるので、OTAもしくはOBD II経由でのアップデートを期待したい。

《中尾真二》

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